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ペンネコンパス

俺はマカロニえんぴつが好きじゃない。どうしても聴く気になれない。マカロニえんぴつを聴いている自分は多分大嫌いだ。

たまにCMとかで流れているから音楽が耳に入ることはある。サビのちょっとしか聴いてないけど多分好きな音楽だと思う。たしかいつだったかクリープハイプの「ひめはじめ」にも出ていた。俺が大好きなクリープハイプが年1のイベントに呼ぶくらいだし、いい音楽に決まっている。ちなみにだけど、同じ「ひめはじめ」に出ていたおいしくるメロンパンも好きじゃない。

たぶんここまで書いただけでなんとなく理由に察しはついていると思う。そうだ、名前がめちゃくちゃ嫌だ。

別に名前くらいどうでもいいじゃないか。ほとんどいいことが確定しているものをそんな些細なことで、聞かないなんてもったいない。いらない意地だ。わかる。

別にバンドなんてやってる音楽が全てだ。ネーミングセンスがなくたって、プライベートでどんだけ女喰ってたっていいじゃないか。理解はできる。

それでも俺はどうしても、こういう名前のバンドを聴けない。別にバンド名に由来がなくたっていい。響きとか字面で決めてもいい。俺自身、名前の由来を親に聞いたら、「響きから決めて、それに画数のいい漢字を当てはめた。あと、お兄ちゃんが名前長くて可哀想に思ったから、一文字にした。」って言われたし。

それでも、「マカロニえんぴつ」には、なにかさもしさを感じてしまう。好きではないものの由来を調べる程の体力が俺には残っていないから具体的になんで、そんな名前になったのかは知らない。でもきっと、こんな聞いた事ない言葉に何か意味があったとしても、「マカロニ」以外のなにか、「えんぴつ」以外の何かで代替は可能だったはずだ。「シャチホコぶんどき」とか「ペパロニくわとろ」とか。

このさもしさはアレに似ている。読んでみたら結局は全然関係のない文面がつらつらと書かれているまとめサイトの記事の釣り満載のタイトル。フリマアプリで少しでも検索に引っ掛かるようにつけられた全然関係のないブランド名のタグ。

きっと今の世の中はものに溢れていてすぐに色んな優れたものも埋もれて見えなくなってしまう。それもすごくわかる。

どれだけの人間にそっぽを向かれようと、ある程度の人間が大切なものを直接守ることが簡単になってきている。それもわかる。

きっと色んな人が見つけてもらう事、守ってもらう事に必死なんだと思う。そんな世の中で俺もせめて自分のことくらいは嫌いにならずに明日も生きていたいなって思う。がんばれマカロニえんぴつ。

好きでもないもののことをこんなに書けるんだから、俺もきっとまだ大丈夫。

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