テキスタイルプリンタによる新商品の開発と展開 / IoTとFabと福祉セミナー①
レーザーカッター、IoT、AIなどデジタル技術が発展していく中で、福祉現場はその技術をどのような想いで、どのように日常生活に取り入れているのでしょうか。さらには、今後どのような展開を期待しているのでしょうか。
積極的に技術を活用している福祉現場と、機材や機器を開発しているメーカーと、両者が顔をあわせて率直に議論することで福祉×技術の可能性をひろげることができると考え、「デジタルファブリケーションによる仕事づくり」をテーマにセミナーを開催します。
第1弾は、
福祉現場: ミナトマチファクトリー
メーカー: 株式会社ミマキエンジニアリング
ミナトマチファクトリー?
MINATOMACHI FACTORY(ミナトマチ ファクトリー)は、長崎県佐世保市にある福祉事業所(就労継続支援B型事業所)で、そこに通う利用者(スタッフ)たちは一人ひとりがクリエイターとして商品企画やデザイン制作に関わり、地域とつながりながら様々なものづくりをしています。
【就労継続支援B型】
一般企業への就職が困難な障害のある人に就労機会を提供するとともに、生産活動を通じて就労に必要な知識と能力を向上するための訓練や作業などを行い、作業分のお金を工賃として受け取ることができます。ミナトマチファクトリーでは技術の向上に応じて賃金が上がる「毎月評価制」を導入。
水族館『海きらら』や動植物園『森きらら』でお土産品や記念品をつくったり、オリジナルのテキスタイル(布製品における生地や柄)をつくってポーチなどの布小物に展開したり、市役所からの依頼で地域をモチーフにしたイラストで商品を開発したり、面白いサルの絵ができたら1点もののクッションにしたり、などなど。
コロナ禍よりも前から、スマートペンを活用した遠隔間のものづくりを実践していたり、コロナウィルスの影響がひろがってからは、バーチャル福祉施設も実験的に構築して就職・就業にむけて必要なスキルを提供していたり、次から次へと新しいチャレンジに取り組んでいます。
すでに活用している機材と次の展開は?
すでに複数の機材を使いこなしながら製品づくりや事業展開をしているところもミナトマチファクトリーの特長です。
たとえば、看板などのプラスチックに印刷ができたり、車両ラッピングしたり、ガラスの壁面装飾ができる「LATEX(ラテックス)プリンター」や、Tシャツやトートバッグなどにイラストを気軽に印刷できて場所も取らない「ガーメントプリンター」などを使用しています。
スタッフの安全とスキルアップも考慮しているところも特筆すべき点です。ガーメントプリンターは布への熱圧着機が露出していないのであまりヤケドの危険性も少なく、操作性も非常にいいので、スタッフも日常的に操作して、グラフィックデザインソフトも使いこなしながら職人として作業しています。
そんなミナトマチファクトリーが次に導入を考えているのは、株式会社ミマキエンジニアリングが開発したテキスタイルプリンタ『Tx300P-1800 MkII』。豊かな色や繊細な線も見事に再現でき、紙にも布にも対応できる1台2役のマルチプリンタです。
株式会社ミマキエンジニアリング?
ミマキエンジニアリングは1975年に設立し、長野県東御市に本社があり、コンピュータ周辺機器を製造販売している会社です。主に産業用の大判インクジェットプリンタやカッティングプロッターなどを製造販売しています。
家庭用インクジェットプリンタが紙だけなのに対し、産業用インクジェットプリンタはプラスチック、ガラス、木材、布、金属など多種多様な素材にプリントできます。
また、A4サイズやA3サイズが一般的な家庭用インクジェットプリンタに対し、ミマキエンジニアリングの製品はおよそ四畳半の大きさの板にプリントできます。
最近では、小型フルカラー3Dプリンターを開発や、柔軟な生産体制を実現するために「ミマキのIoT “つながるデジタルプリンティング”」を開発するなど、先駆的な製品や環境をつくっています。
さらには「どこでもセミナー」と題して最新情報や施工方法や実例などを参加費無料(事前登録制)で、誰でもリモート環境でもセミナーを受けることができるようなサービスも実施しています。
ミナトマチファクトリー × ミマキエンジニアリング
すでに機器や機材を活用し、使い方も自分たちで工夫しながら事業展開してきたミナトマチファクトリーが、テキスタイルプリンタ『Tx300P-1800 MkII』のどの部分に期待や可能性を感じているのでしょうか?
機材を導入するための不安や、購入するための予算、スタッフの育成など、福祉現場ならではの課題はどのように打開していくのでしょうか?
一方で、ミマキエンジニアリングは2019年11月から発売して『Tx300P-1800 MkII』の実例やノウハウを積み重ねてきて、この機材の可能性をどのように感じているのでしょうか?
ミナトマチファクトリーとミマキエンジニアリングの掛け合わせによって、どんな化学反応が起こると想像できるでしょうか?
2021年9月4日(土)に開催する「IoTとFabと福祉セミナー」では、ミナトマチファクトリーを運営している株式会社フォーオールプロダクトの石丸徹郎さんと、株式会社ミマキエンジニアリングの米谷英樹さんと本吉光利さん、3名をお招きして実例発表&ディスカッションを実施します。
技術を導入する前の、福祉現場とメーカーの貴重な公開ディスカッション、ぜひご視聴いただき、ご自身の現場にご活用ください。
(text:一般財団法人たんぽぽの家 小林大祐)