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【レポート】ブロックチェーンやNFTと何ができそうか? 株式会社TARTのToshiさんによる学習会

さまざまな個人や団体、福祉に関わる事業所がそれぞれ思いをもって活動し、連携しながら、新しい仕事・文化をつくっていく。福祉のなかでデジタル技術をつかうのではなく、デジタルのなかで福祉を実現していく。

わたしたちはこれらを目的にNFTプロジェクト「Good Job! Digital Factory」を立ち上げました。

立ち上げにいたるまでには、自分たちのプロジェクトが実現したいこと・めざしたいことを考える必要があり、まずは「NFT」や「ブロックチェーン」がどのようなものなのかを学ぼうと、株式会社TARTのToshiさんに学習会を開いていただきました。このnoteは、学習会の一部を記録レポートとして公開しています。

以下の内容は、2023年6月28日(水)時点のものです。また、NFTや仮想通貨の説明などをしますが、購入することを強要したり、購入したら儲かると推奨したりする内容ではございませんので、あらかじめご注意ください。

日時:2023年6月28日(水)
場所:Good Job!センター香芝(奈良県香芝市)


Toshiさんの活動を通してNFTを知ってみる

Toshi/
こんにちは、TARTのToshiと申します。今日の学習会の内容は、テクノロジーの難しい部分や技術的にすごい部分を知るというよりも、1個1個の特徴を切り出して「ブロックチェーンってこんなことができるのかな」「NFTってこんなことができるのかな」ということを紹介できたらと思います。

まず、ブロックチェーン上にあるデータは残り続けるという特長があります。たとえば、ある会社のSNSを使っていてその会社がなくなったときにはデータは消えてしまいますが、ブロックチェーンの場合は半永久的に残り続けます。

そこで、ブロックチェーンを使って「永遠」をテーマに何か作りたいと思ってつくったものがこちらです。

画像引用:https://twitter.com/toshiaki_takase/status/1491458545929179136

みなさんにとって「永遠なもの」が何かはそれぞれだと思いますが、自分にとって永遠に取っておきたいものは何かを考えたときに、それは「愛じゃないか?」と考えて、家族に対する想いなどを入れて、指輪にNFTのアドレスを刻印してつくりました。

ちょっと残念だったのは、この指輪をリリースしたときに「永遠に残しておきたい愛は本当にあるのか」「離婚したら消してくれるのか」といった感じでプチ炎上して、世の中はそんなにさみしいのかなと感じたこともありました。

次に紹介するのは「Generativemasks(ジェネラティブマスク)」というアート作品です。

これはプログラミングで作っている「ジェネラティブアート」と呼ばれるジャンルのアート作品です。プログラムで作品を描いているので、ウェブページを読み込むたびに作品が変わったりします。

アーティストの高尾俊介さんと作りまして、いろんなマスクの形や色になるように1万点のNFTとして販売しました。日本人だけでなく世界中の人たちから購入してもらえたことで、ジェネラティブアートのことをより知ってもらうキッカケにもなりました。

これまでは作品のデータを買ってもらう体験が難しかったのですが、NFTを使うことで一つひとつの作品データを買ってもらうこともできて、ジェネラティブアートによって多様な形や色のパターンができてたくさんの人に同時に販売できたので、結果的に多くの人たちと関係性をつくることができました。

NFTをきっかけに、地理的に関係なく世界中の人たちに買ってもらって資金をいただいたので、その資金をもとに新たな創作をしようと、3Dデータにしてみたり、3Dデータを3Dプリンタで出力して展示してみたり、さまざまな展開をしています。

NFTを持っている人たちは、活動を応援してくれている人たちなので、チャットツールなどを使ってオンラインで話しあったりします。コミュニティの中で「こんなの作りましたよ」「すごいですね」みたいな交流をしています。

写真共有アプリ『Snapchat』のフィルタ―を作って、仮面をかぶることができるようにしたり、デジタルデータならではの遊びもたくさんあります。

画像引用:https://twitter.com/toshiaki_takase/

ほかにも、ゲームの世界に入って、自分のキャラクターにマスクをかぶらせて踊った人たちもいます。GenerativemasksのNFTを買ってくれた人たちにゲームの中で使えるマスクをつくってプレゼントして、1つのゲームの中で一同に会して、部族のお祭りみたいなことをやろうといって盛り上がりました。

ここで知っていてほしいのは、NFTを通して
・作品を販売すること
・そこからつながる関係性を楽しむこと
どちらも楽しむことができるということです。

わたしたちが普段過ごしているフィジカルな世界においても、何かを作ってお店で販売して、気に入ってくれたらまた買ってくれて、交流がはじまったりします。

さらにこれからは、デジタルの世界でも販売できて、NFTを持っている人たちで集まって、お祭りなど一緒に楽しむことで関係性を深めていくこともできるようになります。デジタルで作品をつくることも、NFTを使ってみんなと交流することも、どちらもおもしろいことだと思います。そのような関係が物理的な場所にとらわれずにインターネットでできる世界をめざして創作を続けています。

続いて、山古志村の錦鯉NFTを紹介します。

山古志村は新潟県にある人口750人くらいの場所で、こどもも少なくなっているいわゆる限界集落の地域ですが、錦鯉の発祥の地としても知られています。

この地域を残していきたい、魅力ある山古志という場所を盛りあげていきたい、住んでもらうのは大変だからオンラインで関係を築いていきたい、さまざまな理由から「デジタル住民」という概念をNFTに付与しています。

デジタル上に集まってもらって、商売をしたり、さまざまな活動をしてもらう、そういう人たちを総称してデジタル住民と呼び、山古志村に関わってもらえるリアルな人もデジタル上の人々もみんな仲間として盛りあげていきましょうというNFTです。

錦鯉のうろこ、背景の模様など、1個ずつ違う錦鯉の作品をジェネラティブアートで制作しています。全部で1万個の販売をめざしていて、これからデジタル住民を1万人にしていこうとしています。

制作時間としてはプログラムを書くので2~3週間くらいはかかりますが、プログラムで制作することでインタラクティブな作品ができます。これは「プログラムで制作したほうがいいですよ」という話ではなく、イラストを描いて組み合わせることもできます。絵を描いたり、模様を描いたり、動画で作ったり、組み合わせや取り組み方はいろいろあります。

Generativemasksのようにアート作品としてはじまったものがコミュニティの人たちとの交流にひろがっていったものとは少し違っていて、錦鯉NFTは最初から関係性をつくっていこう、みんなで地域に関わって盛りあげていく仲間を増やしていこうと考えてNFTを作って販売しました。

デジタル村民は現在1000人を超えてリアルな人口を上回っていますし、実際にリアルな場で出会って交流会を開いたりもしています。今後も盛りあげていきたいなと思っています。

それから、日本財団と一緒に支援の活動もしたこともあります。

支援が必要な子どもたちが集まって、マーブリング(水に絵の具をたらして竹串などで模様を作って紙などを染める)ワークショップをしました。

何かをつくることを楽しんでもらい、さらにゲームのようなデジタルの世界に先生に来てもらいました。そこで何をしたかというと、マーブリングで作ったものをキャラクターに重ねて、このキャラクターが販売することをしました。

みんなで作った1つ1つの模様を3Dのキャラクターにのせて、これをNFTとして販売して、購入金額は施設の活動費にあてていただくことにしました。

キャラクターが好きで買う人もいるし、買ったNFTが自分のところに残るので「私はこの活動に支援した」という世の中に対する証明書にもなります。つまり、NFTはデジタルデータの売買だけではなく、何かを社会に証明したり表明したりするときにも役に立ったりします。

ここまでが自己紹介です(笑)

NFTというものが何かを知ってほしくて、わたしたちががやっていることを通していろいろ知ってもらえたらと話してきました。

NFTを体験しながら考える

Toshi/
ここからは実際に「ウォレット」というものを使ってNFTを体験してみましょう。今回は事前に「Metamask(メタマスク)」というウォレットを事前に準備してもらいました。みなさんに質問をしながら進めていきたいと思います。

※以下、学習会に参加しているGood Job!センター香芝の関係者を「GJ」と略称

Toshi/ウォレットを日本語にすると何でしょうか?
GJ/財布
Toshi/そうです、NFTを取り扱うときにこのウォレットが必要になります。

Toshi/お財布の中には何が入ってますか?
GJ/お金

Toshi/お金には何と何がありますか?
GJ/現実通貨と仮想通貨
Toshi/おぉ、すごいハイエンドな答え(笑)まさにそうですね。

 Toshi/じゃあ、現実通貨の中、つまりお財布の中に入っているお金を大きく2種類に分けると何と何がありますか?
GJ/紙幣と硬貨
Toshi/もう完璧ですね。

Toshi/
そのほかにもクレジットカードや保険証やレシートなどいろんなものが入っていると思います。

ブロックチェーンやNFTの世界でのウォレットは、お金はもちろん入るし、デジタルデータの流通も可能にするNFTも入ったりします。ブロックチェーンにまつわる資産みたいなものを取り扱いたいなと思ったらウォレットが必要になります。
 
最近お店に行ったときに、財布を出さずに決済している人もいると思いますが、仮想通貨やデジタル通貨と、iD決済やクレジットカード決済はどう違うのでしょうか?これからNFTを体験してもらうために、みなさんにお金配りをしたいと思います。

テスト環境のブロックチェーン上でお金のようなものを送付

たとえば、PayPayやLINE Payなどの決済手段は、残高や送受信の情報は各会社が管理しています。

ブロックチェーンの場合は、世界中のみんなが共通で持っている入出金の台帳があって情報を全員で管理しています。どこかの会社が管理しているのではなく、みんなで管理しています。

お金プログラムを考えてみる

ここで、お金とは何かを考えてみたいと思います。もっと言うと「お金プログラム」について考えてみたいと思います。

まず、自分が今持っているお金を、なぜお金だと思っているのか、何があればみんなはお金だと思えるのか、何がないとお金じゃないのかを少しだけ考えてみてほしいです。

たとえば、TwitterやInstagramなどのサービスを使っていると思いますが、そのサービスを使うときに、Twitterだったら

  • ~~さんをフォローする機能

  • つぶやきを投稿する機能

  • 投稿にLikeする、コメントする機能

など、それらの機能を決めていくと最終的にTwitterというサービスになっていきます。

同じように、どんな機能があるとお金になるのでしょうか。みなさんにとってどんな機能があるとお金になると思いますか?

GJ/
交換できる:自分が持っていて、相手に渡すことができる
誰が持っても価値が同じ:自分が持っている1,000円が、相手に渡ると1万円になるの困る
軽くて携帯できる:紙や小さい金属でできる。巨大な岩とかではない。
コピーできない:透かしがあったりキラキラがあることで複製できない
みんながお金だと信じている:ビットコインも何か裏付けがあるわけではないが仕組みをつくってみんなで管理して価格がついている

Toshi/
ありがとうございます。ほかにも、
・「日本銀行券」という名前にする
・「円」という単位にする
・紙幣には1個1個の番号が付いている
・残高を確認できる
などもあります。そうやって一つひとつ「お金って何だっけ?」を考えて箇条書きにしてみると、「あ、こういう風になったらお金っていい感じかもしれない」となるかもしれません。

ブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)は、これらの機能を一つひとつ実装してきていて、みなさんにデジタルのお金を渡すことができているのも、そういったことの積み上げだったりします。

たとえば、商店街に行くとその商店街だけで使える商品券があって、そこには有効期限、複数枚を組み合わせると1000円分になる、といったお金のルールを独自に定義しているように、いろんなお金が作ることができます。

実際にはお金じゃないかもしれないですが、お金らしいものになって交換ができるようになったりします。ブロックチェーンは商品券のようなものや、チケットみたいなものを自分のルールで作ることが得意です。つまり、ルールブックを作ることができると考えてもらったらいいかと思います。

ここで、みなさんにとって「こんなお金があったらいいな」と思うものを考えてみましょう。みなさんなりのお金です。 

GJ/
・気持ちと連動する
・歩いて歩数計と連動してお金が増える
・良いコトしたら貯まる
・こどもに渡すと倍になる
・渡すけど使われなかったら自動的に回収される

Toshi/
デジタル上で何かのやりとりをしたいときにも、いろんなルールができています。デジタルデータを保有できるようにしよう、売れるようにしよう、買ってもらえるようにしよう、などなど。

このとき、デジタルデータと実際のお金は紐づいていなかったので、価値をどうやって流通させるのか、価値の交換をリアルな世界ではなくてデジタルの世界でどうやってやるのかを考えたときに、NFTが登場してきました。

さらにアート作品など画像とくっつけることで「これをあなたにあげます」「あなたにもらってほしい」「わたしは持っています」「売りたいです」「かりたいです」「買いたいです」といったやりとりも実現されています。

ブロックチェーンやNFTが発明されたことによって、新しいお金のデザインや価値の交換をインターネット上でできるようになりました。

デジタルデータはこれまで、クレジットカード決済した後にダウンロードしてもらうだけだったものが、これからは自分のものであると疑似的に保有できたり、誰かにプレゼントすることができるように変容しています。

そういうことができるようになったことで、アートにチャレンジして作品を出したり、PFP(Piciture For Profile:SNS上のプロフィール画像)としてアイコンにできる作品をつくったり、いろんなことがはじまっています。

デジタルデータをNFTと紐づけることで、売ったり買ったり持ったりできるようになり、多くの人たちとの関われるようになっています。 

NFTにまつわるサービスを知る

「OpenSea(オープンシー)」はNFTを売ったり買ったりする場所です。

ここではNFTを発行して売ることもできますが、今回はNFTを発行する別の方法を紹介します。『Manifold(マニフォールド)』というサービスで、NFTを発行するためのツールです。

「NFTを発行する」というのは、ブロックチェーンという地球や海みたいな広大なエリアがあって、そこにNFTをドンと置いて公開するようなイメージです。

NFTを発行するときには、さきほどのお金のルールのように、名前、単位、誰が作って、どういう画像や動画かという説明文章を設定して、NFTの形式にすると実際にNFTを発行することができます。

NFTを発行したり売買したり取引を実行しようとすると「ガス代」という手数料がかかります。ガス代はブロックチェーンを守ってくれている人たちに支払われます。

今回の学習会では目の前にあるレモンスカッシュのジュース缶を写真撮影して100個のNFTを発行します。ManifoldでNFTを発行すると、OpenSeaにも表示されました。

ここでちょっと考えてほしいのは、Manifoldというサービスと、OpenSeaは全く関係のない赤の他人同士のサービスです。でも、ManifoldでNFTを発行したらOpenSeaにも出てきました。メルカリに商品登録したらヤフオクにも掲載されてたみたいに一見すると不思議な感じです。これはブロックチェーンの場合は、みんなが見える状態なので、NFTをブロックチェーンという公共の場所に置くとみんなも見れるようになるからです。

OpenSeaはNFTを売ったり買ったりできる機能を提供しています。ManifoldはNFTを簡単に発行できる機能を提供しています。

公共な空間に対して、いろんな方法で、いろんなツールを提供することで、いろんな世界が広がっています。カジュアルに作品を世に出すことができると同時に、デジタルデータをどうするか、どういうNFTの仕組み(お金のルール)にするかを考えていくところも楽しみの1つです。

NFTの楽しみ方を知る

ここでNFTの世界を少しのぞいてみると、たとえば、ジェネラティブアートのコレクターが公開しているギャラリーがあります。Generative_Maxiさんが運営されているウェブサイトで、「侘び寂び」をテーマにジェネラティブアートを収集して匿名で活動されています。

NFTは作って売買したら終わりかというとそうではなく、こだわりを持って集めて並べることでも表現として成り立っています。

ほかにも、3Dの空間を作って、美術館のように飾っている人のコレクションギャラリーもあります。

作品点数も多く、建物のデータそのものもアーティストによる3D空間の作品の場合もあります。たとえば、Good Job!センター香芝を模した3D空間の中に、みなさんの作品をNFTにしたものを3Dモデルにして置いてみることも想像できます。

売りたい人が売って、買いたい人が買う、その関係だけでも尊いものです。さらには飾ってみて楽しむ、集めて見せみることを楽しむ、みんなで1つの空間に集まって楽しむこともできます。デジタルデータだからこそ1点から数万点の幅で自由に作れるし、チャットなどを通して継続的なやりとりをひろげたり深めたりもできます。

ブロックチェーンという大きな公共空間にNFTが1個あるだけで、いろんなサービスを開発している人たちがNFTを見せてくれたり使わせてくれたりすることで、わたしたちはいろいろな面白い体験をつくることができます。そこをどう面白くしていくかはみんなでアイデアを出して考えていくところです。

少し特色の違う話で言うと、「〈NFTアート〉への共同ステートメント」というものがあります。

これは「自分の気持ちを世の中に表明することができます」というNFTの使い方だと思っています。細かい話は省略しますが、NFTがお金儲けの道具で詐欺みたいな雰囲気があるときに、そうではないことを伝えるために作った文章です。

「自分も賛成です」という意思をNFTとして発行してウォレットに入れることができます。自分のウォレットはみんなからも見れるので、気持ちを表明することにもなります。ウォレットが自分の財布というところから、自分そのものになるとも考えることができます。NFTが作り手だけではなく、集めている人が自分自身を表現するツールになり得ます。

それ以外にも、NFTを持っている人しか入れないチャットの部屋に入れてファンクラブみたいなこともできるし、NFTを1個持っていれば1投票できますという感じでコミュニティの活動を盛りあげるために意見表明することができます。

これまでの話をまとめると「推しを推すことができるようになる」こともNFTの特長の1つです。活動表明でもいいし、画像が好きで買うでもいいし、コミュニティが好きだから買うでもいい。いろんな好きがあると思いますが、それを自分の気持ちでオンライン上でアクションできることは、わたしがNFTをすごく好きな理由です。

Q&A/GJ&Toshi

Q. NFTを作ると一生消えない?

NFTを発行したことや、誰かに送ったことなど、取引(何かを実行する行為)は記録され続けます。なので、その記録はブロックチェーンがあり続ける限りは残ります。

Q. ウォレットは1個しか持てない?

複数のウォレットをつくれます。アニメが好きな自分もいれば、ジェネラティブアートが好きな自分、ボランティア活動をする自分もいたり、それを1個のウォレットにまとめる必要はなくて、複数のウォレットを匿名で作って育てることもできます。たくさんの自分をオンラインで表現してもいいということも匿名文化の良いところかなと思います。

Q. さきほど紹介したサービスをもう一度教えてください

Manifold: NFTを作るためのツール
OpenSea: 売買するためのツール
Deca:     集めてキレイに見せるツール
Oncyber:  3Dの空間上に並べるツール
公共空間にあるNFTをサービスみんなで使い合っているイメージです。

Q. 錦鯉NFTを持っていたらデジタル住民になりますが、誰かに譲ったりすると住民ではなくなるのですか?OB・OGみたいに関われたりしますか?

NFTを持っている人しか入れないチャットルームはあります。そこで村をどう盛り上げようかという作戦会議や集まって遊んでいたりします。そのためNFTを手放すと入れなくなります。ただ、売ったり譲ったりしたからと言って「お前、売っただろ」と言われることはありません(笑)「お前はもうデジタル住民じゃない」みたいな雰囲気はありませんが、単純に機能にはアクセスできなくなります。

Q. NFTとして登録できるデータの種類はどんなものがありますか?

広くいうと何でもできますが、ツールによって対応しているものが違うので少しずつ異なります。画像、音声、動画、3Dデータ(WEB上で取り扱えるGLBなど)、ホームページそのもの(Generativemasksは言ってみればウェブサイト)も登録できます。3Dモデルの中に踊りのような動きをデータとして埋め込んでいると動く3Dデータそのものをギャラリーに置くこともできます。

Q. 実際のアクリル絵の具で描いた作品にNFTをつけることできますか?

たとえば、集英社がワンピースの漫画にNFCタグ(スマホでピッとかざして使えるもの)をつけていて、そのリンク先でNFTを発行している事例もあります。物理の作品にNFTをつけて、いつ作ったものか、現在の持ち主は誰かなど来歴を残すこともできます。デジタルで完結するのではなく、物理の作品に紐づけることもはじまっています。

 Q. 錦鯉以外にもいろんな動物でジェネラティブアートをできますか?

できます。たとえば「KUMALEON(クマレオン)」という作品は、クマの3Dキャラクターを作っていて、WEBサイトの中で「CHANGE SKIN」をクリックすると模様が変わっていきます。どんな動物でも作ることが可能かと思います。

 Q. Toshiさんが一番最初に売れたジェネラティブアートについて教えてください。

自分自身で作るというより、アーティストと一緒に作って売るという感じですが、アーティストのOkazz'sさんとジェネラティブアートを最初にNFTにして作りました。このときに初めてジェネラティブアートに触れて、NFTを作ることになりました。40個だけ作ったのですが、どういう人が買っているのかも分からなかったし、本当に売れるのかも分からなかったし、分からないことだらけだったのですが、Okazz'sさんの作品が好きだったので話しあって販売することにしました。
 当時は知りませんでしたが、結果的にはNFTやジェネラティブアートが盛りあがりつつあるタイミングで、40個が1時間以内くらいで売れてめちゃくちゃ嬉しかったですね。初めて買ってくださった人たちと交流できたことも感動でした。今同じことをやったら同じ結果になるかと言われたら難しいかもしれませんが、いろいろと工夫できることはあると思います。不安にならずにやってみたらいいと思います。

Q. 買ってもらうための工夫、たとえば広報とかはどうしたんですか?

誰かに知ってもらうツールとしてはDiscordとTwitterが今は割とメインです。NFTを買っている人の多くはTwitterを利用して情報を集めたり、新しいアーティストに出会ったりしているので、そこで作品そのものや、活動自体を紹介することで背景も発信していくことも大事だと思います。NFTを売る前にDiscordに集まってもらって濃くコミュニケーションして活動してもらったり、そこは泥臭い感じですね。一人ひとりファンを作っている感じです。
悪用する人もいるので注意も必要です。

Q. Discordについてもう少し教えてください

錦鯉NFTのDiscordを例に紹介します。

初めて参加した人が過ごし方が分かるような部屋(チャンネル)や、NFTを持っていることを証明してくれたら持っている人だけが入れる部屋があります。「gm」はDiscordの中でよく使われる俗語で「Good Morning(おはよう)」の略語です。参加してくれた人が難しく考えなくても気楽に楽しめたり、特定のテーマについて話せたり、村に来てくれたことを報告しあったり、何でも質問箱があったり、地域の情報がまとまっていたり、山古志コミュニティを持続的に発展できるかを本気で議論する部屋があったりいろいろあります。
 「このDiscordに入ったらあれやってこれやってください」と運営者が管理して指示するよりも、入ってきてくれた人が自由に活動できる余白みたいなものがあって、来てくれた人が遊べるようになることもポイントだと思います。運営するというより、来た人と遊んで楽しめるといいのかなと思います。場所づくりの意味をつくるのは大変ですが大切ですね。

Q. 錦鯉NFTでは英語での発信をしているのはなぜですか?

プロジェクトの目的によると思いますのでケースバイケースだと思います。英語の発信が多い理由としては、海外の人たちのほうが国内より買ってくれる人数が多く、NFTの買い方を知っている人も多いので、英語で発信しようというのが主な目的です。ただ、ここ数カ月で状況は変わっていて、日本のほうが世界に比べてアクティブにNFTを理解している状況もあるので、今では日本語での発信も選択肢に入ってくると思います。
 プロジェクトの目的や、どれくらい販売したいかなどによって英語での発信も考えたらよいかと思います。山古志の場合はデジタル上の関係人口をひろくつくっていきたい、そしてNFTによる地域コミュニティがふるさと納税のように自治体ごとで取り合いみたいになってもいけない、そういった理由からグローバルな拠点に住んでいる人にも応援してもらいたいと考えて、ホームページが英語だったり、Discord内での英語の発信もあります。現時点で購入者の3~4割は海外の人ですが、実際にDiscordの中でアクティブに活動している人の9割は日本人です。

さいごに、GJからの感想

 ・今までブロックチェーンに関連した話は伝わってこなかったので、とても新鮮で楽しく聞かせていただきました。

・いろんな質問に答えてくださって嬉しかったし、勉強したことも今後に活かしていきたいと思います。絵をずっと描いてきたけれど、NFTには踏み切れずにいたので、今日から頑張りたいと思います。

・お金の話とか難しかったです

・紙幣と貨幣についての勉強が楽しかったです。NFTで自分なりのオリジナルの紙幣っぽいものを作れることや、他の人と一緒にNFT活動をできることを知れたのもよかったなと思います。

・実際やってみないと分からないなと思いました。

・手で絵を描く以外にもプログラムで描く表現あることも知れて楽しかったです。 


10月4日(水)21時から 「ToshiさんにNFTについて聞く会」を開催

Good Job! Digital Factory のNFT担当Toshiさんと、Discordの運営アドバイザーのKayさんに、この機会に聞いてみたいことや、今さら聞けないことなど、あれこれ聞く会をひらきます。10月4日(水)21時から。ぜひご参加ください!(※録音アーカイブあり)

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