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29.娘への愛①

父から娘へ

みなさんは ご自身のお子様に嫉妬したことありますか?


『おかしいよ!』
と よく言われていたが
私は娘によく嫉妬した。

親子だから 当たり前!
と 頭でわかっていても
ふだん まったく愛情表現をしない主人
娘に対しては わかるように愛情を
示す姿を見ると
うらやましくなってしまった。


忘れられない出来事がある。

病気発覚後は なるべく3人の時間をもとうと
食事を絡めて会うことにしていた。

丸の内で いつものように待ち合わせをした。
30分は平気で遅れてくる娘に
”またか”と思いながら 2人で待っていた。

娘は現れなかった。
なんの連絡もとれない。

『どうする?』

力の抜けた私は
質問に質問をかえすしかなかった。

食事の時刻までは まだ時間があった。
本当なら 買い物の時間に充てる予定だった。
2人で そんな気分にもなれず、 
12月の夕方は 段々寒くなってきて
東京駅の前で 何にもせずに立っているのは
きつかった。
寒さしのぎに入った 
丸ビル内のベンチに2人で座ることにした。
ほとんど会話もなくなり 
ただ食事の予約時間を待っていた。


『ねぇ 部屋で倒れて 連絡ができないとかそんなことはないよね?』
『もう 何度もすっぽかされてるから大丈夫だと思うよ』
『・・・誰かに監禁されたとかないよね?』
『そんなこというなよ・・・・』


ビルの間からみえる オレンジが青紫に変わっていく夕焼け
ボンヤリみていた。


『行くか?
レストラン キャンセルしろよ!』

駆り立てられたように タクシーに乗り込み 
娘の家に向かった。

つづく

https://note.com/good_koala45/n/n11ca34f7ebcc



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