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必ずしも表舞台に立つ必要はない


学ぶことは多い

 新年読了2冊目。

 この本のタイトルにもある「旅」。旅から学ぶことは多いと思います。私自身は現在、海外勤務のため「日本」から「海外」という視点での旅を語ることはできませんが、旅というものを「自分のテリトリー」から「テリトリー外」という認識で語るのなら、学ぶことは多いと断言できます。

旅から学ぶこと

 最後に旅に出たのは、コロナ禍(下)前の平成から令和に元号が変わる、5月頃だと記憶しています。大学時代の気の置けない友との旅で、水族館、博物館を訪れ、自分の知識欲を満たしていきました。
 そこで食べたラーメンのことを、もう5年も経つというのに「もう一度食べたい」と思い出すのは、それほど美味しかったからだと思います。
 しかしながら、私は「旅から学ぶこと」を単に、観光による他者との価値観の共有に重きを置くのではなく、そこで得た物をどのようにして、生活の軸に活かしていくかであるとか、自分のこれまでの価値観とどのようにすり合わせていくかということに重きを置きたいと思っています。

私が旅から得た物は「何」であったか

 これまで、国外だと2か所、国内だと数か所。県内だと数え切れないほどの旅をしてきて思うのは、つまるところ旅というのは、「自分との対話」だということでしょう。
 自分のテリトリーにいるのは、ぬるま湯につかっているようなもので、居心地が良ければ良いほど、ストレスを感じることも少ないのではないでしょうか。しかしいったん、テリトリー外に出れば、そしてそれが国外であれば言葉や文化の壁も相まって、まるでむき出しの素足で、氷の上を歩くような不安定さを味わわなければならないこともあります。これは、私が海外で働き出してから、なお一層に自分事としてふりかかってくるものとして感じています。
 そんな一面が「旅」にあってもなお、人々は旅行を楽しみ、思い出を増やし、隣にいる誰かと1つないしいくつかの価値観を共有していくのではないでしょうか。
 それは観光という表面的な楽しみだけでなく、人々は無意識的にも自分の価値観との比較を行っていくからこそ、旅の魅力を感じることができるのだと思います。
 同時に私もまた、そこから得られるものに魅力を感じ、求め続けてきたのだと思います。

必ずしも表舞台に立つ必要はない

 さて、本の感想を引用しながら表題について語りたいと思います。

「スイング」この言葉を聴いたとき、主人公と同様にジャズか何かの言葉だろうと想像した。しかし、この「スイング」は基本的には公演に出演せず、アクシデントや怪我・体調不良によって、出演者が出られない場合のピンチヒッター的役割のことを指すようだ。なぜこの言葉が私の心を掴んだかというと、私がその「スイング」だからだと思う。いくつもの物事に関わり、表舞台には立たないがその後ろで、一生懸命もがいている。輝きは表立って見えないが、仕事のバトンをつないでいると思い、やりがいを感じられるようになったのが成長なのかもしれない。

『おいしい旅 しあわせ編』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター (bookmeter.com)

 この本の素晴らしいところは、旅そのものの魅力を伝えるだけの本ではないということです。主人公たちそれぞれが、「旅」そこで得た物をどのようにして、生活の軸に活かしていくかであるとか、自分のこれまでの価値観とどのようにすり合わせていくのか、といったことを、読み手に一心に伝えているところが大きいのではないでしょうか。


 私は、今回の感想として、作中に出てくる「スイング」という言葉から、これまで自分が培ったものを土台にしながら、改めて感じたことをまとめています。
 それは、大見出し通り「必ずしも表舞台に立つ必要はない。」ということです。誰かからの承認や拍手は必要でしょうか。もちろん自分が成し遂げたこと、努力を重ねた過程を誰かに褒められたり、認められたりすることでモチベーションが上がったり、自己肯定感・自己有用感が高まったりすることは、紛れもない事実でしょう。

 私は今、スイング的な存在として社会人生活を送っています。働くことが自己表現であり、目に見える社会的関係性の構築であると定義するならば、私の働き方は、あまりにも地味だと思います。このような働き方は、羨ましがられることはないかもしれません。
 現に若い時分の私は、自分にも称賛の言葉があればもっと頑張れるのにとか、なぜ、裏方で頑張らなければならないのだろうと思った事が何度もありました。
 そして、自分が表舞台に立つように努力も続けました。しかしながら、自分の向き・不向き・才能という視点から振り返った時に、それが必ずしもマストではないということに気付くことができました。

読書による自分の定義づけ

 読書による自分の定義づけは、過去の自分を振り返ることにもつながると感じています。今回、スイングという1つの言葉から、これまでの自分を振り返り、この言葉を知るためにこの本を読んだのだろうかといった錯覚すら覚えたのは否めません。

Defining myself


 これからも自分の定義づけをそして、その定義の根拠を読書にも求めていきたいです。


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