カーテンを開ける理由
うす暗い部屋で過ごすのが好きで、
日中でもカーテンを閉め切って生活していた。
雨の日、静かな暗い部屋で読書をするのも気に入っていた。
正直、太陽のあの底抜けの眩しさがうざいとすら思っていた。
1年前に今のアパートに引っ越したのだが、前に住んでいたマンションは白熱灯だった。
寒々しい白い光が強くて、なんだか疲れるからあまり好きじゃなかったけれど、今のアパートのオレンジ色の灯りは気に入っている。
だからますますカーテンは開けなくなったのだけれど、、
それが最近になって、朝起きてカーテンを開けるのが習慣になった。
こだわりの強いASDの私に訪れた変化。
それは紛れもなく、“植物”のおかげ。
窓辺に植物を置くようになってから、部屋に日光を取り入れるようになったのだ。
観葉植物にはレースのカーテン越しの光量が必要だ。
日の光を浴びた植物は、なんだか嬉しそうに見える。(あくまでも主観)
花瓶に生けたお花は、自撮りと一緒で自然光が一番盛れる。一番美しいと思う。
最初は観葉植物のためだったけれど、切花を飾った時、日光で花びらが透ける光景をみて、すごく癒された。人工的な照明では出せない自然の色合い。
そっか。
君はもともとこの光を浴びて育ったんだね。
ありのままが、美しいんだ。
何か、気づかされるものがあった。
カーテンを開けるのもいいものだなと、思うようになった。
太陽がうざいなんて、思わなくなった。
その眩しさに眉を寄せるのではなく、目を細めるようになった。
今のアパートは大家さんの趣味か、周りに植物が多い。バラやユーカリ、針葉樹系の木などがウッド調のベランダによく合っている。その雰囲気が気に入って、内見で即決した。家賃が高めだったけど、そんなことどうでもよくって。絶対にここが良いと、そう思ってしまったから。こういうところがあるから、ADHDは金銭管理が苦手といわれる…
(私の場合、普段物欲はなくても、欲しいと思ったら高価なものでも後先考えずに買ってしまう)
話は戻り…
そんな植物が風で揺れるたび、部屋に差し込む
木洩れ日もゆらゆら揺れて、
目の前の花が、そんな背景もあいまってより美しく見える。
ついつい、写真を撮ってしまう。
朝、仕事に行く前に、ほっと一息つける瞬間だ。
小さなワンルームの部屋。
カーテンを開けなければ、気づかない世界だった。
ずっと夜が好きだけど、朝が憂鬱だったけれど、朝もわるくないなって思えた。
うつ病の時にはない感覚だ。
防衛本能でトゲトゲしていた心が、植物の力で、丸くなっていくのがわかる。
人間との関わりに疲れ、ペットや音楽に癒しを求める人の気持ちがわかるような気がする。
植物の逞しい生命力と、その命の儚さにどうしようもなく惹かれてしまった。私は、その一瞬の感動を多くの人に伝えていきたいと願う。
“美”には、さまざまな角度と種類があることに気づかせてくれた。
植物に興味がない人でも、はっとさせられるような、心がわずかにでも動くようなお花を私は束ねていきたい。
そんな遠い未来に思いを馳せながら、
今日もカーテンを開けることから1日がはじまる。
花のある生活、
花が寄り添ってくれる生活、
これを書いてて思う。
やっぱり私、花が好きなんだなって。
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