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目標設定における定量目標を設定する際に決めるべき3つのポイント

どんな目的であれ、達成するためには、目標が必要だと考えます。そして、目標設定を行う際には、客観的に数値として結果の評価ができる定量目標があった方が、目的に対する進捗度合いが測れるため有用です。そこで、計測可能な定量目標を設定する際に重要な3つのポイントについて、ご紹介したいと思います。

定量目標を設定において重要な3つのポイント

目標設定の基本として、目標はSMARTであるべきだと言われています。SMARTは、目標を形容する英単語の頭文字であり、目標は、具体的(Specific)で、測定可能(Measurable)で、達成可能(Achievable)で、関連性(Relevant)があり、期限(Time-bounded)があるものであるべきだという考えです。簡単にいうと、具体的で測定できるものでなければ、なあなあになってしまうので、それを避けましょうと言っているようなものだと考えます。

実は、このSMARTは、頭では分かるのですが、これを実際の目標設定に適用しようとすると、そう簡単ではありません。営業のように、売り上げの目標がはっきりしていれば簡単ですが、そうではない例えば商品サポートのような場合、どんな定量目標を設定すれば良いかわからなくなってしまいます。そして、取り急ぎ、「顧客満足度の向上」というような目標を設定し、期末において、それまでに受け取った感謝のメッセージを集めては、サポートによって、これだけサポートに対して満足しているので、目標は達成されましたと報告してしまったりします。

それでは、どのようにすれば、SMARTな目標設定が可能になるのでしょうか?SMARTな目標設定を実際に行う際には、重要な3つのポイントとして、「何のためにやるのか?」「何を測るのか?」そして、「どのように測るのか?」を抑えるべきであると考えます。

ポイント1: 何のためにやるのか?

目標設定の基本でもありますが、どんな目的のために、目標を設定するのかをはっきりする必要があります。これを行わないと、目的とは関連性がないが、とにかく測定可能な定量目的を設定してしまうことにもなりかねません。SMARTの中のRである関連性でも表現されていますが、目的と目標の関連性をはっきりとさせ、何の目的のために目標を設定するのかを、意識することが重要だと考えます。

例えば、サポートチームの一員として、顧客満足度を向上させるといった目標を設定する場合、どんな目的を達成するために、顧客満足度の向上が必要なのかと考えることになります。会社が成長するためには、売り上げが必要で、顧客満足度の高い顧客が多ければ、再度、同じ商品を購入いただける可能性が高まり、売り上げ向上に貢献されることが考えられます。この考えに基づけば、顧客満足度の向上は、会社の成長において大きく関連のある目標であると言えます。

ポイント2: 何を測るのか?

SMARTな目標設定で表現されるMは、測定可能であることです。測定可能な目標とするためには、まず、何を測定するかを決めなければなりません。この測定可能な指標を決めることが、実はかなり難しい作業となります。例えば、売り上げを伸ばすために、商品に興味を持ってくれる人を増やしますといった、目標を考えたい場合、興味の度合いを測定しなくてはなりません。そこで、何を以って、興味を持ってもらっていることとするのかの指標を考える必要があります。仮に、法人営業であるとするのであれば、商品のマーケットに関連する情報をホワイトペーパーにまとめ、それをダウンロードした人を興味を持った人と定義するといったことになります。

また、別の例として、業務改善を目標とし、業務プロセスの効率化を目標としたいと考えます。そこで、考えなければいけないこととしては、何を以って効率化と定義するかということです。もし、業務プロセスの中で、誤りが頻発しており、出戻りが頻繁に発生しているのであれば、「誤りの発生数を減らす」ことを効率化として定義することができます。

何を測るのか?を突き詰めて考え出すと、業務の流れの中で、どんな指標が存在しているのかを見つけ出す作業と同等になってきます。その指標を見つけ、どの指標が業務に一番影響するのかを考えることで、より効果的な目標設定が可能になると考えます。

なお、何を測るのかを決めるということは、単純化することにもなります。よって、例えば、興味の度合いを測るにしても、ホワイトペーパーのダウンロードした人だけが興味を持った人ではありません。他にもいろいろな要素があり得ると思います。よって、その事実を理解しつつも、目標設定においては、ある程度、相関性のある具体的な指標を示した方が、主観的に「興味を持っている人が増えている気がする」とするよりも、客観的に進捗が把握できるので、良いと考えます。

この測定可能な指標ですが、部門等の業績に直接関連するような指標の場合、鍵となる業績指標として、KPI(Key Performance Indicator)と呼ばれるものになります。

ポイント3: どのように測るのか?

いくら効果的な指標であっても、測定方法がなければ、計測ができません。例えば、顧客満足度の向上と言っても、どのようにして顧客満足度を測るかを決めなければなりません。一般的には、定期的にアンケートを実施し、NPS(Net Promoter Score)のように顧客ロイヤリティを測ることになると思います。NPSも、数値化することが難しかった顧客満足度を数値化して測ろうとした試みであるように、簡単に数値化することが難しい事象をどのように測定するかを決めることは簡単ではありません。しかし、測定できないから測定しないことと、相関がありそうな指標を見つけ出し、測定し、その結果を見るのとでは、事象に対する認識が大きく異なってくると思います。

全ての指標が毎回0から始まり、それを積み上げていくようなケースは、結果の測定方法のみに注力すれば良いのですが、顧客満足度の向上のように、現状に比べ、数値を向上させていくような目標を設定する場合、目標設定を行うと同時に、現状の指標の値の把握も必要となります。本来であれば、目標を設定する際に、現状の指標の値を確認しておきたいところですが、そのような時間やリソースがない場合、目標の妥当性が低いことを承知の上、取り急ぎ、期待値を設定することでも良いと思います。特に、同じ指標を繰り返し目標として設定するような指標の場合は、最初の目標の数値が実際の結果と大きく離れていたとしても、繰り返し行うことで、効果の高い目標値を設定できるようになると思います。

マネージャー・管理職の仕事は効果的な指標探し

マネージャー・管理職としての職務に部下の目標設定が含まれる場合、効果的な目標設定をするためには、目標がSMARTになるように部下に対してアドバイスなり、一緒に考えるなりしなければなりません。その際に、設定している目標に対して、何のためにこの目標を設定するのか?この目標の進捗度合いがわかるために、どんな指標を設定するつもりなのか?そして、どうやって、その指標を測定するのか?と問いかけると、設定した目標が良い目標かどうかが分かってくると思います。しかしながら、実際にやろうとすると、SMARTな目標を設定することが難しいと感じる場面が多いことに気づきます。それは、大抵、何を以って目標の指標にするべきかという点がはっきりしていないケースが多いと思います。このため、この効果的な指標探しこそが、マネージャーや管理職としての腕の見せ所であり、効果的な指標(KPI)を見つけることで、進捗度合が客観的に把握でき、業務のパフォーマンスの向上につなげることができると思います。


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