ごましお

思ったことを詩や小説の形にしてひたすら吐き出す場にしたいと考えています。 よろしくお願…

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思ったことを詩や小説の形にしてひたすら吐き出す場にしたいと考えています。 よろしくお願いします。

マガジン

  • イナーワールド

    上空からラッパの音が3回鳴ると、世界は歪みだし、終焉へと向かった。 パニック状態の群衆に紛れて逃げ惑う内島辰と三日月楓は、謎めいた少女ステラに導かれて町はずれにある外界から閉ざされた廃校舎に連れていかれる。そこには、辰と同様、21人の高校生たちが集められていた。ステラは、「この世界の元通りにするためには、この中にいる崩壊招いた元凶を殺す必要がある。ただし間違えてとある一人を殺してしまうとその時点で世界は破滅する」といったことを告げる。廃校舎に隠されたヒントをもとに、元凶を割り当てる。世界をめぐるデスゲームが始まった――

  • 随筆

    ここはエッセイを集めたマガジンとなっております。エッセイと呼べないような散文も混じっていますが、どうぞご覧ください。

  • 短編小説

    140字数から2000字ほどの短編小説を集めたマガジンになっております。変わった小説が読みたい時に、立ち寄っていただければ幸いです。

  • ここは詩や詩のようなものを集めたマガジンとなっております。ジャンルはバラバラですが、どれか一つでも心に刺さるものがあれば幸いです。

最近の記事

  • 固定された記事

イナーワールド 第1話「終焉の月」

《あらすじ》 第1話      終焉の月  人生に無駄なことは、ひとつもない。と、亡き父は繰り返し言っていた。   元々はべつの誰かの名言だろうか。そこらへんによく転がってそうな文句ではある。  人生に無駄なことは、ひとつもない。   それは誰にとって無駄ではないのだろう。父にとってだろうか。神にとってだろうか。自分にとってだろうか。  少なくとも寿命のある生き物にとって、この世は無駄なものである。彼らに訪れるこの世のゴールは等しく「死」であり、最終的にすべてが「無」と

    • イナーワールド 最終話「濫觴の海」

      最終話 濫觴の海  スピーカーからはバッハが流れていた。  バッハは母が好きだった。  父は音楽が好きではなかったので、父が働きに行っている平日のお昼の時だけ、家の中に音楽があった。もちろん、そのほとんどがバッハだった。  父はDIYと節約が趣味だった。値札の張られた商品をいつも嬉しそうに買ってきていた。応募券やカードのポイントを集めることも好きだった。  二人の間には喧嘩が絶えなかったが、客観的に見ればある程度円満な家庭に見えただろう。  俺は母の影響を顕著に受け、音楽と美

      • イナーワールド 第3話「豊穣の雨」

        第3話 豊穣の雨  夢から覚めてから最初に目にしたのは、窓の外を歩く巨大なデ・キリコのマネキンだった。俺の好きな絵画「ヘクトルとアンドロマケ」がまさか具現化した状態で見られる時が来るとは……。  すっかり異常な光景にも慣れていってしまった。  黒板、教卓、机、椅子、ここはどこかの教室なのだろう。 「ちょっといつまで寝てるのー?」  いたずらっ子のような声色で話しかけてきた佐伯エリは、数ミリほどの距離まで俺の顔に接近し、目を覗き込んできた。  俺は驚き、慌てて後ずさろうとしたが

        • イナーワールド 第2話「蓋世の波」

          第2話 蓋世の波 「みんな見て。エリ、悪魔になっちゃった」  佐伯エリが背負う黒いミニリュックから、小悪魔っぽいコウモリの翼が飛び出る。  濡羽色にピンクのメッシュが入った髪を高めのツインテールで結ぶ彼女は、ミニリュックから生える翼とそのツインテールを連動させるように、その場で飛び跳ね、上下に動かした。 「ねえ、これ可愛くない?」  何の前触れもなく、佐伯エリは俺に視線を移し、蠱惑的な表情を見せる。 「か、かわいいと思います」 「でしょでしょ」  俺の知っている佐伯エリはもう

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        イナーワールド 第1話「終焉の月」

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        • イナーワールド
          4本
        • 随筆
          5本
        • 短編小説
          18本
        • 12本

        記事

          【エッセイ】虚栄心の殺し方

          僕は質問をするのが苦手だ。 特に学術的な場での質問となると、自分が的はずれなことを言っていないか、自分の質問が有益なものか、自分の知識のなさが露呈していないかなどと考えてしまい、不安に陥る。 そもそも質問というのは、相手に対して自分が気になることを聞くためにする行為であるはずだ。それにも関わらず、僕は相手に認めてもらうため、相手に失望されないために、質問内容を熟考している。 そうなってしまうのは、普段から自分が知識人ぶっているからだと最近気づいた。 「他者から賢いと思われてい

          【エッセイ】虚栄心の殺し方

          【毎週ショートショートnote】半分ろうそく

          あと半分.......、あと半分.......。 雲ひとつない空の下、子どもたちが賑わう公園のベンチに一人の男が座っていた。 防風ストールを羽織った40代後半の川戸守は、燭台の上にある火の灯ったろうそくを大事そうに見守っていた。 そのろうそくは既に半分まで溶けており、八重咲きの雛菊のように全方位均等に蝋が垂れ下がっていた。 「おじさん何見てるの?」 頭に長いろうそくと燭台を乗せた少年が、ジャングルジムから飛び降りて川戸に近づいてきた。 「自分のろうそくに決まってるだろ

          【毎週ショートショートnote】半分ろうそく

          【短編小説】月とシードラ

          壁はどこにでも存在する。 僕の中にも、僕の外にも存在する。 時に、壁は僕を外敵から守ってくれる。 時に、壁は僕を押し挟み、肺を圧迫する。 時に、壁は僕を他者から切り離し、孤独にする。 有馬は、長期休暇の申請書を提出するのに一年を要した。 もっともらしい理由が見つからなかったのと、自分だけ仕事を休むことにうしろめたさを感じていたからだ。 ついに痺れを切らした有馬は、最終的に「体調不良のため」という抽象的な理由だけを添え、勇気を奮い立たせて会社に提出した。提出してしまえば、意外

          【短編小説】月とシードラ

          【短編小説】眼鏡のない世界

          太陽が作りだす蜃気楼の下で、僕とは無関係に数多の蝉が団欒と鳴き合っている。 僕はなんとなしに家を出た。 行く当てもなく、ただ澱んだ川に沿って歩いていた。 アスファルトは舗装されているはずなのに、足を踏み出すたびにつまずいた。膝から滲み出た血液がグレーのスウェットに浸透し、アメーバのように広がっていく。それでも僕は歩くことをやめなかった。 僕の足は山に向かっているようで、北へ北へと進んでいった。代り映えしない住宅街が続くせいで、自分がどこまで進んだのかはまったくわからない。

          【短編小説】眼鏡のない世界

          ここまで毎日投稿してきましたが、今日はついに書けない日がやってきたので、お休みします。noteを初めて1ヶ月が経ちましたが、意外と読んでくださる方が多くてとても嬉しいです。今後もよろしくお願いします。

          ここまで毎日投稿してきましたが、今日はついに書けない日がやってきたので、お休みします。noteを初めて1ヶ月が経ちましたが、意外と読んでくださる方が多くてとても嬉しいです。今後もよろしくお願いします。

          【詩】世界の扉を閉じてきた、すると

          街中の喧騒を消したくて耳栓をした。 すると 好きな雨音まで聞こえなくなった。 親の喧嘩を見たくなくて目を閉じた。 すると 庭に咲く紫陽花まで見えなくなった。 あらゆる情報を断ちたくてスマホを割った。 すると 大切な人たちの連絡先まで無くなった。 何もかも失ったことに耐えられなくてナイフを握った。 すると そこに君が来た。 気高いライオンの咆哮のごときエレキ音が僕の耳栓を吹き飛ばし その衝撃と驚きで閉じていた目を思わず開いてしまった。 どうしたらいいかわからなく

          【詩】世界の扉を閉じてきた、すると

          【詩】ムーンレイカー

          のぞき込むは 鏡の世界 反転する 心と身体 分裂する 月のかけらに 立ち昇る 見知らぬ翳り ぼくはカフカの夢を見る 雪で隠す アヒルのこども まぬがれない 真夏の陽差し のぞき込むは 鏡の世界 きみはやはり ムーンレイカー

          【詩】ムーンレイカー

          【散文】オールド

          彼女は美しい。 嵐の夜も不動の姿勢をとる老木のように鷹揚で 雷の粗相も風のいたずらも許せるほど寛大で 色衣を幾重にも折り畳んだようなシワをつけ 四十六億歳の太陽のようにいつまでも輝き続けている。 刻々と進む深い川の流れに身を任せ 熟れるほど美しいザクロのように 年をとるほど魅力的になっていく。 彼女は自信を持って老いている。 彼女は老いが一番美しいことを知っている。 彼女は死を突き抜けるように生きている。 だから今も笑っているのだろう。

          【散文】オールド

          【毎週ショートショートnote】伝書鳩パーティー

          「週末のパーティー出席するよな?」 「もちろん。それにしても上は酷いことをする。今まで一緒に仕事してきたパートナーを俺たちに食わせるなんてさ」 「野生に放つのはよくないし、ただ殺処分するだけだと可哀想だからってことらしい」 「楽しいパーティーがお通夜みたいな空気になること間違いないな」 「まあICTが充実した世の中で、あいつらを使ってやるのは厳しいし。仕方ないさ」 「古いものや非合理なものがどんどん消されていくのは仕方ないのか? 進歩や発展って響きはいいけど必ずしも

          【毎週ショートショートnote】伝書鳩パーティー

          【140字小説】彼の眼鏡

          夫の遺体は森の中で発見された。 そこに銀縁の眼鏡はなかった。 20年前、夫は近所の老舗で眼鏡を買った。吝嗇家の彼にとっては珍しくとても高価な眼鏡で、最後まで大事にしていた。 私は彼の眼鏡を捜した。 最後に彼が歩いた道を知りたかった。 彼に近づきたかった。 しかし、彼の眼鏡はどこにもなかった。 140字

          【140字小説】彼の眼鏡

          【SS】人工的な悪魔

          その悪魔は僕の首根っこを鷲掴みにし、そのまま容赦なく地獄に引きずり下ろしていく。 何層にも重ねられた蜘蛛の巣が皮膚の裏側まではりついてくる。悪魔の手によって乗せられた巨大な鉄球は、僕の背中を貫通し、胃袋にもたれかかった。足を一歩踏み出すのにも、かなりのエネルギーを消費する。 悪魔はその様子を見て、声高らかに笑い出した。 その悪魔は定期的に僕のもとへやってくる。 罪のない僕に酷い仕打ちをしてくるその悪魔は、「月曜日の悪魔」という名で呼ばれている。 驚くべきことに、月曜日の

          【SS】人工的な悪魔

          【エッセイ】マリッジブルー

          大窓から見える激しい荒波と曇り空、式場まで聞こえる重々しい雨音、緊迫した空気、それらをすべて吹き飛ばすかのように、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」が色鮮やかに響きわたった。 扉が開き、ガチガチに固まった新郎が入場すると、温かい笑い声が生まれ、たちまち和やかな空気に包まれる。 友達が結婚した。 おめでたいことだ。 彼も最初は結婚後のことを不安がっていた。自分に置き換えてみても結婚のことを考えると様々な不安がよぎってしまう。マリッジブルーという言葉があるように、結婚前にはなかっ

          【エッセイ】マリッジブルー