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バルアトルケものがたりⅡ

20
「バルアトルケものがたり」は読み聞かせられるように、と思って書いています。 第Ⅱの20話をまとめました
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記事一覧

1*旅の勉強

1*旅の勉強

バルアトルケものがたりⅡ*1

セオナルドはまたもや、朝早く目覚めました。

今日から午前中には、旅の勉強をするのです。

持ち物は、ノート、えんぴつ、あとなんだろう?旅の勉強って、なにをするのかな。。。

セオナルドは肩から下げる布バッグに筆記用具を入れて、考えました。

念のために、木の棒と(いつもベッドのそばに置いてあります。)

まるくて持ちやすい石も入れました。

バッグを持って、台所へ

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2*ちから

2*ちから

バルアトルケものがたりⅡ*2

ピリルは、朝起きて、あることに気が付きました。

ひたいがムズムズするのです。

なんだろう?虫にさされたのかな。。。?

気になるので、前足でひたいのあたりをこすってみようとしましたが、届きません。

おとうさんユニコーンもおかあさんユニコーンも、朝の食事にでかけてしまったのか、そばにはいません。

ピリルは、大きな木のそばに行き、ごわごわした木の幹の皮のへりに、

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3*勉強のあと

3*勉強のあと

バルアトルケものがたりⅡ*3

旅の勉強・第一日目、食べられる植物と食べられない植物を習いました。

おかあさんにも、教えてあげよう

途中、なんどもセオナルドは思いました。

帰る道すがら、教えてもらった、「食べられる植物」、クローバーの花と葉っぱをお土産に摘みました。

「おかあさん、ただいま!」

「セオナルド、おかえり。勉強、楽しかった?」

「うん。今日は食べられる植物と食べられない植物

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4*めざめ

4*めざめ

バルアトルケものがたりⅡ*4

あわてたピリルは、その場でぐるぐると回り、目が回ってしりもちをついてしまいました。

と、そこにおとうさんユニコーンとおかあさんユニコーンが帰ってきました。

「ピリル おはよう。どうしたの?そんなところで座って?」

おかあさんユニコーンが言いました。

「おかあさん ぼく、病気になっちゃったのかもしれない。。なんだかひたいがむずむずして、けむりまで、でてきちゃっ

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5*ふたりでランチ

5*ふたりでランチ

バルアトルケものがたりⅡ*5

森の奥に着くと、ピリルが目を閉じているのが見えました。そばにピリルのおとうさん、おかあさんもいるのを見て、セオナルドは、静かに近づきました。おとうさんユニコーンとおかあさんユニコーンに目で合図をし、おとうさんユニコーンがうなずいたので、ピリルに声をかけました。

「ピリル!遊びに来たよ!」

ピリルは、めをつむったまま、答えました。

「セオナルド!ぼく待ってたんだ

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6*助けあおう

6*助けあおう

バルアトルケものがたりⅡ*6

ピリルは続けました。

「今日、朝起きたら、ひたいがむずむずしてしょうがなかったんだ。いろいろしていたら、けむりまで出てきちゃったんだよ。」

セオナルドは、驚き、ピリルを見ました。

「けむり?見た目はとくになんともないけどな?今もむずむずしてる?」

「ううん。今はもうなんともない。おとうさんに聞いたら、ぼくの「ちから」が目覚めたんだって。それで「ちから」の訓練

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7*森の奥の奥

7*森の奥の奥

バルアトルケものがたりⅡ*7

ピリルとセオナルドは森の奥の、またさらに奥まで歩いていきました。

だんだん森の木が少なくなって、丈が短い草と、とげとげの藪、岩があるところに着きました。地面は砂地で、小高い丘がところどころにあります。とげとげの藪は、黄色い花をたくさんつけていて、ココナッツのようなあまい香りが一帯にただよっています。

ピリルとセオナルドは、倒木の皮をはぎとり、そりのかわりにひいて

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8*バルアトルケのパンツ事情

8*バルアトルケのパンツ事情

バルアトルケものがたりⅡ*8

「おかあさん!ただいま~~~!」

元気なセオナルドの声に、

「おかえり。セオナルド、楽しかった?」

晩御飯の支度をしていたおかあさんは、言いながら振り返り、絶句しました。

セオナルドの格好ときたら!薄い茶色の髪の毛には、あちこちに葉っぱや、小枝がついています。顔も泥だらけ。

着ていた半袖のシャツも、ほこりっぽく、手を拭いた後がついています。

セオナルドの

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9*おふろ

9*おふろ

バルアトルケものがたりⅡ*9

「お湯、すぐ用意できるから、ちょっとまっててね。」

セオナルドのおかあさんは、お鍋に水を足しました。

セオナルドのお土産のクローバーをゆがくために、お湯を沸かしてあったのですが、足りません。

セオナルドは、その場で服を脱ぎ始めてしまいました。パサパサと砂が床にこぼれ落ちる音が聞こえています。

「あらあら、もう脱いじゃったのね。服はここに置かないで先におふろ場

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10*朝の時間

10*朝の時間

バルアトルケものがたりⅡ*10

ピリルは、目を閉じていました。

はじめのうちは気持ちがざわざわして周りの音が気になり、30分がとても長く感じられました。途中でこっそり薄目を開けて、周りを見てしまうこともありました。

ピリルは不思議なことに気づきました。目を閉じた直後は、周りの音が気になるのですが、だんだん遠くに感じられてきます。周りの音が気にならなくなってくると、頭の中に何かが見えるようにな

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11*会議のあとに

11*会議のあとに

バルアトルケものがたりⅡ*11

その日はバルアトルケ会議があったので、セオナルドのおとうさんは夜遅くに帰ってきました。

次の日の朝 起きてきたおとうさんは、朝ごはんを用意しているおかあさんとテーブルに座っていたセオナルドにむかって言いました。

「昨日の会議のとき、海のそばにある村からきている人と隣あわせになって、少し話をする時間があったんだ。その村では、家を建てる人が少なくて困っているらしい

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12*来客の準備

12*来客の準備

バルアトルケものがたりⅡ*12

セオナルドのおとうさんは朝ごはんの後、すぐにでかけなくてはなりませんでした。

旅の勉強は今日はお休みの日。セオナルドとおかあさんは大忙しでした。

普段使っていない部屋の窓を開けました。部屋には荷物だけがあって、いつもは閉めきっているので、むっとした古い木のにおいがしています。セオナルドとおかあさんは、部屋の外にどんどん荷物を出していきます。

荷物を全部出し終

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13*川辺で

13*川辺で

バルアトルケものがたりⅡ*13

セオナルドとピリルは森の中に流れている川辺で遊んでいました。

川幅は広くて、ところどころ中央が浅くもりあがり、葦が生い茂って水鳥たちの楽園になっています。鳥たちはのんびりとえさをついばんだり、日向ぼっこをしたりと寛いでいます。

「朝の時間に、いつも見える景色があるんだよ。水がいっぱいあって、それは海、らくて、そばに古い崩れた家があるんだ。」

ピリルが言いまし

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14*おかしな格好をした女の子

14*おかしな格好をした女の子

バルアトルケものがたりⅡ*14

セオナルドとピリルは川に木の葉を流し、どちらの葉が先に流れていくのか、競争しています。

「葉っぱは、真ん中においたほうが速く流れるね!」

ピリルが言いました。

「うん、旅の勉強のとき、まっすぐな川の中を歩いて渡るときは、真ん中は流れが速くて、深さもふかくなっているから気を付けるように、って習ったよ。川が曲がってたら違うんだって。」

セオナルドが言いました。

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