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AzureVMをオートスケーリングさせてみますかな、意図的に

はい、今回は Azure仮想マシン(の数)を意図的に増やしたり(スケールアウト)、減らしたり(スケールイン)してみようと思います。

Azure Virtual Machine Scale Sets では、負荷分散が行われる VM のグループを作成して管理することができます。 需要または定義されたスケジュールに応じて、VM インスタンスの数を自動的に増減させることができます
公式ドキュメント:
仮想マシン スケール セットとは

AWS の場合では、こちらの記事で近しいことを紹介しました。
今回はこれとは若干異なりローリングアップデートではありません。

ちなみに、これらの記事のテンプレートでは実はムダに『スケール セット(VMSS)』を記述していたんですね。

なので、これらのテンプレートからデプロイされた VMSS のリソースでは、手動でスケールアウト/スケールインは可能なのですね。

手動スケール

この画像(Azure portal )の『 インスタンス数 』を変更すると、その数に従って増減します。

ただ、それだと面白くないので、増減の条件をあらかじめ指定して、その条件の状態を作り出し(この意味では手動ではありますが😅)、状態の変化を見たいと思います。

もちろん、今回もリソースは ARM テンプレートで作成します。

🔵前提

こちらの記事のテンプレートに追記します。
もしくは、仮想マシンインスタンスをWebサーバー化させた記事のテンプレートに追記します。

後者の方が、デプロイした後少し面白味がありますね。

追記するリソースは、『 Microsoft.Insights/autoscaleSettings 』です。

画像1


公式ドキュメント:
 microsoft.insights autoscalesettings
 ARM テンプレートを使用して Linux 仮想マシン スケール セットを作成する

このリソースに、設定を記述することで

画像3

このような、VM ( Ubuntu ) の CPU 使用率が上昇して「処理が厳しくなったよ~」をトリガーにスケールアウト、「落ち着いてきたから大丈夫だよ~」をトリガーにスケールインさせることにします。

🔵リソースの記述

以下の記述をテンプレートに追記しました。

     {
       "type": "Microsoft.Insights/autoscaleSettings",
       "apiVersion": "[variables('AutoscalesettingsApiVersion')]",
       "name": "[variables('autoscaleSettingsName')]",
       "location": "[variables('location')]",
       "dependsOn": [
         "[resourceId('Microsoft.Compute/virtualMachineScaleSets', variables('vmssName'))]"
       ],
       "properties": {
         "name": "[variables('autoscaleSettingsName')]",
         "targetResourceUri": "[resourceId('Microsoft.Compute/virtualMachineScaleSets', variables('vmssName'))]",
         "enabled": true,
         "profiles": [
           {
             "name": "Profile1",
             "capacity": {
               "minimum": "2",
               "maximum": "10",
               "default": "3"
             },
             "rules": [
               {
                 "metricTrigger": {
                   "metricName": "Percentage CPU",
                   "metricResourceUri": "[resourceId('Microsoft.Compute/virtualMachineScaleSets', variables('vmssName'))]",
                   "timeGrain": "PT1M",
                   "statistic": "Average",
                   "timeWindow": "PT5M",
                   "timeAggregation": "Average",
                   "operator": "GreaterThan",
                   "threshold": 60
                 },
                 "scaleAction": {
                   "direction": "Increase",
                   "type": "ChangeCount",
                   "value": "1",
                   "cooldown": "PT1M"
                 }
               },
               {
                 "metricTrigger": {
                   "metricName": "Percentage CPU",
                   "metricResourceUri": "[resourceId('Microsoft.Compute/virtualMachineScaleSets', variables('vmssName'))]",
                   "timeGrain": "PT1M",
                   "statistic": "Average",
                   "timeWindow": "PT5M",
                   "timeAggregation": "Average",
                   "operator": "LessThan",
                   "threshold": 30
                 },
                 "scaleAction": {
                   "direction": "Decrease",
                   "type": "ChangeCount",
                   "value": "1",
                   "cooldown": "PT1M"
                 }
               }
             ]
           }
         ]
       }
     }

◻全体像

まず、一番粗い粒度で全体を見てみます。
"properties" が記述の肝です。

最上位

"properties" の全体像

"properties" を深堀すると、"profiles" が記述の肝であることがわかります。

画像10

"properties" > "profiles" の全体像

"profiles" を深堀すると、「 Profile1 」というものだけが見えてきました。
これは私が "name" で指定した任意の記述(値)ですので、汎用的なものではありません

画像11

"properties" > "profiles" > "Profile1" の全体像

ようやく重要な(核となる)部分が見えてきました。
"capacity" と"rules" が今回追記する中核的な存在の記述の部分です。

画像12

"properties" > "profiles" > "Profile1" > "capacity"

画像13

今回は、

"minimum": "2",
"maximum": "10",
"default": "3"

と設定しました。
ざっくり言うと、『 最低 2台(インスタンス)でスケールセットを構成し、最大 10台(インスタンス)まで増加することができる 』といった感じです。

参考:ScaleCapacity object

Azure portal から確認すると、『 インスタンスの制限 』の部分です。

インスタンスの制限

"properties" > "profiles" > "Profile1" > "rules"

Azure portal から確認すると、『 ルール 』の部分です。
今回は、2つルールを指定しています。
スケールアウトとスケールインをそれぞれ 1つずつです。

ルール

それぞれのルールに

"metricTrigger":
"scaleAction"

を記述するのですが、
スケールアウトの場合、"scaleAction": > "direction" の値を『 Increase 』に

"scaleAction": {
   "direction": "Increase", 👈
   "type": "ChangeCount",
   "value": "1",
   "cooldown": "PT1M"
 }

スケールインの場合、『 Decrease 』と記述します。

"scaleAction": {
   "direction": "Decrease", 👈
   "type": "ChangeCount",
   "value": "1",
   "cooldown": "PT1M"
 }

それぞれ条件を満たした場合に、インスタンスを1つ増やす/減らすという指定になっています。

この条件の部分が『 "metricTrigger" 』にあたり、CPU 使用率が 60%を超えたらスケールアウト、30%を下回ったらスケールインという感じになっています。

なお、今回は CPU 使用率をトリガー(条件)にするので、"metricName": "Percentage CPU" としています。

◆スケールアウト
"metricTrigger": {
    "metricName": "Percentage CPU", 👈メトリックを指定
    "metricResourceUri": "[resourceId('Microsoft.Compute/virtualMachineScaleSets', variables('vmssName'))]",
    "timeGrain": "PT1M",👈メトリックの単位収集期間、今回は1"statistic": "Average", 👈メトリックの単位収集期間での集約方法、今回は平均
    "timeWindow": "PT5M",
    "timeAggregation": "Average", 👈収集されたメトリックを平均で集計
    "operator": "GreaterThan",
    "threshold": 60 👈
}
                 
◇スケールイン
"metricTrigger": {
    "metricName": "Percentage CPU",
    "metricResourceUri": "[resourceId('Microsoft.Compute/virtualMachineScaleSets', variables('vmssName'))]",
    "timeGrain": "PT1M",
    "statistic": "Average",
    "timeWindow": "PT5M",
    "timeAggregation": "Average",
    "operator": "LessThan",
    "threshold": 30
}
参考:
MetricTrigger object
ScaleAction object
自動スケール ルールの条件
Azure Monitor のサポートされるメトリック  > Microsoft.Compute/virtualMachineScaleSets

関連する追記した "variables"

"AutoscalesettingsApiVersion": "2015-04-01"
"autoscaleSettingsName": "[concat(parameters('EnvironmentName'),'-ASS')]"

の二つを追記してリソースから参照させています。

なお、この二つはベタ書きしてしまっても問題ないですし、値もこれでなく任意のもので全然問題ありません。

🔵スケーリング実行

リソースをデプロイし、想定する動きをするか確認します。

負荷をかける

片方の VM(インスタンス)の CPU 使用率を意図的に100% 程度に上昇させます。

画像5

デプロイされた時には、2 台のインスタンスだけが存在しますので、今回は、インスタンス ID が『 2 』の VM にログインし、以下のコマンドを実行しました。

azureuser@demo-vmss000002:~$ yes > /dev/null

少し待つと、

画像4

うわ~、一気に CPU 使用率が上がってほぼ 100% 貼り付き状態になりました。

そして、

画像6

1台インスタンスが増えました。
平均 CPU使用率60%を超えた状態が続いたので、スケールアウト発動です。

負荷を戻す

再度インスタンス ID が『 2 』の VM にログインし、Ctrl + C で先ほどのコマンドを停止させました。

少し待つと、

画像7

ふぅ~良かった、CPU 使用率が一気にほとんど使われていない状態に戻っていきました。

そして、

画像8

先ほど増えたインスタンス ID が『 4 』の VM が、平均 CPU使用率30%を下回る状態が続いたので、スケールイン発動で消滅しました。

ということで、想定通りの動きが確認できました。

🟠今回はここまで 🔚

いかがだったでしょうか?

実際に運用で使う場合、特殊なケースを除き手動でスケーリングを行うことは基本的になく、この記事のように何かしらの事前定義したトリガーに従って行うことになると思います。

システム運用においても自動化は当然大事ですね。

最後までお読みいただきありがとうございました 😊

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