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著者インタビュー #19【宮 海彦さん】

今回は2019年2月に発売し、好評発売中の『シルク・ドゥ・ソレイユで世界を巡る住み旅』。その書籍の著者である宮 海彦さんに、執筆時のエピソードや内容についてのポイントなどについて伺いました。

著者プロフィール

宮 海彦

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幼少期より体操をはじめ、朝日生命体操クラブ(現:塚原体操センター)にて本格的に練習を開始。金メダリストである塚原氏、ソビエト連邦のアンドレ・アノフ氏、日本代表コーチを歴任している森泉貴博氏に師事。高校ではゆかと跳馬で全国優勝する。明治大学に進学し、オリンピックを目指すも体操競技の成績は思うように伸びず引退を決める。大学卒業後、青年海外協力隊としてパナマ共和国へ赴任。2年間体操競技の発展と過疎地での体育教育の普及活動に励む。
その後、新たな目標を定め渡米。就労ビザもコネも無い中、体操クラブを直談判して回り無事就職。アメリカで2年半働き、目標に近づきつつある頃、人生に欠けているものを埋めるべくシルク・ドゥ・ソレイユに応募。すぐにキャスティングチームから声がかかり、新規オープンするショーのアーティストとして参加。ショーの名前がトーテムと発表され、そのロゴのキャラクターに抜擢。チーム内、会社からも信頼を得て、コーチも兼任。
2016年にはトーテム日本公演のため凱旋帰国。テレビやラジオ、新聞、雑誌にも多数出演。2018年末までの約9年半トーテムの顔として46都市、12カ国で3085公演の後シルク・ドゥ・ソレイユを卒業。2019年より世界的演出家ロベール・ルパージュ(Robert Lepage)氏率いる海外公演の舞台に出演。日本国内では講演や社会起業家として様々なことに挑戦。

著者インタビュー

――本が発売されたのは2年前(2019年2月)になりますが、出版してみて周りの反響はどうでしたか。出版当初と今で違いなどありますか?

宮 海彦(以下宮):私が本を出版したことに周囲の方々は驚いていました。今との違いは、実はそれほどありません(笑)

――なぜ本書を書きたいと思ったのかを教えてください。

宮:大学卒業後、海外へ出るにあたり、自分がおもしろい人生だったら本を書きたいと思っていましたし、本を書けるようなおもしろい人生を送りたいと。

――「本を書く」との思いがずっとあったのですね! 執筆時に大変だったことや苦労したところはなんでしたか。

宮:自分の文章にたくさんの癖があることを気づかされました。どんな言葉を選ぶのか、つじつまが合っているのかなど、整理するのは大変でしたが、書くことはおもしろかったです。

――本書で一番気に入っている推しのポイントやエピソードはどこでしょうか。

宮:世界最高峰のエンターテイメントグループで世界を公演して周り、多国籍の集団で暮らし働くという、一般の方からはなかなか想像できない未知の世界を味わえるところでしょうか。そんな超人たちがどんな人間なのかを知れるのは、この本だけだと思います。ぜひ知らない世界を覗いてみてください。

――本当にどんな生活をしているのかとか、未知な部分が多く、知らない世界が味わえる1冊ですね。どんな人へ特におすすめしたいですか。

宮:世界は広いのに、狭い価値観の中だけで苦しんでいる方々や苦労している方々、若い世代に読んでいただきたいです。

――それでは本書の教えを読者が最大限に活かせるように、有効な読み方を教えてください。

宮:わかりやすいよう簡潔に短く書いていますので、どなたにでも読んでいただけると思います。海外での経験を読者の方にも自分ごととして読んでいただいたり、その奥にある本質的な心の持ちようで、いかようにもなるということも感じ取っていただけたら嬉しいです。

――宮さんにとって旅の最大の魅力はどんなところにあり、旅することで得られるものは、どういったことがありますか。また、旅することと住み旅の違いはありますか。

宮:旅の最大の魅力は未知なるものとの遭遇です。そこでの驚きや発見、学びが人生を楽しむスパイスになります。
旅と住み旅での大きな違いは、住むからこそ見えてくる地域性や人間性、その街の日常の流れに触れ合うことで、観光とは違った魅力に出合えます。


――これまで訪れた場所で一番感動したところはどこでしょうか。また、あまり知られていないスポットでオススメもあれば教えてください!

宮:私はあまり感動しないほうですが、ペルーのマチュピチュは感動しました。あんな場所にどのように建てられたのかは未だにミステリーなので、そこも魅力のひとつです。
それほどメジャーでない場所でオススメなのは、ギリシャのメテオラやポルトガルのシントラですね。魅力的な建築物や歴史が期待以上に素晴らしかったのでオススメです。

――貴重な体験の数々をおもちですが、そんな中に昨年の9月には自転車で日本一周旅をしたそうですね。どんな目的があり、どのような体験をしてきたのでしょうか。

宮:以前から関心のあった農業(自給自足ライフ)や日本文化を、実際に自分の目で見たり聞いたり、メディアからの情報だけでなく実際はどうなのか、などといったことを体感したいと思っていました。しかし海外生活でずっとできなかったので、舞台が長期開催されない時間をいただけたため、この機会に行こうと思い立ちました。

今回の旅の目的は、農業をエンターテイメント化できないか探る、
というのが大きなテーマでした。さらに経済中心でお金がないと生きていけないと思っている人が多いと思いますが、農家さんでお手伝いをすれば食事と寝床を提供していただけるWWOOF(ウーフ)という制度を使い、お金がなくても生きていけることの証明をしたかったです。

※WWOOF ジャパンの詳細はこちら。https://www.wwoofjapan.com/

そして思ったとおり、日本の文化や人々は素晴らしく、地方こそ豊かな暮らしがあると再認識させられました。さらには、まだまだ日本について知らないことが多いのにも気づかされました。暮らしや自然環境を守っていくためには、インスタントな大量消費生活から脱却し、丁寧な暮らし、美しい自然を大切にする暮らし方へ移行していく人たちを増やしていくのが望ましいと考えました。

――とても素晴らしい体験と想いですね! 最後に、今回のnoteを読んでいただいた読者へメッセージをお願いします!

宮:日本中、世界中を住み旅してきたことで、豊かさとは何か、日本文化とはどんなものなのかを改めて考えさせられました。経済至上主義的で物質的な都会的な暮らしも否定はしませんが、その暮らしができるのも自然環境あってのものです。
世界中で美しい風景や海、山などを見てきましたが、反面ゴミで溢れ異臭のする場所へ変わってしまっているところも目の当たりにしました。それが私たちの無意識な暮らし、行動によって破壊されていくのは、誰も望んでいないと思います。
その無意識を意識的にし、それでも豊かに生きていける精神的な成熟度を持ち合わせている日本人は、これからの世界をリードしていく大きな可能性を持っています。しかし現実にはそうなっていないのが。本当にもったいないです。

私たち日本人が長年培ってきた成熟した精神性を世界が必要としている時代だと思うので、そこに気づき、実践していくことが大切だと思います。

ですが、気づけと言われて気づけるなら、とっくにできているはずですよね。それをエンターテイメントの魅力で気づく人を増やしていけたらいいなと考えております。どんなことができるのか、もしくはできないのか、未知への一歩を踏み出しますので、応援していただけたら幸いです。

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書籍紹介

日本でも常に注目を集め続ける世界最高峰エンターテイメントグループ、シルク・ドゥ・ソレイユ。

スーツケース2つに荷物を積み込み、シルク・ドゥ・ソレイユ、ツアーショーの1つ「トーテム」に創作段階から携わり9年以上世界中を公演してまわる著者の宮海彦さん。

言葉も文化も違う個性的な一流たちが集う中、日本人で初めてシルク・ドゥ・ソレイユのショーのロゴとして抜擢され、演目のキャプテン兼コーチも任される著者が住みながら旅をする“住み旅”を通して得た体験談や人生哲学、世界基準の考え方や日本と世界の比較などを26話にまとめました。

旅をすると様々なヒトやモノ、シチュエーションに出会います。良いことも悪いことも両方ともありますが、どちらにしてもそれは学ぶチャンスです。旅は人生を面白く豊かにするスパイスだと思うのです。では、シルク・ドゥ・ソレイユの舞台裏、旅の中へとご案内いたしましょう!

※本書は、電子書籍版「シルク・ドゥ・ソレイユで 世界を巡る住み旅」の3部作の一部を再編集し、また新たに書きおろした5話を加筆したものです。本書にはない、シルク・ドゥ・ソレイユの裏話などは、電子書籍版三部作を合わせてご覧になってください。

【目次】
第1章 世界を巡る“住み旅”
第2章 シルクはスターを作らない?!
第3章 世界から学ぶ
第4章 世界の舞台に立つメンタル

第一章までの無料全文公開も合わせてお楽しみください!


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