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『大手ハウスメーカーに勝つ秘策 中小住宅メーカーが絶対取り組みたい広報・PR戦略』第一章・無料全文公開

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■住宅業界はいまだかつてない危機感を覚えています

「いまだかつて、住宅業界がこれほどの危機に直面したことがあっただろうか? このままでは多くの住宅・不動産会社がつぶれてしまう!」

私、中野泰植は近年、そんな危機感を覚えるようになりました。ひょっとすると、皆さんの中にも同じように感じている人は多いのではないでしょうか? そんな私が危機を脱する秘策として目を付けたのが「広報・PR」という手法です。まだ住宅業界ではなじみの薄い言葉ですが、他の業界ではすでにこれで経営を上向かせている企業がたくさんあります。そこで、少しでも多くの住宅・不動産会社に、広報・PRを知ってもらいたいと願って企画したのが、この本です。
私に広報・PRのことを指南してくれたのは、この道の第一人者で、自身も「マツコの知らない世界」や「笑っていいとも!」など多数のテレビ番組に出演して活躍しているPRコンサルタントの井上岳久先生です。ご自身が広報・PRを使って数々の成功を収めているのだから、これほど信頼できることはありません。

■私、中野泰植のことをお話しします

私、中野泰植のことをお話しします。
本論に入る前に、少しだけ私のことを説明したほうが、話が早いと思います。私は2004年に「住宅・不動産」業界を専門にした広告会社、株式会社チタンを創立しました。私は、もともとは某大手広告代理店でデザイナー、アートディレクターとして、様々な業界の広告、チラシやホームページなどを制作する仕事をしていました。

この本をお読みの皆さんは、今まで何度も広告代理店や印刷会社に仕事を依頼されたことがあると思いますが、同時に広告を依頼した皆さんは、「こんな基本的なことも知らないの?」「こちらの言ったことを載せただけじゃないか?」「もっとうちのことを調べて作ってよ!」と腹立たしい思いをされた経験があると思います。どうして、このようなことが起きるかというと、多くの広告会社(含むホームページ会社)では、仕事の目的が、御社の「売上増大」ではなく、一刻も早く広告を作り、納品することになっているためです。中身のある広告を作るよりも、とりあえず見栄えの良い綺麗なデザインの広告を作るほうが、手間がかからなくて済むからです。当該企業のことについて、全く知識がない状態で広告を作っても、成果が出ないのは当然のことです。

独立前の私は決して安くない金額を頂いていながら、このような売上げにつながらない広告、チラシやホームページなどを提供することに対して、お客様に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。そして、お金を支払っていただいた分の対価に見合った広告、役に立つ広告、相手に喜ばれる仕事をしたいと思いが年々強くなり、結果、会社を辞めて独立することにしました。

独立して最初に決めたことは、誰の役にも立たない無意味な広告、チラシやホームページは作らないということです。本当に売れる広告、お客様に役に立つ、喜ばれる仕事をしようと決めました。「売れる広告」を制作するために、お客様の商品や業界については、お客様以上の知識が必要となります。そのため、仕事をするお客様の業界を絞ることにしました。「何でも屋」では、役に立つ仕事は「何もできない」と思ったからです。その結果、それまでの仕事でも多数の案件を成功させた経験があり、確実に成果を出せる自信のある「住宅・不動産」業界に的を絞ることにしました。

また、単なる「広告屋」でなく、お客様のお役に立つ、「売上」を増やすことを仕事の目的にすることを明確にするために、自社の仕事を「広告」業ではなく「広告コンサルティング」業と標榜することにしました。
「広告」業と「広告コンサルティング」業の違いは、単に見た目が綺麗で見栄えの良い広告=チラシやホームページを作るのでなく、3C分析(自社、競合、消費者)やSWOT分析(強み、機会、脅威、弱み)などの「マーケティング」メソッドに基づいて広告を作成することです。

今でも同じですが、多くの広告会社やホームページ会社では、単に綺麗かどうか、好きか嫌いかだけで広告を制作しています。このようなやり方で広告を作っても「売れません」。
「売れる広告」を作るためには、まず消費者が何故、自社の商品を買わないのか、買ってもらうためには何が必要かということをマーケティング分析する必要があるからです。
おかげさまで、独立してから、現在では70社以上の住宅会社様とお付き合いをしています。あの時の選択は間違っていなかったと胸を張って言えるようになりました。

でもその一方で、住宅業界の競争は年々激しくなってきていることを感じています。特にチラシやホームページを使った1組当たりの集客コストは私が独立したころの倍以上に高騰しており、生き残る会社と、そうでない会社の二極化がさらに激しくなることが予想されます。
そのような現状で、如何にローコストで優良な見込客を獲得できるかが住宅会社にとって、ますます重要となります。当社では、上記のことを実現するために常に新しい「集客技術」に取り組んでお客様の期待に応えてきましたが、これからの競争が激しくなる時代は、それだけでは足りません。今までにない方法が必要となります。そして、その答えの一つが「広報・PR」であるというのが、私の考えです。

 ■直面している問題は「集客の減少」と「集客費用の高騰」

そんな経費削減の折、住宅メーカーの皆さんが最も悩んでいる問題は、「集客の減少」と「集客費用の高騰」でしょう。現在、見込客1組を集客するのにかかる平均的な費用は見学会で3万円、展示場では7万円を超えるとの試算があります。それだけ世の中の人が、住宅を買いに来なくなっているのです。しかもこの費用は今後ますます高騰することが確実です。
皆さんがご存じの通り、家を建てる層はどんどん減っています。高齢化社会が進み、就労人口が減少しているからです。働いて収入があるからこそ、「家」という大きな買い物ができるわけで、仕事を引退して収入がなくなってから家を買う人は、ほとんどいません。また、現代は格差社会が進み、一部の大手企業に勤める社員は良い給料をもらっているかもしれませんが、給料が物価の上昇に追いつかず、アクセクしている市民が大多数です。マイホームを持たずに、一生賃貸で済まそうと考える若夫婦も増えています。いや、それどころか、家族を養っていく自信がないので、結婚しないことを選択する若者も増えているのが日本の現状です。これでは家を買うどころの話ではありません。

それに加えて、もうすでに物件が十分足りているという実状もあります。高い金額を出して新しい物件を建てたり購入したりするよりも、古い物件を買ってリフォームやリノベーションをしたほうが、ずっと安上がりだと考える人が増えるのは当然のことです。数年前に90万戸といわれていた新築着工件数が、現在は60万戸にまで減っています。消費増税を見据えた駆け込み需要があるうちはまだいいですが、それが過ぎた後には、年間40万戸にまで減ると言われています。不動産は持っているだけ維持費がかかって損な「負動産」だなんて言葉まで生まれる始末です。
その分、リフォーム・リノベーション分野は活況を呈しているように見えますが、受注金額は新築物件と比べれば小さなもの。つまり住宅市場はどんどん縮小しているのです。厳しいことを言うようですが、住宅業界は「斜陽産業」なのだということを、しっかり自覚しなければなりません。はっきり言いますが、20~30年後には今ある住宅メーカー(工務店を含め)のうち約半分はなくなっているでしょう。

 ■これでいいのか、チラシとポスティング頼みの現状

現状、住宅会社が集客の手段としているのが、昔と変わらぬ「チラシ」と「ポスティング」です。
近年になって、ようやく住宅メーカーにも「ホームページをきちんと整備しなければ」という機運が出てきましたが、私からすると、そんなことは他の業界では20年前に始めていたことで、住宅業界は一世代遅れています。理由は、パソコンやインターネットを難しいと感じている住宅メーカーが多いからです。「新しくて難しいことに手を出すよりも、慣れたことをやり続けるほうが楽」との意識があるからです。職人気質の人が多い住宅業界では仕方のないことかもしれませんが、そろそろこの固定観念から抜け出さなければいけません。

今や「家を買いたい」「リフォームをしたい」と思った人たちが、最初に見る情報源はインターネットです。もちろん大手ハウスメーカーは時代の流れに乗って、とっくの昔にホームページを充実させています。だから中小住宅メーカーの意識がやっと変わり始めたのは、望ましいことだと思います。
けれどホームページは万能ではありません。御社を気にしてくれた人がアクセスしたときに、ホームページが充実していれば好印象を持ってもらえ、購入意欲も前進するでしょう。ホームページとは、そういう「ベース基地」のような存在です。だから劇的に集客を増やす効果は、なかなか望めません。

他にこれといった集客の手段がないため、費用のかかるチラシやポスティングに頼っているのが現状ではないでしょうか。月のチラシ代は200~300万円にもなります。
けれど、それは他社もやっていることです。つまり、今ある集客方法は、競合する住宅メーカー同士が同じお客様を取り合っているだけなのです。狭い釣り堀にいる数少ない魚を、隣の人とぶつかりそうになりながら、皆で狙っている……これが現状です。

 ■問題を一挙に解決するのが広報・PR

だんだん、問題点がはっきりしてきました。解決しなければならないのは、
①集客の費用を削減すること
②他社とは違うところからお客様を集めること

この2点といえそうです。

その両方を一挙に解決できるのが、冒頭で話した広報・PRです。これを使えば、なんと無料で集客ができる上に、チラシやホームページでは集客できなかったお客様を集めることができます。
嘘のような話に聞こえるかもしれませんが、テレビや新聞、雑誌などのメディア(=マスコミ)に、広告費などを払わずに、自社の情報を無料で掲載する手法で、そのノウハウもすでに確立されています。

こんな経験はありませんか?
「あのライバル会社、うちと同じくらいの規模なのに、やけにテレビや新聞で見かけるな?」
それは間違いなく、広報・PRを駆使しているのです。知っている会社だけが密かにトクをしているテクニック、他社だけにオイシイ思いを味わわせておく手はないではありませんか!
次からは、いよいよ広報・PRについて説明していきましょう。

 ■広告費を払わずに新聞やテレビに出してもらおう!

最初に簡潔に説明してしまうと、広報・PRというのは、広告費は払わないけれども、おもしろい情報を「プレスリリース」という資料にして配信することで、新聞や雑誌、テレビなどのメディアに自分たちの商品を載せてもらうことです。
「そんなことができるのか?」と疑問に思うかもしれません。でも新聞を開いてみてください。例えば経済面に、新しいビールの記事が載っているでしょう。これは広告ではないので、メーカーは新聞社にはお金を1円も払っていません。だけど「こういうビールが出ますよ」というプレスリリースを送ったら、記者が「読者の関心が高そうだ」と判断して、記事を書いてくれたのです。

この記事を目にした、一体どれだけ多くの読者がこのビールを買ってくれるでしょう。費用0円にして、効果は莫大なものです。これを住宅業界でも応用するべきだというのが、私の考えです。
私に広報・PRを教えてくれ、この本を一緒に執筆してくれた井上岳久さんは、広報・PR業界ナンバー1で、官公庁にも指南するほどのスゴ腕の人物です。

 ■間違った広報・PRが多い中、井上先生が信用できる理由

実ははじめ、私は広報・PRというものに、少し疑いの目を持っていました。というのは広告の代理店と同じように、広報・PRにも代理店があり、金額も1千万円から数万円程度までまちまちで、しかも結果を保証しないというのですから、私が疑わしく思ったのも仕方ありません。コンビニで100円出したら、おにぎりやコーラなど100円に見合ったそれ相当のものが買えるけれど、代理店にはその保証がないのです。そんな商売があるでしょうか?

例えば、ある広報・PR専門家を自称する人の講座を聞きに行くと、「私が広報・PRで成功した第一の理由は、浪人しても慶応義塾大学に入学したことです」と話していました。ご存じの方もいるかもしれませんが、慶応は愛校精神が強く、就職課で卒業生名簿などを見ていきなりOBに連絡することも、よく行なわれていたのです。その人脈を駆使して新聞社やテレビ局の人たちともツテを作って、新聞やテレビに取り上げてもらったというのですが、そんなことを真似できる人が一体世の中にどれだけいるというのでしょうか?

あるいは、たまたま会社にいたときに、自社の商品が時流に乗ってヒットし(最近でいえば「インスタ映えするかき氷」など)、「私は広報・PRが出来るんだ」と言っている人もいます。つまり多くの広報・PR専門家を名乗る人が、「人脈頼み」か「偶然頼み」で、全く参考にならない話ばかりだったのです。

また、ある住宅メーカーが広報・PRをうたい文句にしていたので内容を見てみたところ、「フェイスブックを書こう」「『いいね!』をたくさんもらおう」といった内容でした。断じて言いますが、これは「間違った広報・PR」です。なぜならフェイスブックなどのSNSは、その会社のことを知っている人が見てくれるもので、知らない人が見に来てくれるものではないからです。いくら頑張って投稿しても、そこから新しいお客様には広がっていきません。単なる自己満足に過ぎず、フェイスブックで売れた物件など一軒もないのです。

しかし、井上先生の講座を聞いたとき、「これは信用できる!」と直感しました。というのは、井上先生の話は非常にロジカル(論理的)で、実際に自分のやり方で大きな成功も挙げていたからです。後でご本人も書くと思いますが、カレーの専門家でもあり、メーカーやコンビニエンスストアなどと共同で開発した数々の商品やメニューを、広報・PRを使って大ヒットに導いてきた経験があります。
それに他と大きく違うのは、井上先生は「私でなければできない」とは言わないことです。再現性があり、井上先生が言う通りにやれば、誰でも確かに成功できると思えるのです。実際にPR講座を聞きに来た企業の人たちは、93.7%がメディアに載ることに成功したという、非常に高い数字も出ています。(経営合理化協会調べ)

「やり方さえマスターすれば、誰にでも出来る。やるかやらないかは、あなた次第」ということは、社員数わずか数名の小さな工務店でも、やる気さえ出せば広報・PRができるし、人に頼まなくていいということは無料でできるということです。
これこそ、今後ますます厳しくなる住宅業界にとって必要なものだと確信したのです。

 ■広報・PRはチラシやホームページと相乗効果を生む

先ほど、広報・PRは、
①集客の費用を削減すること
②他社とは違うところからお客様を集めること

の2つの問題点を解決できる、と書きました。①については無料で載せてもらえるという説明で、納得していただけたと思います。

②については、もう少し説明をしたほうが良いでしょう。
新聞やテレビなどで紹介されれば、そこで御社を知った人が、新たなお客様になってくれるかもしれません。まずはあなたの会社を知らない人に、御社の存在を知ってもらうことに力を注ぎましょう。知らなければ注文など来るはずがないからです。
例えば、私がよく言うのは、「現場シートに自社PRを入れよう」というものです。建築期間の数か月間はずっとPRし続けられるので、無駄にする手はありません。通りかかった人がそのシートを見て、そういう会社が近所にあることを知り、建てている家も素敵なので、うちも頼んでみようかな……と思ってくれるかもしれません。チャンスはどこにでも転がっています。
現場シートでもそれだけの威力を発揮するのですから、数千万人が見ているテレビ、数百万部が発行されている新聞などマスメディアの威力は計り知れません。「テレビに出ていた会社だ!」となれば、世の見る目は驚くほど変わるのです。

そこで私が勧めたいのは、従来のチラシやポスティングといった広告やホームページも続けつつ、広報・PRと両立することです。
なぜなら、新聞やテレビを見て興味を持った人は、今はまずインターネットで検索するからです。そのときに御社のホームページが無ければ、せっかく興味を持ってくれた人との赤い糸はそこで切れてしまうでしょう。なんとも、もったいない話です。
もしあったとしても、その中身がスカスカだったら、やっぱりガッカリするでしょう。そうならないために、受け皿としてホームページを充実させておくことは必要です。実際に初めて来店したお客様でも、ホームページをずっと見ていたので、心の中ではすでに「馴染みの工務店」になっていたというケースもあります。

チラシとポスティングも、地域のお客様に届けるという点では、やはり住宅メーカーにとって無くすことはできない存在です。ただ、それを手にしても、右から左にポイしてしまう人が多いのは、悲しいけど現実です。だけどチラシを見たときに、「この前、テレビでやってた住宅会社だ!」となれば、じっくり見る人は多いはず。そんなふうに広報・PRは、広告やホームページとダブルで用いると、相乗効果を発揮するものなのです。

■広報・PRのブランド効果とリクルート効果

広報・PRには他にも効能があります。
①会社の信用度がアップし、ブランド効果が生まれる
②社員たちのやる気が増し、新入社員のリクルート効果もある

①については、住宅メーカーは皆、「欠陥住宅は決して作らない」「耐震技術に力を入れる」など、それぞれに信念を持って業務に取り組んでいると思います。けれど、それをいくら広告に書いても、結局それは本人たちが言っているだけの主観的なことだと受け取る人も、世の中には多くいます。
しかし、同じことを新聞やテレビといった「第三者」が客観的に報道すると、とたんに信頼度が高まるのは人間の特性です。メディアに取り上げられると、そういう「ブランド効果」があります。来店してくれたお客様に「この間、日経新聞にも載ったんですよ」とさり気なく記事を見せれば、お客様も「見た目は小さいけど、そんなにすごい会社なのか!」と見る目が変わります。
銀行など金融機関からの信頼度も増し、資金調達が楽になるでしょう。

②については、あなたの会社が新聞やテレビに出たときのことを想像してみてください。きっと社員は喜ぶでしょう。自分たちの顔や名前が紹介されればなおさらですが、例えば御社の名前や物件が出るだけでも、「ウチの会社がテレビに出たんだ」と家族や友人に自慢したくなるのではないでしょうか。
「新聞やテレビに出るほどの会社に勤めている」
これは会社を誇らしく思い、社員たちの働く士気も高めます。

さらに働き口を探している人たちが、「この間テレビに出ていた会社だから」と就職を希望し、より良い人材を採用できる確率も高くなります。これをリクルート効果と呼びます。
今、住宅業界が深刻な人材不足に見舞われているのはご存じの通りです。建築業界は3Kで、どんどん現場離れが進み、人材が足りずに着工が遅れる現場もあるほどです。住宅メーカーでも、お客様の来店が多い土日に出勤しなければならないことがネックになっています。その分、給与がいいというメリットはありますが、それも今では下がり気味。現代の若者は給与も大事だけど、それより仕事のやりがいや自分らしい生き方を求める人が増えてきて、住宅メーカーは敬遠されています。
そんな状況で、広報・PRが持つリクルート効果は見過ごせません。これからますます進むであろう人手不足に備え、今から対策をすべきです。

■金額の高い住宅は有名な会社に任せたくなるもの

さらに私は、住宅業界と広報・PRはとても相性がいいのではないかと感じています。
その理由は2つあって、
①住宅は単価が高い商品であること
②新聞の読者には、住宅メーカーにとっていいお客様が大勢いること

です。

①について説明します。住宅は自動車や宝石など価格の高い商品の中でも、「一生で最大の買い物」と言われるように、最も高価な買い物です。そんな買い物をするとき、あなたがお客様の立場なら、どんな店を選びますか?
名前の通った店を選ぶのではありませんか? それも、多少値段が高くても。
一般的に、施主が住宅メーカーで見積りを取るとき、三つ巴の競争になることが多いのは、皆さんもよく知っておられる通りです。

1つ目は誰もが知っている、大手のハウスメーカー。価格は多少高めですが、そこに頼んだと話せば、誰もがわかってくれるような信頼感があります。
2つ目は地元では大きな工務店。地域密着型であるため、施主の望みも聞いてくれる安心感があります。
3つ目は、主に私が取引をしている中小住宅メーカーです。地元の工務店よりはコネクションがあるので、資材なども安価で調達できますし、大手に負けない技術力もあります。私たちはいつも、この「3つ目の候補」に入ることを目指して闘っています。3社に残れば、取りあえず施主さんに会うことができますから。

けれど見積りを出し合った後で、非常に残念なことに、大手のハウスメーカーが選ばれることが多いですよね。私たちのほうが安い見積りを出したにもかかわらずです。これは、高額な買い物をするときには、金額は多少割高でも、信頼感のある有名なところで買いたいという気持ちが、人間の中にはあるからです。そういうときには「家を作るなら~♪」という、テレビで聞きなれたCMソングが耳に聞こえるものなのです。100円と80円のパンを比べるなら話は別ですが、高い買い物ほど、人は慎重にならざるを得ません。

でも広報・PRをして、あなたの会社の名前が広く知れ渡っていたら、「ああ、あの会社なら有名だから安心だ」となるのです。これが「有名効果」=「ブランド効果」のすごさです。一度、ブランドとして認知されてしまえば、商売は数段しやすくなります。グッチやプラダのバッグが驚くほど高い値段なのに、一般のメーカーと比べて飛ぶように売れていくのもそのせいです。
私もこれまで、取引先の中小住宅メーカーが相見積もりで惜しいところで仕事を逃すのを何度となく見てきました。だからこそ、私の取引先には有名な会社になってもらいたいと思い、広報・PRをオススメするのです。

■新聞を購読する世帯は「いいお客様」

②については、広報・PRで掲載を目指す第一の目標が「新聞」です。もちろんテレビや雑誌、インターネットなどでも紹介されるに越したことはありませんが、最もスタンダードなのは新聞に載ることです。今の時代はテレビのほうが影響力は大きいかもしれませんが、世帯主である大人の男性が最も信頼する情報源は、やはり新聞です。子どもや主婦がよく見るテレビに出ても、彼らが家を買えるわけではありません。それよりも、家を買うお客様になりうる大人の男性にジャストミートする新聞に載ることが重要なのです。

しかし、現代の日本では「新聞離れ」が叫ばれています。若い世代の中には、「新聞を読まなくても、ニュースはインターネットで見るからいいや」という人は少なくありません。新聞の発行部数も昔に比べると減ってきてはいます。
けれど、信頼度が高く影響力はテレビと並ぶくらい大きい媒体であることは変わりありません。それに新聞は、デジタル版といってインターネットでも情報を提供しています。従来の紙に加え、パソコンやスマホでも容易に閲覧が可能になっていて若い世代でも十分に効果がある媒体へと進化しています。だから新聞に載る効果は大きいのです。
新聞を購読しているということは家計に余裕があるということです。社会問題にも関心があり、生き方に対して意識の高い家庭だといえます。家計に余裕があって、意識が高いということは、住宅を購入する可能性も高いといえるはずです。

こうしたことが、私が「住宅業界は広報・PRと相性が良い」と考える理由です。

■早く始めた者ほど、おいしい蜜が吸える

さて、改めて住宅業界を見回してみて、私が感じるのは、住宅業界には広報・PRがほとんど知られていないということです。他の業界では2010年頃から広報・PRが活性化していますが、住宅業界で取り入れているのはごく一部の大手だけで、ホームページと同じように広報・PRに関しても住宅業界は一世代遅れています。
逆に言えば、早めに乗り出した者勝ちということです。何事においても、最初に始めた人が一番おいしい蜜が吸えるのは、世の常です。後になればなるほど、取り分は少なくなっていきます。幸いにも住宅業界は認識が遅れていたために、今ならまだ先駆者になれるのです。こんな千載一遇のチャンスを逃す手はないではありませんか!

ここで私が力説したいのは、広報・PRは自分たちでするということです。
なぜなら井上先生が言うように、ノウハウさえつかんでしまえば、代理店にお金をかけて頼まなくても、十分に自分たちでできることだからです。自分たちでやれば、もちろん費用は無料です。

それに会社のことは、自分たちが一番よく知っていはずです。わざわざ代理店に理解してもらう手間も省け、心のこもった広報・PRができるはずです。途中で「費用がなくなったからサヨナラ」という代理店と違い、永続的に発信し続けることができるのも強みです。
ぜひ、あなたにも、今すぐ広報・PRを始めてもらいたいと思います。

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第一章はここまで!
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著者プロフィール

井上岳久 (第3章、第4章担当)

広報・PRに特化した戦略コンサルタント。井上戦略PRコンサルティング事務所代表。

商社などに勤務後、横濱カレーミュージアムプロデューサーを経て現職に至る。横濱カレーミュージアムの立ち上げから携わり、2002年11月に代表に就任し、入館者数減少に悩む同館をわずか1年で復活に導く。年100回以上のイベントを実施し週2〜3回のリリースを配信するという独自のPR理論に基づいて実施し大成功を収める。2006年11月に退任。以降、マーケティングPR手法を講演やコンサルティングで企業や官公庁に指導している。現在はマーケティングPRに特化した日本で数少ないコンサルタント及びマーケティングプランナーとして活躍。PRを核にプロモーション戦略を遂行する次世代にふさわしい最新のマーケティングを構築し実践している。指導先は中央官公庁や地方自治体から大学、大企業、各種業界団体、中小企業まで1千社以上にわたり、PRに関する講演は年間100回以上行い、国土交通省、JETRO(日本貿易振興機構)、横須賀市、熱海市、中国四国百貨店協会、全国信用金庫協会、朝日新聞、山陰合同銀行、富士ゼロックス、KONAMI、各種商工団体など幅広い。住宅メーカーもビルダーから工務店まで多くコンサルティングを手掛けている。

慶應義塾大学、法政大学卒。中小企業診断士。中小企業庁・地域観光資源活性化アドバイザー、各商工会議所及び商工会の経営指導員、経済産業省・関東経済産業局ネットワークアドバイザー(2011年、2012年)、農林水産省認定地産地消の仕事人。事業創造大学院大学客員教授、加須市観光大使、加須市観光ビジョン策定委員、「子供の食育」推進フォーラム実行委員、日本広報学会会員、関東ニュービジネス協議会正会員。昭和女子大学・現代ビジネス研究所 研究員。カレー大學 学長。事業創造大学院大学客員教授、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究


中野泰植 
(第1章、第2章担当)

株式会社チタン代表取締役社長、住宅業界専門の販売促進コンサルタント。

チタンさんは何屋さんとよく聞かれます。弊社の業務範囲はチラシやパンフレットの制作、ホームページの制作、広告の制作、コンサルティング業務と幅ひろいですが、仕事をお受けする業界を「住宅会社」様、「リフォーム会社」様、「不動産会社」様だけにと限定しています。何故、お受けするお仕事を限定するのかというと、お客様の求める「成果」を確実に出すことを第一の目的としているからです。お客様が求めているのは、美しく印刷された「紙」でなく、パソコンのモニターに美しく映し出されるホームページでもなく、カッコ良い横文字の専門用語ではないはずです。お客様が求めているものそれは、「成果」だと考えています。「成果」とは何か? それはお客様の商売の売上げを上げることです。そのために当社はあえて、お仕事をお受けする業界を絞りました。私たちは何でもは出来ませんが、この住宅・不動産の分野に関しては誰にも負けない自信と実績があります。大手の広告会社や奇麗なデザインのホームページ会社、有名なコンサルティング会社には決して出来ない成果を出します。なぜなら、当社は仕事のゴールをお客様の会社の「商売繁盛」としているからです。単なる頼まれたものを作って終わりでなく、頼まれたものが本当に成果が出ることを確認して初めて当社の仕事は終了となります。
「他社では出来ない」ことを実現する、お客様の期待を超える「成果」を提供する。お客様の「商売繁盛・商売繁盛」。それが当社の使命だと考えています。


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