こばやん

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こばやん

そこらへんの会社員。Twitter https://twitter.com/august_1978

最近の記事

「君、死にたまふことなかれ」

今から約三十年前。私が中学生のときに学校で健康診断があり、その際に採血があった。それよりも以前に採血の機会があったかもしれないが私は物心をついておらず記憶が無い。ともあれ、学校での健康診断で採血を行ったあと、私は気分が悪くなり、保健室で休ませてもらった。それが私のとっての採血との戦いの始まりである。  その後、健康診断などで採血がある度に高確率で私は貧血を起こし、気分が悪くなるようになった。情けないことではあるが仕方がない。私はなりたくて気分が悪くなってなっているのではな

    • 悲話

      テレビにも出演しているという美女に連絡先を教えてもらった私は喜んだのも束の間、そこで夢から目が覚めた。 日曜日の早朝だと言うのに、私は今日一日のやる気が全て喪失し、神の存在を否定することになった。私は今日、トイレ以外の用事でこの布団から出ることはないだろう。 そのため、この日記も布団に入った状態で書いている。 夢での出来事だと知りつつも、試しにその美女の名を検索してみたもののヒットせず。 一番近い名前で、没後五十七年も経っている翻訳者の男であり、その名前もペンネームだった。

      • さんぽ神

        昨年の秋のある日、私はいつものようにぼんやりとYouTubeを観ていると、Vtuberの月ノ美兎が『さんぽ神』というゲームで遊んでいた。 果たしてゲームと言っていいのか迷うそれは単語帳ぐらいのサイズの本で、本の前半五十頁は「どこで」、後半五十頁は「何をする」という項目に分かれており、プレイヤーが行く場所と、プレイヤーが実施する行動が描かれている。プレイヤーはそれぞれの項目の好きな頁を選んで、それを神のお告げとし、実行するという実に他愛のないものだ。 月ノは動画で「30分適当

        • 功徳

          今日の帰路、家の近くの中学校の裏道を歩いていると「すいません」と六十代くらいの男に声をかけられた。道案内だろうかと思ったら、男は中国人らしく片言の英語でスマホのグーグルマップを私に見せながら「この学校で温水プールをやっているはずなのだけど、入り口が分からない。どこから入るのか(意訳)」と聞いてきた。 その中学校に部外者でも入れる温水プールがあることを私は知らなかったが、私は自分のスマホでグーグルマップを表示させ、そこから区の案内のページを辿っていくと確かにその学校では品川区

        「君、死にたまふことなかれ」

          賭博者

          2023年12月30日 会社の冬休み初日。冬休みは一月四日まで。今日は友人の忍野(おしの)が主催の横浜の中華街での忘年会が開催される日である。コロナ禍前までは毎年開催されていたのだが、コロナ禍により三年ほど中止になっていた。ちなみにこの忘年会の名称は「みかちゃん」という。 ボーカロイドの「いーあるふぁんくらぶ」の歌詞に出てくる「みかちゃん」に由来しており、ボーカロイドが好きな忍野が名付けた。この曲は神戸の中華街が舞台であるが、さすがに飲み会のために関東圏に住んでいる皆が神戸の

          今日のできごと

          12月24日(日) 世間的にはクリスマス・イヴではあるが、私にとっては普段と変わらぬ日曜日である。 AM8:00 目を覚ました私は布団の中から手を伸ばして、枕元に置かれているスマホを取り、SNSやニュース、天気などを確認した。 ほとんど寝ぼけている状態でTwitterをチェックすると、私が世話になっている読書会のメッセージのグループが朝から盛り上がっている。何かと思ったら、読書会のメンバーで作る文芸同人誌のタイトル決めについてだ。 私が世話になっている、とある読書会のメンバ

          今日のできごと

          文学フリマ東京37

          アーリーオープンとなった文学フリマ東京37。この日のことを詳細に語るとなると、飴細工のように脆く儚い私の手指が腱鞘炎を起こすことは必至であるので、印象的な出来事を順不同で紡ぐ。  既に文学フリマから二週間近く経っているので、私の記憶が朧げな個所も多いのだが、そこはご容赦頂きたい。  開場前の懸念通り、私のブースの近くには開場しても客がなかなか来なかった。来ても私のブースを遠目に過ぎ去っていく。私は前回の文学フリマでフリーペーパーとチラシを自分のブースで配っていたが、数分毎に

          文学フリマ東京37

          懸念

          山手線で浜松町駅まで行き、モノレールに乗り継ごうとすると、駅のホームはキャリーバッグを持った大勢の人でごった返しており、ホームに停車している発車待ちのモノレールも混雑していて、自分が乗るスペースを確保するのもやっと、という混み具合だった。このモノレールは各駅停車で、文学フリマの会場の最寄り駅である流通センター駅に停まる。ということは、この大勢の乗客の大半が文学フリマの参加者か。まさか、こんな大勢の客が。 これほどまでの客が来るようになった文学フリマを感慨深く思いながら、私は

          予防線

          昨日、文学フリマ東京37に参加した。個人での参加は前回、今年の5月に続いて二度目だ。前回は開催日前日まで準備をしていたので、今回は余裕をもって当日を迎えられるようにしたら、何と開催日の二週間前にはほとんどの作業を終えて、当日を迎えるだけとなった。まるで七月中に夏休みの宿題を終えた優等生のようだ。もちろん、私は学生時代に七月中に夏休みの宿題を終えたことは一度もなく、始業式前日まで無理やりに終わらせるという子供であった。 45歳になった今となっては随分と成長をしたものだと思うが、

          現在地

          前回の日記から一ヶ月が経った。その間、私は一体何をしていたか。 気になって暴飲暴食に走り、胃を始めとした各内臓器官を悪くした方も多いだろうと思われる。もしくは千一夜物語に手を出し、眠れぬ夜の一助としたか。 「きっと、次の文学フリマに向けて寝る間もない生活をしていたに違いない」と感の鋭い方もいただろう。 しかしながら、そうではなかった。では何をしていたか。それはスポコン青春マンガさながらのサインの練習に継ぐ練習であり、それこそ小説化、もしくは映画化をしようものなら世間を席巻す

          ささやかな葛藤

          先週の日曜日の夜。近所の神社で祭りがあったので行ってきた。 露店のお好み焼きが食べたかったのだ。私は露店ではお好み焼きが最も好きであり、次点で焼きそば、たこ焼きと続き、他は食べなくても良い。 Tシャツにハーフパンツ、サンダルという非常にラフな格好な私は、神社に入ってすぐのところにお好み焼き屋があることを発見し、さっそく買おうと値段を見たら八百円もする。 いつの間にこんなに値上がりしたのか。今日の燃料費と物価高の影響であろうが、それでも高い。自分で焼くタイプのお好み焼き屋でも

          ささやかな葛藤

          続・父の話

          この一週間で職場の人や友人ら三人に、私の父の話をしたら皆にウケが良かったので、それをここに記す。 父は今年になって逆流性食道炎に罹り、現在は医者に酒を止められているが、それまでは毎日のように酒を飲んでいる半ばアル中のような人間だった。 既に定年退職をして十数年以上経っているが、現役のサラリーマンのときは帰宅すると毎日晩酌をしており、休日ともなると朝から飲んで顔を真っ赤にしているのが常だった。一年のうち、ほぼ毎日酒を飲んでおり、健康診断の前日だけが唯一の飲まない日だった。もっ

          続・父の話

          ボタンは二度押せ

          ここ数年、うちの家電のIoT化を進めている。IoTとはinternet of thigsの頭文字であり、モノをインターネットと通じさせるという意味である。 我が家のIoT化を考えた私が最初に買ったものはAmazonエコーショーというスマートディスプレイであり、インターネットに繋げたそれに話しかけると、音楽を流してくれたり、時間を教えてくれたり、簡単な一問一答が出来るという、未来を感じさせるものだ。 更にそれに対応した家電や照明、スマートリモコンなどを登録させると、音声で家電や

          ボタンは二度押せ

          分岐

          女友達の「一昨年にバイクの免許を取り、今年の夏にツーリングで一週間をかけて北海道を一周してきた」というつぶやきをmixiで見た私は、大変羨ましく思った。 一時期、私はYouTubeでキャブヘイというバイク乗りのユーチューバーにハマっていたときがあり、私もバイクの免許を取ろうかと真剣に考えたことがある。しかし、結局バイクの購入代金、及び維持費用、駐輪場の確保などの諸問題にぶつかり、いつしか熱は冷めてしまった。 しかし、心の奥底にいつかバイクに乗ってツーリングをしてみたいという気

          弊害

          一昨日の七月三十一日。私にとって由々しき事態が起こった。それは職場の近所の蕎麦屋の閉店である。 「何だ、そんなことか」と思った者は冷たいものを食べ過ぎて腹を壊すが良い。これは飲食店不毛地帯の私の職場にとっては大きな痛手であり、損失である。 その蕎麦屋は私の職場から徒歩一分ほどという抜群の利便性で最も近く、ランチタイムになると弁当を販売してくれるという、駅からも繁華街からも商店街からも遠く、飲食店が少ないその地域にとって、なくてはならないありがたい存在だった。私はいつもそこで

          勇み足

          七月十八日。 終業後の帰路、スマホをチェックすると、LINEのヤマト運輸の公式アカウントから「お荷物お届けのお知らせ」が来ていた。このタイミングで一体誰からか、十日ほど前にふるさと納税をしたから、その返礼品が届くのかと思いきや、送り主は友人からだった。しかし送り主が分かったところで、何故このタイミングなのか、という疑問は拭えずにいたが、私は直ぐに閃いた。 その日は七月十八日。私の誕生日は来月の十八日だから、もしや友人は私の誕生日を一ヶ月勘違いしているのではないか。きっとそう