(連載62)実験のてんこ盛り!これってファッションショーなのか?:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2009年
2009年の事であります。
前回のゲリラショップをやったロイヤルTというギャラリーで、今度はファッションショーをやらない?というオファーがあったので、即オッケーしました。
昔から誘われたら、ノーと言わない自分。。。。
しかし、この当時、仕事は古着のリメイクをやっていたので、それなりに多忙で、そんなにじっくり作品制作をやってる時間もとれない。
だったら、ヘッドドレス、つまり、被りもの、かつらとか帽子、ヘアピースだったら、比較的すぐできるだろうと。それに特化したテーマにした。
で、今思い返してみると、この「比較的すぐできるだろう」なんて、タカを括った自分に、何か後ろめたい?気持ち?があったのか???
イベントの演出の方で、もう、真逆に頑張りすぎちゃって!
いろんな実験につぐ実験をこれでもかっ!!て、やってしまい、
実験の大売り出し状態!
になってしまったのです。涙
もともと、ここのスペースは特殊で、ロフトのギャラリーが、透明のガラスで3っつに区切ってあり、壁にオーナーのコレクションが常設してありました。なので、普通のランウェイを作る事はできなかったので、そのままガラスの前に椅子を並べて、その三つの空間をモデルが移動するという形式にしました。
そして、中央のスペースにはスクリーンを置いて、ライブで違う角度から映像を流しました。よくスタジアムなどのライブで、タレントの顔がスクリーンにクローズアップが流されるでしょ? そんな広くもないのに、あれと同じ事をやったわけですよ。(苦笑)
ガラスの壁があって、ランウェイ、客席の配置はこんなかんじ。
当時は気がつかなかったけど、この会場設定でさえも、すでにゴチャってしてますねー。汗
順番に説明させてください。
まず、モデルの着用物をお見せします。わかりにくいのは、マネキンで。
新しく制作したもの、かなりコマーシャル寄りではありますが、(コマーシャルとアートの中間が自分の立ち位置でありますので。)
たとえば、こんな熊の帽子。
つまり、熊が帽子かぶってる帽子をかぶっている帽子。
ややこし〜〜
以下、これはビンテージ(おそらく1940年代)フェルトの帽子を洗濯機につっこんで、お得意の荒くれウォッシングをしてみた。そしてそれをまた、乾燥機にぶち込んで、荒くれ乾燥!
帽子って縮むとこんな感じになるんですねー。
それから、眼帯をアクセサリーとして、機能してみた。
目からネックレスが垂れ下がってててもいいじゃないか?
BY 岡本太郎
それから、コンセプチュアルなものは、こういう、ヘアピース。
ヘッドギアで つながっているので、歩行は、モデル全員で調整しないといけない。(ムカデ競争のカツラ版ですね。)
ワン・ツー、ワン・ツー、ワン・ツー、ワン・ツー、
それから、モデル顔のペーパードレス。つまり、仮面はそのモデル自身。
自分の顔で、自分自身を覆うという
ややこし〜
以上、ちょっとこれだけでも、だいぶ、とっ散らかってるのですが、まあ、これだけだったら、まだ、我慢できますレベル。笑
問題はここからです。
いつも、新しいことがやりたい、誰もやってない事がやりたい。。。ってのが、ショーの演出に全方向噴火!
「こんなの、やってみた」演出のてんこ盛り!です。
すでに13年も前、時間も経って、自己批評してみると、これって無理にやらんでもよかったんじゃね?とも、思う次第。
それを今からそれに順位をつけて、発表します!!!
じゃじゃーーーーーん!!
フォトグラファーに、モデルの顔のクローズアップを「証明書写真のスタイル」で撮影してもらった。
実際にファッションショーをやってる最中に!!です。
これ、撮影してるとこ。
カメラマンの方は、もうコマーシャルの世界で成功してる方だったんで、それはそれは質の高いポートレイトになったんですが、
見出し画像がそれです。
こんなにカッコいい写真を撮ってもらったのに、、、、のちに、これを何か別のプロジェクトにするわけでもなく、またファッション誌が取り上げてくれるわけでもなく、、、、撮影してもらったまんま、放置状態で「ごめんなさい」の第5位。
ランウェイにフィッティングルームを設置。小道具もランウェイに全部ならべた!!!
鏡も客席から見えるこんなかんじ。
小道具も床にならべて、
モデルが好きなものを勝手にピックアップして、ランウェイを歩くという画期的なシステム!
「フィッティングルームを見せる」というのは、それまでのファッションショーだと、超タブー! なので、自分的にはそれに挑戦したような気もしましたが、観客的には「ふーん」ってぐらいだった。「ひとり涙」の第4位。
前向きに歩いているビデオを逆さまに流して、本番ではうしろむきに歩いてもらう。
これは自分でもすごいこだわってて、リハの時にモデルに歩いてもらったものを本番に逆に流してもらって、本番ではモデルに後ろ向きに歩いてもらうという、無茶苦茶コンセプちゅあるな事だったのですが。
これ、モデルはみんな後ろ向きに歩いています。
もうまったく伝わりませんでしたね、なぜなら観客はモデルを見てて、スクリーンなんか見てないから、、、です。「これってファッションショーなんだから!」の第3位!
モデルは、普通にランウェイを歩いてて、音楽が止まったら、いきなりしゃがむ、もしくは、どこかに隠れる。
流れてた音楽が急に止まるんで、緊張感があって、感覚的には、椅子取りゲームみたいなものですね。
音楽が止まった瞬間。
ちなみに上のは、左にしゃがんでるモデルと、堂々と観客になりすましてるモデル(右から二人目)ウケる!笑
これは、やってて楽しかったですけど、「ヘッドドレスとは、なんの関係もなかった」の第2位。
頭を叩いたら、音が出る装置を自分が装着して、メガフォンで自分も観客に直接なメッセージを伝えた。
コレねー。マジ後悔しましたよー。
足立智美さんという現代音楽家の方がいらっしゃって、(もちろん直接的には他人)なんかこの当時、彼が洋服にマイクをつけて、それをたたいて、叫んでるビデオを見て、アタクシ無茶苦茶感激したんですよ。
で、私もこういうのやりたいなあ。って思ってたら、ネットでドラムマシンが、Tシャツにくっついてて、さわったら、音が出るっていうのがあって、子供のおもちゃみたいなやつで、むちゃくちゃてチープですが。
これだっ!って、
早速買って、分解してみたら、その内側はこんなふうになってて、
友人がこれがスピーカーにつなげるようにしてくれて。(感謝)
で、Tシャツの部分はさっさと捨てちゃって、この部分だけを頭につけて、
それに触ると、つまり頭を叩くと、ドラムの音が出る仕掛け。
ヘッドドレスと関連させて、頭を叩きながら、マニュフェストみたいにテーマを叫んだ!
頭が作るアナタの世界、
世界はヘッドドレスで出来ているー
で、本番ですが、この頭を叩くと音が出るはずが、最初、音がでなくって、何度も何度も叩いてもダメで。汗
原因は、ただ自分がスイッチをいれるのを忘れてただけだったのですが、このあせって、自分の頭を叩きすぎたおかげで、次の日、もう頭痛が、それはそれは、半端なかったです。涙
「肉体的苦痛をともなった墓穴掘り」で
堂々第一位!!
以上、無理にやらなくてよかった事トップ5でした。
ひとつひとつを個別に考えたら、結構面白いアイデアだとおもうんですけど、問題は、これ全部を同じイベントで、同時にすべてやっちゃったということなんですよねー。
数学的に言えば、マイナスとマイナスをかけるとプラスになるし、二重否定は肯定になるという法則があるじゃないですか?
私がやったのは、その真逆。
プラスとプラスをかけたら、結果はマイナス。二重肯定が否定になってしまった。みたいな?
なんでも、足せばいいってもんじゃなかった。
唯一、ニューヨークから助けにきてくれた、つぐみちゃん(Tsugumi Takashi)が、ショーのために、完成度の高いポップフレーバーな楽曲を、特別に作ってくれたのおかげで、随分救われましたけど。
音楽、大事ですねー。
ライブでは彼女のとなりに、これまた完成度の高いジョエル(イケメンで、お金持ちでナイスな人柄、しかも頭もいいし、楽器もできて、デザインのセンスもある。そんなモテ男を見越しての抜擢!笑) に、コンガをライブでたたいてもらった。
ま、こういう「やってよかったなと思った案件」もありましたが。
結論。
何事も、やりゃ〜いいってもんじゃない。
このイベントもほとんどの人がボランティアでやってもらったんで、企画した私が、「これはイマイチでした〜!」とは言えませんが、かなり「学びの多いイベント」になりました。そこんとこは、次回につながる布石、、、、って事でどうかお許しを!!!
っていうか、アナタ、
13年も前の話、誰も覚えとらんわ!!!
もし、興味のある方は動画(3分)もあるので、コレ、見てみてください。
追伸
わ〜〜!!!!
今、久しぶりにこの動画をチェックしてみたら、
「like」がたったの四人??!!!よにん??
13年経って、たったの四人て? 涙! 寂しすぎるわ!!!!
もし、見てくださったら、是非とも、「like 」をお願いします!!!
有難うございま〜〜〜〜す。涙
L*
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