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仕事と私

私は大学生の頃に劇団に入ってしまい、大学を卒業した後も一度も正社員で働いたことがない。

大学を卒業して1年くらいフリーターをしていたら、さすがに親に「フリーターなら家に帰ってきて何か仕事探しなさい」と言われたので「それだと芝居ができなくなる」と、慌てて仕事を探したけれど、無名すぎる文系私立女子大卒で、私は何の能力もなく、時代は就職氷河期。

仕事が決まらない。

やっと1つ引っかかった会社は契約社員だった。

マンガみたいに仕事ができなかった。

FAXを裏返しで送って真っ白だったり、コピーもよくミスっていた。

上司のお姉さんは美人だけど怖かったので、いつも注意された。

毎日落ち込んで「辞めたい」と思っていた甘ちゃんだったが、母や友達にベソベソ泣きついて「とりあえず3ヶ月我慢しろ」と言われて、しぶしぶ3ヶ月我慢してやってみた。

少しだけマシになって、コピーは多少ミスったけど、FAXの裏表は間違えなくなった。

よく人が辞めていく会社だった。

新しい人はすぐに入ってきたけど、すぐに辞めていった。

3ヶ月我慢して、少し慣れた私はいつしか中堅になっていた。

それでも残業が多くて、クレームも多くて、土日は疲れてほとんど寝ていたのでお金を使う暇がなく、貯まったお金でネックレスと指輪を自分へのご褒美で買った。

残業の帰りには、小さなクレープ屋さんでプリンクレープを買うのを楽しみにしていたが、そのクレープ屋さんに閉店の貼り紙がしてあった。

私の心の支えが・・・

何度も買っていたけれど、注文以外に話しかけたことはなく、異常な人見知りのため、知らない人に話しかけられない私が思い切って、お金を払うときに話しかけた。

「お店、閉めちゃうんですか?どこか別の場所でクレープ屋さんをされるんですか?」

「いえ。クレープ屋はもう辞めます。別の仕事をするんです」

お兄さんはそう言った。

「そうですか。私、ここのクレープが好きだったので残念です」

「ありがとうございます」

その時の私は振られたような気持ちになって、悲しかったけれど、お兄さんにはお兄さんの人生があって、クレープ屋さん以外の選択をしたのだろう。

・・・私、この仕事、好きなのか?

私にとって、仕事はお金を稼ぐ手段であって(一人暮らしのためと芝居のため)、この仕事が特に好きという訳ではない。

芝居をしていたので、ある程度のまとまった休みが取れる(有給)、周りの人にも休みを認めてもらえる環境、そして私は芝居をやっていたが、それで食べていけると思っていなかったので、安定した収入が欲しかった。

最初は毎日辞めたいと思っていた会社だったが、3ヶ月我慢し、その後も辛いと思うことはたくさんあったけど、辞めたいと思うと私より後に入った人がどんどん辞めてしまい、なかなか辞められなかった。

結局5年近く働いて、それ以降はだいたい派遣をしている。

劇団は辞めてはいないが、全員年齢が上がると、仕事や結婚、子供などで1人、また1人と参加できなくなり、何となく活動休止状態。

私はひっそりと去年の年末に仕事を辞めて、今年の2〜3月に期間限定の派遣をやって、それ以降、仕事をしていなかった(あ、クラウドワークスで仕事を1回やったか。笑)

コロナが流行して、今、仕事を始めるのはどうか?と思ったのもあるけれど、ボチボチ探してはいたが、年齢的な問題もあるのか、なかなか決まらない。

旦那さんは「この時期に慌てて探さなくてもいいよ」と言ってくれたけれど、健康な体があるのに、毎日マンガを読んで、ゲームをして、ご飯作っているだけでは申し訳ない。

自分で稼いだお金で自分の欲しいものを買うのが大人でしょ。


明日から新しい派遣が決まった。

いくつになっても初めては緊張するけれど、勉強させてもらいましょう。

大丈夫かな。

よろしくお願いします。


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