「本質は変えない」DXに挑む覚悟──Club Meridian 中根一 × Gns【後編】
鍼灸の技術をオンラインで届ける。
「いやいや、いくらオンラインで学ぶことが普通になってもやっぱり難しいよ」
そんな声が聞こえてきそうですよね。
1対1のやり取りが基本となる業界なら尚更です。
それでも迷いながらも覚悟を決めて、DXへ挑戦されたのが今回の対談相手の株式会社Fieroの中根一さんです。
後編では、新しい挑戦への覚悟と挑戦者しか見えないDXの先の景色についてお聞きします!
前編では、オンラインの可能性に気付いたきっかけや挑戦するまでの葛藤を振り返っています。
手間暇をかけて自分自身を見つめて覚悟を決めたDX
──前編では、DXに挑戦するまでの葛藤をお聞きしました。方向性が定まるまではどんな想いがありましたか?
中根:そうですね。今自分たちが専門として行っている鍼灸を、経営的に残していかなきゃいけないという想いがありました。文化として次の時代に残す方法もあります。ですが、資本経済の世の中ですからね。どうやって収益化して走らせるかに課題を感じていました。
特に僕らみたいに、普段1対1の仕事をしている人間は、1日で動ける範囲は決まっているので突然収益が倍になることはないです。
勉強会にも言えますよね。
不特定多数に発信できる勉強会
同じ悩みを共有して、その人たちの悩みを理解しながら一緒に伴走する勉強会
このどちらのポジションを取っていくかは難しかったです。やってみないとわからない部分ですね。
Gnsさんにやっていただいたのは、棚卸しだと思います。
自分たちの次のステージは何か、最適な形をもう1回考える。それが絵に描いた餅ではなく、実装させられるのか。どれくらい飛べるかを一緒に考えていただきました。
大事な決断のための思考だったので、すごく手間暇かけましたね。覚悟が必要でした。
──それを受け止めて提案していくGnsさんにも覚悟が必要だったと思いますがいかがでしたか?
渡邊:もう本気の覚悟でやらせてもらいました。
といっても、いつも本気でやってますけど、今回は特に本気でしたね。Club Merideanがどこに向かうのが1番いいか四六時中考えました。
中根先生の質の確保に対する想いが大きかったので、僕たちも単純にデジタルのメリットばかり押し出すわけにはいかなくて、常に適切な届け方を模索しました。
本当にいろいろなパターンの提案をさせていただき、僕たちも成長したことを感じています。
何度もミーティングを重ねる中で、最終的に「オンラインが成り立つように整えていく」に定まっていきましたね。
DXを実践したことで見えた展望
──最初のスタートまでに時間をかけましたが、その後はどんな感じでしたか?スタートしてからも時間をかけて作り上げていったのでしょうか?
中根:スムーズに、というわけではありませんでしたが、最初が1番時間をかけてやりましたね。
例えば、印刷物発注も同じで、作り終わるまでは対談や金額、デザインの決定など時間がかかりますが、その後は印刷するだけでとんとん拍子にことが進みますよね。
Gnsさんがやっていることは、似ているけど異なります。スタートまでの想いの共有はもちろんですが、成果物にして終わりじゃないんですよ。スタートしてからは、一緒に事業を育てていくためにツールのどの要素をどれくらいいれるかを探っていくんです。さじ加減や関わり方、全部がオリジナルでしたね。
──想いの共有という土台があったからこそのDXの実践だったと思いますが、実際に挑戦したからこそ見えた景色はありますか?
中根:将来的には、Club Meridianでの授業を翻訳ソフトを使って海外に届けるイメージができています。
もともと鍼灸の世界は主観的な判断の連続です。患者さんも主観的に治ったかどうかを決めます。どこにも数字が存在しなかった場所に、DXでデータと言う形で数字という概念が加わりました。
Culb Meridianの授業を誰がどれだけ見ているかがデータとしてわかり、今まではわからなかった「授業を受けている人がどれだけ本気で学ぶ気持ちがあるか」を知れたのは発見でした。
どんな内容の授業が求められているかも数字で見える化できましたね。
本気度がわかったからこそ、海外への視野が広がりました。
渡邊:IT業界は海外の方が優れています。なので、僕たちがITを武器に海外に市場を拡大していくことは考えておりません。ですが、僕たちがサポートする人や企業さんが海を越える可能性はあることを実感しました。
すごく価値のあることをさせていただいております。中根先生の将来の展望を聞いて、とてもわくわくしました。技術的にはもう100%やってくる未来です。
「本質は変えない」異色のDX事例
──DXしたけれども、本質は変容させない。IT業界から見てもユニークな事例だと思いますが、いかがでしょうか?
渡邊:そうですね。今回のご依頼は、数や距離を近づけたり広げたり増やしていくためのDXではなかったので珍しい事例でしたね。
普段はお客様のたどり着きたいゴールから逆算してプランを考えることが多く、未来に焦点が当たっています。今回は、焦点をあてるべきは「今」でした。
お客さんにとって大事なものは何か
Culb Meridianが大事にしていることは何か
日夜問わずに考え続けましたね。
結果的に、何のためのDXかを逆に問われた事例でもありました。
お客様にとって何が価値か、何の意味があるかをITのプロとして考え、これからもお客様にとってのオリジナルな提案をしていきたいです。
──変わらないためにするDX。奥が深いですね。ここまで愛情深く向き合ってきたからこそ、今のCulb Meridianさんがあるのですね。
本日はありがとうございました!
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〈インタビュー〉仲田 匡志(株式会社SOU)
〈撮影〉黒木 康太
〈ライティング〉神崎 千晶
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