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逆噴射小説大賞応募作品

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#小説

お絵かきをやめて

 寝て起きたら、俺は子供が描いたクレヨン絵みたいな世界にいた。
 助けて欲しい!
 ここはどこ、というか何なんだこれは!?
 誰か、俺が見えるか?
 この声が聞こえたら返事をしてくれ。
 誰かいないか?これはいつ終わる?

 断じて俺はドラッグなんて手を出してないし、心の病気も患っちゃいない。
 いや、ひょっとしたら俺の精神はもう壊れてしまったのか?今は自信がない。
 とにかく視界の全てがクレヨ

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糞ったれDJ!ぶっ殺し太郎さん

糞ったれDJ!ぶっ殺し太郎さん

 フロアは血塗れで、匂いも凄い。
 「つまんねえつまんねえ。次、早く次の曲。」
 男は、血に濡れた日本刀をDJに突きつけて言い放つ。
 股間を濡らしたDJが、ガタガタと震えながら、レコードバックを漁る。
 右のターンテーブルで回転するのは、4つ打ちハウスとジャズが合わさった北欧系の洒落た楽曲だ。
 左のターンテーブルで回転するのは、レコードではなく切断された人間の首だ。
 まだ若い、二十代半ばの青

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この世と俺らの境界線

この世と俺らの境界線

 奴らの領域が膨張し、包囲網は突破された。

 肥満児は、長い木の棒で警官の腹を易々と貫く。
「う……お?」
——馬鹿な?
 こんなせいぜい小学5年の子供が?
 防刃ジャケットをあんな木の棒で?
 銃弾は命中したのに平気なのか?
 警官の頭を、数々の疑問が一瞬で過ぎり、激痛が疑問を追い出した。
 だがその痛みもすぐに消えた。
 警官の身体は、見る見るうちに制服ごと小さくなり、茶色い塊へと変貌する

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