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熟議③認定NPO法人D×P(ディーピー)理事長 今井紀明さん「なぜ学校に行くのか?」

こんにちは~グローカルインターン生のみぞです!

高校生が社会課題への提案を行い、また自分自身の人生を深めていくシフトプログラム。

本日は、夏本番熟議パートDay2の様子をお届けします。🌻
まずは昨日行われた熟議①②の振り返りと簡単なアイスブレイクを行い、熟議に向けての熱も高められました。

熟議①②のレポートはこちら

その後モデレーター・きのぴーさんから「学びは人からもらうだけでなく、自分で取りに行って学びを最大化しよう」と、「学び方」と「メモを取ること」についてのお話があった後、本日の熟議がスタートしました。
熟議では、個性豊かで素敵な講師の方にお越しいただきここでしか聞けないお話、ここでしか生まれない対話や問いを体験し、これからの自分、これからの社会、これからの未来について考えるということを目的としています。
それでは、当日の様子をどうぞ!

熟議③認定NPO法人D×P(ディーピー)理事長 今井紀明さん「なぜ学校に行くのか」

熟議ゲスト3人目となる今井さんには現在の日本が直面している「若者の貧困・孤独」という問題とご自身の経験から、「なぜ学校に行くんだろう」をテーマとして、高校生に向けてメッセージを伝えていただきました。

<略歴・プロフィール>
1985年札幌生まれ。高校生のとき、医療支援活動のために紛争地域だったイラクへ渡航
その際、武装勢力に拘束され、帰国後は大きなバッシングを受ける。
対人恐怖症になるも、大学進学後友人らに支えられ復帰。
偶然、不登校を経験した10代と出会い、周囲から否定された彼らと自身の経験が重なり、2012年にNPO法人D×Pを設立。10代が頼れる先をつくるべく、登録者8300名を超えるLINE相談「ユキサキチャット」で全国から相談に応じる。また定時制高校での授業や居場所事業も行なう。

「なぜ学校に行くのか」というテーマについて、自分自身でとても考えたという今井さん。「ぜひみんなの意見も聞かせてほしい。みんなからも学びたい!」という今井さんの言葉から、熟議がスタートしました。

NPO法人D×Pについて

まず、今井さんからの「日本にNPOは何団体ありますか?」という質問。高校生のみんなは「700」「1000」「900個」「10000」などの答えをzoomのチャットに送ってくれました。
正解は約5万法人!そのうちの2%がD×Pを含む認定NPO法人です。

日本にNPOは何団体ありますか?

D×Pが取り組む社会課題は「10代の孤立」。不登校、学校中退、家庭内不和など、10代が孤立しやすい環境があります。その課題の解決のためにD×Pが考えた解決策がユキサキチャット。SNSアプリのチャット機能で10代からの相談を受け付けています。また生活困窮に陥った25歳までの若者に公的支援の情報提供や、現金給付・食糧支援の独自支援を行ないます。

新型コロナウイルスの影響で相談内容も変化したそう。働いて学費を稼ぎながら学校に通う学生や、アルバイトを収入源としている相談者の悲痛な訴えが心に刺さりました。D×Pでは、一時的な支援から、数年単位の長期的な支援まで、幅広く支援を行っているそうです。

今井さんは「今の日本には若い子に不平等な仕組みがあるのではないか」と言います。ユキサキチャットで現金給付・食糧支援を希望する若者の62%が給付金などの制度を知らない・申請したことがないとのこと。学校でお金の仕組みや制度について教えてもらえるわけでもなく、役所や相談窓口、周りの人に助けを求めることが難しい状況にあるのではないか、という今井さんの言葉に考えさせられました。

「ユキサキ」に込められた意味

「方向性・未来」を一緒に考えていきたいという想いが込められているそうです。D×Pの活動を通して、「新しいセーフティネットづくりを実現させる」ことを目標にしています。

「なぜ学校に行くのか」

続いて、グループに分かれて「なぜ学校に行くのか」について高校生のみんなで話し合いました。
「社会に出るための準備をするため」「集団行動や人間関係に慣れるため」「社会で生きるための基本的なことを勉強するため」などといった意見が飛び交っていました。みんなは「学校」の意味は「5教科の勉強をする」ことだけなく、学校を卒業した先を見据えて「社会で生きていくための力を養う」ことにあると考えているということに驚きました。将来のために、5教科だけでないところに学びを求めていて、「学校」という場所のあり方に可能性を感じました✨
今井さんは「なぜ学校に行くのか」という問いについて、ご自身の考えを伝えてくれました。

そして、ご自身の高校生時代を振り返って、今井さんが求める学校の役割が果たされていたかについても考えを伝えていただきました。

「学校って面白くないな」という、今井さんの率直な意見。だからこそ、学校の外へ学びに行くというアクションを起こしたそうです。

学ぶことの原点とは

そしてアメリカの9.11テロの様子とその後の世界情勢を見て「関係ない子どもが殺されるんだ」と衝撃を受けたことが、現在の今井さんを形作る原点となったそうです。

「みんなの興味関心・探求したいことってなんですか」

ここで、「みんなの興味関心・探求したいことってなんですか」という今井さんからの質問。
「SDGsや世界の課題に対して、世界でどんな活動が行われているのか、自分にできることは何か」
「魚類が好きだから、海のことについて探求したい」
「世界の国の文化に興味がある。未知のことを知りたい!」
など、高校生のみんなの様々な興味関心・探求したいことについて教えてくれました。

原点を作ろう

今井さんは「先ほど興味関心・探求したいことについて聞いたけれど、なければないで全然かまわない」と伝えてくださいました。

原点を作ってほしい」という今井さんの言葉。今井さん自身も、高校生の時の学びと知的欲求が原点になって、現在の今井さんがあると話してくれました。「何に興味があるのか、何を探求したいのか」ということを大切にしてほしい、という今井さんの力強いメッセージは、高校生時代に「原点」を得た今井さんだからこそ伝えられる想いなのだと感じました。

自分の内側にあるものは全部財産

どんな理由であれ、生きづらさを抱える若者はたくさんいるはずです。そんな若者世代の高校生のみんなに、今井さんは「学校に行く理由がなくてもいい」と伝えてくれました。「自分の内側にあるものは全部財産です」という今井さんの言葉。自分の内側にある、行動の動機になるもの。いろいろな出来事から感じたこと・考えたことが熟成されて結晶化したものが、自分の中の「芯」や「軸」に繋がるのかなと考えました。

「出る杭」になってほしい。

熟議の最後に今井さんから伝えられた「D×Pの活動実態、若者の貧困の現実を見て、自分は恵まれた環境にあると後ろめたさを感じる必要はない。思いっきり行動してほしい。出る杭は打たれる、なんてことわざがあるけれど、ぜひ『出る杭』になってほしい」というメッセージ。これからたくさんのことを学び、感じ、考えていく高校生が、自分の「軸」を自信を持って発信できたらいいなと思いました。そして、私たちには、出る杭を打つのではなく、出る杭を見守ったり手助けしたりする心構えが必要なのだと感じました。

熟議④に続く

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