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自分が思うより「自分」はすごいかも。高校生シフトプログラム🌐熟議①②

こんにちは、行元です!

高校生が社会課題への提案を行い、また自分自身の人生を深めていく「グローカルシフトプログラム」。前回7/23にキックオフを終え、「熟議」パートが開幕。ゲストの世界観に触れ、頭をぐらぐら揺らされました🌻

QUESTION4F 会場の様子

❤チェックイン(開始前の、今の素直な気持ち)
「ドラッグクイーンの人の話聞くのが楽しみ」
「対面久々でワクワク!」
「自分と共通するところ、全然違うところを知れるのが楽しみ」

という声が聞こえてくる中、モデレータのHilaから「自分にとって面白いな~!と思ったことをメモしてみよう。ゲストのお話しを通して自分を知るために。」という言葉と共に待ちに待ったtalkがはじまりました!

熟議①・②のゲストはこちらのお二人

https://note.com/glocalcenter/n/n4bfb54779002?magazine_key=m27e08049f57b

〇熟議の目的:
個性豊かで素敵な講師の方にお越しいただき、ここでしか聞けないお話、ここでしか生まれない対話や問いを体験し、これからの自分、これからの社会、これからの未来について考えること

それでは、当日の様子をどうぞ!

熟議①Piece of Syria 中野貴行さん

「当たり前ってなんだろう?」

1人目中野さんは太陽みたいな笑顔と柔らかな雰囲気が印象的。今日のみんなに向けた講演テーマは「当たり前ってなんだろう」という問いと、「イメージと実際は違う」ということ。中野さんの原体験をもとにまっすぐ語りかけていただきました。

Who is 中野さん?

<略歴・プロフィール>
2008-10年、青年海外協力隊としてシリア北部にて母子保健活動を実施。2015年より中東・欧州でシリアの人たちや支援団体にインタビュー。2016年にシリア支援団体Piece of Syriaを立ち上げて、シリア国内の国内避難民、トルコのシリア難民向けの教育支援を行う。日本国内では、講演・写真展で「シリアの今と昔」を伝えることを通した平和教育事業を行なう。
「シリアをまた行きたい国にする」ことを目標に、平和なシリアへ皆さんを案内するのが夢。Piece of Syriaの代表と兼務する形で、日本企業のUAE駐在員、シリア難民支援NGOのトルコ駐在員を経験。現在はケニアで教育支援の現場で働く妻の主夫と兼業している。

アラビア語と英語を操る、すごい人だ・・・と圧倒されるメンバーにまず、語られたのはなんと、中学当時は自分の笑顔を見るのが嫌いで、僕には無理だ。という考え方だった、今では信じられない自身のお話でした。

モテない、自信もモテない。

自分に自信がなく、部活でも競争の世界で自分に価値を感じられなかったそうです。

そんな中、吹奏楽で1人1人が価値を感じられる協奏の世界を知り表情も和らいでいったそう。
「一人ひとりの力を合わせて、パズルのピース(Piece)のように、一人ひとりの力が小さくても、力を合わせることで平和(Peace)を実現できる力を持つことを目指す。」この原体験が現在のピースオブシリア活動に繋がっているように感じます。

6秒に1人が・・・

そんな中野さんの活動の原点は、更に時をさかのぼります。小学生の時に知った事実。「ごはんを食べれなくて亡くなっている人が、6秒に1人いる」ということ。ここから卒業文集に「世界の平和のために働きたい」(できることでなく、”やりたいこと")と宣言し活動をスタートされました。

小学校のころから平和を掲げていた

その後、めげそうになるたびに、この自分の夢を思い出していた中野さん。しかし、英語ができない・・・。そんな時かけられた「英語ができないのに海外に行くの?」という言葉に「英語ができたら海外に行けるんだ!」と思われたそうです。
当時の中野さんの「『できること』の中にやりたいことはなかった。『まだできていないこと』にやりたいことがあった。」また、仕事は時代によっていろいろ変わる、今あるものの中でやりたいことを探す必要はなく「なりたい自分」をもつことを心がけたそうです。

🌐中野さんが大切にしている考え方
・今あるものの中でやりたいことを探す必要はなく「なりたい自分」をもつ
人生=時間
 自分は何に時間をかけるかがすごく大切。
当たり前=習慣
 何を当たり前にするか?
 1日の時間で何を積み重ねるか?

イメージを乗り越え、見えてきたもの。

その後、中野さんがまずぶつかったのは自分自身が持つイメージです。そこから見えてきたのが、世界の事実。中野さんが青年海外協力隊で出会ったシリア。みなさんは「シリア」と聞いて何を思い浮かべますか?

シリアと聞いて思い浮かべるものはなんですか?

当時、中野さんが見たシリアは・・・

・治安は、日本の20倍良い!
・歴史、文化が豊か。
・四季があり、豊かな自然
・シリア料理はおいしいシリア料理/そして学校、病院も無料(就学率99.6%)
・水を飲みたかったら、誰かの家をノックしたらもらえるのがスタンダード
などなど

大学まで無料!!

2008年から2年間シリアで生活した時に出会った1人の少女の言葉が中野さんを動かしました。

「私の将来の夢は子ども達の夢を叶える学校を作ることなの。そして、そこで育った子ども達が次は他の誰かの夢を応援してほしい。」
「他の大人達は無理だって言うけど、あなたはできるよって言ってくれる。あなたのおかげで私は夢を持つことができた。」

上記の言葉で、「夢を叶える大人でありたい。夢を追いかけていいって、子ども達に伝える大人でありたい」と決意されたそうです。
そして今、中野さんはこの少女に
①あなたのおかげで夢がもてたよ、と伝える
②平和なシリアへ皆さんをご案内する
という2つの夢があります。

そんなシリアで2011年3月、戦争が始まり身近な人たちが戦火に巻き込まれ、かつての美しい街並みや人々の日常が奪われてしまいました。

もし、世界が兵器にお金を使わなかったら?

iPhoneを持っている人たちが難民になる

中野さんが見た美しいシリア。出会った人々、少女の夢。戦争が始まってから4年間で平均寿命が-22歳、就学率99→6%となり、当たり前だった世界が戦争によって「叶わない夢」に変わりつつあります。
その事実から目を背けずに「シリアをまた行きたい国にする」というVISIONを掲げ、徹底的に現地の人の声を聴き必要な支援を行っています。
「どこで戦争が起きるかわからない」「アイフォンを持っている人たちが、難民になった」また、友人からは、「日本って発展しすぎて信号ないんだろ?テレビでみたよ」と言われたことがあるそうで。これは私たちも、一緒ではないか?とイメージで物事を見ることに警鐘を鳴らされました。

かわいそうだからでなく、大好きだから応援したい。「世界を変えるのはたった一人の想いから」ということで、メンバーと夢ふくらましワークを行いました。

中野さんのお話を聞いた感想(抜粋)

・やりたいことから考えてみるという言葉が心に残った。子供の時は何がしたいから考えてたと思い出した
・できることから探そうと思っていたけど、そうじゃなくていいんだと気づけた。自分の可能性が広がった
・「信じるな、疑うな、確かめろ」シリアのイメージが変わった。自分の目でしっかり確かめたい。
・「できることよりもやりたいこと、やりたいことよりなりたい自分」という言葉。文理選択に迷っている。やりたいことを優先して、なりたい自分になろうと思った。
・シリアのイメージが変わった。中野さんにシリアに行くときはつれてってほしい。自分は英語の先生になりたいけれど、英語不得意。26歳でアラビア語を習得したのを聞いて、英語いけるんじゃないかと思った。


熟議②アフリーダさん&ショコラさん

自分の<好き>を貫き通す!

おそらく、日本の高校プログラム史上初ドラァグクイーン登場&公開メイクショー!本来0時以降の世界で生きるゴージャスなお二人に高校生の太陽が出ている健全なお昼タイムに登場いただきました。普段交わらない人が出会う世界の架橋の形の1つかも・・・と感動しながら授業がスタート

!!!!!!!!!!!

<略歴・プロフィール>
緒方江美|アフリーダ・オー・ブラート
(アートマネージャー|ドラァグクイーン)
 2004年ドラァグクイーンデビュー。京都メトロ「DIAMONDS ARE FOREVER」出演中。京都精華大学アートマネジメント人材育成事業「#わたしが好きになる人は」コーディネーター。一般社団法人地域共生社会創造ラボ代表理事。大阪芸術大学客員准教授、京都芸術大学非常勤講師。共著に「未来のアートと倫理のために」(左右社)。

<友情出演特別ゲスト>
ショコラ・ド・ショコラ(ドラァグクイーン)
2008年デビュー。カラフルでオリジナリティ溢れるメイクと、限りなくポップでファンタスティックなコスチュームが人気。人種やジェンダー、セクシュアリティの垣根を越えたコミュニケーション能力には特筆すべきものがあり、18秒後には友達になる特殊な技術とその資質は、キュートな魅力を倍増させる要素のひとつ。“あなたのアンテナと私のアンテナを繋げたら、甘くて苦いチョコレートのような快楽が生まれるよ!!”。

アフリーダさん(左)とショコラさん(右)

2人目のゲストはBGMと20cmのハイヒール👠と共にドラァグクイーンの登場で会場はドキドキ・・・圧倒されています。今回講義&メイクショーということでインターン生の三谷君を生贄に(!?)大変身してもらいました✨

オンラインメンバーもメイクに興味津々!
変身前の三谷君

ドラァグクイーンって何者なの?

Q:質問
私たちの性別は男性でしょうか?女性でしょうか?

という問いかけからはじまった刺激たっぷりのゲストトーク。一般的には男性が多いが、アフリーダーさんは異性愛者の女性。(国内では女性5人くらいだそう!)

通常は、SHOWでは声を出さず歌と音楽に合わせたリップシンク(口パク)を行う「異形のパフォーマー」だそうです。なぜ異形なのかはこのあと深堀していきます。


アフリーダさんとドラァグクイーンとの出会い

大阪芸術大学に入学。大学でゲイの友達に出会い、その友達に誘われたイベントバイトでドラァグクイーンを知ったそうです。ブブ・ド・ラマドレーヌさんのステージをみて「ステージの上はなんてジェンダーレスなんだ!」と衝撃を受け、3日後に弟子入りを志願。そこからスタートしたのがきっかけだそうです。

勝手にしなさい!!💚

ドラァグクイーンはジェンダーも、セクシャルマイノリティも好きなものも「何を美しい」と思うかもみんなバラバラ。

そんなアフリーダさんが高校生の頃は・・・

見た目「足が細ければ」「〇〇だったらモテたのに」ルッキズムにとらわれていた。でも、本当は見た目なんてどうでもいい

ルッキズム(Lookism)とは
Looks(見た目)+ ism(主義)を合わせた造語。
外見がその人間の価値を測るのに一番重要だという思想を指す。また、さらに発展して、人間を外見のみで判断し、その容姿を理由に差別的な言動や態度を行うことも意味する。後者の場合は、「ルッキズム的な行動」といった言葉遣いで使われることが多い。

国籍・性別・セクシュアリティを超え、社会的地位や権力が効力を持たないクラブで、破壊的な美しさを魅せたものが正しいとされる世界。その世界の魅力にアフリーダさんはどんどん引き込まれていきました。

破壊的な美しさを魅せた者が「正しい」とされる世界。

アフリーダさんの名前の由来は、敬愛する好きなもの。ずばりAYUとフリーダ・カーロ。当時から大好きなアーティストの「AYU」その話を聞いてくれた先輩が、「そんなの無理」でなく、AYUに近づける為のメイクや衣装選びをしてくれた。そして若くして悲惨すぎる事故をきっかけに画家を目指し、自分の哲学をもって生き抜いたメキシコの画家のフリーダ・カーロ。「男性が求める女性像を超える」独自の美を持つ、既存の性役割を超えた表現をするという想いもこめてアフリーダさんが生まれました。

男らしさや女らしさという既存の性役割を”超えた”表現

冒頭、ドラァグクイーンは「異形のパフォーマー」であるという言葉で表現した所以は下記のとおりです。

正岡子規の「美は絶対に非ず」ということばを思い浮かべていました。独自の美しさ、自分の美学を追い求める世界。単なる異形の化粧ではなく、既存
の社会や既存の概念を乗り越えようとする姿勢だったのですね!!

🌐アフリーダさんからのメッセージ
人それぞれ違う。好きとか、楽しいと思うことを誰から何を言われていても続けてきた。それを応援してくれる先輩、仲間がいたことはとても幸運だった好きを貫く、それを応援してくれる人を広げていってほしい。

学生からの質問タイム(抜粋)

Q:化粧ってどのくらいかかるんですか?
A:2時間あるときれいにできる。

Q:今日のドレスとメイクのポイントは?
A:プリンセスラインが好き。メイクは普段通り、丁寧にしました。

Q:好きなことを否定することをスルーするには?
A:否定されたときは相手にしない。続けていればおそらくわかってくれるんじゃないかと思う。スルー力も大切。否定されすぎたら怒ってもいいよ。

Q:ゲイの友達のカミングアウト聞いた時どう思いましたか?
A:あ、そうなんだと思った。ゲイの人もストレートと一緒。好みもタイプもある、自分で選ぶ権利もある。その友達が自分の意識とか感覚を変えてくれたと思う。

Q:20センチヒール足いたくないですか?
A:足痛いです。でも練習しました。

Q:昼と夜の自分は同じ自分なのか、別の自分なのかどちらですか?
A:アフリーダさん→最近までずっと分けてきた。最近は面倒になってきた。みんな色んな顔があるけど、すべて自分。最近統合するようになった。
A:ショコラさん→最初は分けていた。昼食との自分とスイッチをわけていた。ショコラの自分が好きなのに。クイーンを好きかわからない人にどう接したら良いだろうというところにストレスだった。今は統合することができてとても生きやすい。

Q:日常生活での違いを受け入れるスタンスを教えてほしい
A:高校生だからこうあるべき、でなく、いろんあ人がいても良いよねというスタンスが必要。

Q:いいにおいだった。日常生活のものとショーの香水は使い分けてますか?
A:クイーンによって匂いは違う。アフリーダさんはショーでは大量に香水を使う。

Q:自信を持つ方法は?
A:気にしない。深く考えすぎない。
  
Q:メイクの技術はどこで学んだんですか?
A:最初は教えてもらったけど、あとは練習

▽学生の感想
・自分を否定しないという考え方いいなと思った
・自分が好きなことを貫いていいんだなと思った。      
・好きなことを貫き通すのがかっこいい
・自分の生き方を大切にされているのがすごいと思った。
  
▽ゲストの中野さんからも:感想と質問✨
Q:「楽しいから・好き・やりたいから」というところが共通点だった。親は理解してくれるけれど、親戚は理解してくれないとかありましたか?
A:アフリーダさん→家族や親戚には、活動が新聞に載ったことで理解してもらいやすくなった。
A:ショコラさん→家でずっとメイクを練習していた。最初は「それなに?」となっていたけど、だんだん「その化粧いいね」と言われるようになった。兄弟は理解してくれなさそうなのでまだいえてない。

そしてショコラさんの手によって変身した三谷君・・・

メイク中の様子

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

TADAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA

命名「マリン・スネーガー」、マリンちゃんに生まれ変わった三谷君が会場に登場しました。

▽メイクを施された三谷君の感想です
メイク前は、緊張して汗かきまくりで、メイク後ではぶっちゃけ「すごい」「メイクってここまでできるんだ」と自分の顔に衝撃ばかり受けてノリノリでお披露目していました。
一夜おいて写真を見返すと、メイク前はすごい委縮していたにもかかわらず、メイク後は見てと言わんばかりに堂々としている姿に大爆笑しています。講師のお二人とお話をしていて、5分ほどのショーのために1~2時間かけてメイクをして、衣装を自作してとすごい労力を割きながら活動し「好きな事を貫く」姿に感動しました。また、講師2人の方々の「好き」という想いをメイクをしていただいたり話を聞きながらなんとなく分かった気がします。
貴重な体験を本当にありがとうございました。

アフリーダさんの昼間の顔


中野さんとアフリーダさん、二人の話の共通点
「美しさ」を誰にも決めさせない。

「常識とは?」「当たり前とは?」「あなたは何が好き?」「何ができるようになりたい?」奇しくも二人のゲストから繰り返し語られたのはこの言葉たち。
さまざまな常識に触れることとイメージで決めつけない、自分の眼でみて、手足を動かし体温をもって確かめることの大切さを教えてくれた中野さん。
美の基準を既存の社会や外部に置くのではなく自分で決める。その美を貫くアフリーダさん。

常識は、時代、場所、そして人によってさえ異なる

立ち戻ると、好きってなんだろう。
出来ないって決めてるのは自分。

お二人から皆への共通するメッセージは、「自分が思うより『自分』はすごいかも。」だったのではないでしょうか。

Day2「熟議③・④」へ続きます✨

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