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危機対応マニュアルがない日本 N163

 完璧主義の日本人はどうも危機対応マニュアルを作ることを知らないようだ。こんなことを言うと「そんなことはない。こんなにたくさん危機対応マニュアルがあるぞ」とたくさんのマニュアルを出してくるだろう。だがそのマニュアルは「このようなケースにはこう対処する」と言う通り一辺倒の回答しかないはずだ。つまり想定されるリスクに対しての対処法。  

 危機対応とは想定外のリスクにどう対処することを示す(のが海外の危機対応だ)。日本では残念ながら想定外のリスクを想定したマニュアルはない。想定外が起きないように徹底的に重箱の隅まで想定されるリスクを潰してマニュアル、もしくはそれ自体の製品やサービスを行っているからだ。  

 しばしば例に出されるのが福島第一原子力発電所事故は想定外だったので対処ができなかったそうだ。マニュアルに書いてなかったから対応をミスしたなどの発言がマスコミを通じて垣間見る。しかし原子力発電所を設計・建造した人たちの津波や地震が起きるた場合に起こりうる事象を想定しきれなかったことを責めるのは無理がある。もし何か惨事が起きた場合にどう対処すべきかと言うマニュアル、ないしは対処法を予め決めておくことはできたのだ。  

 そして多くのケースでそうであるように現場の最前線の知恵ある人がリスクを取って対処をしてしまい、その勇気を評価すべきか、ミスを責めるべきかの議論が起きる。危機対応マニュアルはむしろその彼に権限を託すとか、そういったことが記されるべきものなのだ。  

 逆に海外では日本のような重箱の隅まで網羅したマニュアルは存在しない。もちろんマニュアルの役割は世界共通であり退屈などうでも良いことを含めて記載してある。しかし想定外の場合はどうするか?と言うことについてむしろ具体的に記載する。言い換えると想定される危機は危機ではないのでマニュアルにはカバーされないと言うことだ。  

 さらには日本とは違って、常にトラブル起きているのでトラブル前提でマニュアルとオペレーションを設計しているのだ。例えばオンラインでサイズSの洋服を買ったら実際のサイズはXXLだった。しかも丁寧にタグまでサイズSが縫い付けてあったりする。日本では想定外なので対処に困るだろうが、こういったことがしばしば起きるので簡単に返品・返金できる仕組みになっている。しかもオペレーターはそれらに対処するしっかりとしたマニュアルを持っている。  

 日本の返品対応マニュアルには実際のサイズがXXLだがタグがSの場合は返品を受け付けるべきかどうかの対処法は載っているだろうか?オーストラリアはコールセンターのアルバイトのおばあちゃんがすぐにやってくれる。耳は遠いしなまりはひどいけど。 

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