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日本食がますます世界で流行するわけ N155

 2000年半ばから急速に世界で日本食が普及した。そしてコロナにおいてもますます日本食が普及している(厳密に言えばコロナ下で日本食は生き延びることが比較的できており、日本食へ鞍替えする別の料理店が多々見受けられる)。  

 そもそも日本食が普及した理由は(以前も書いたことがあるかもしれないが)世界での単身世帯の増加である。特にキリスト教圏では一人飯をレストランですることはほとんどない。したがって一人で食事をする場合はテークアウェイ(お持ち帰り)が好まれる。  

 キリスト教圏で日本食が流行してきた背景は健康ブームもある一方で実はこの一人飯に最適なのだ。巻き寿司、お弁当のようなテークアウェイ用の日本食が普及し始めたのは一人飯顧客の潜在需要をつかんだ。もともとサンドウィッチやハンバーガーなるものが彼らの必需品としてあったのだが、毎日は流石に飽きる。そこに健康イメージも加わって日本食は広がった。  

 さらに日本食はリーズナブルという価格帯であることもヒットを飛ばす要因だ。オーストラリアで言えば少し大きめのサンドイッチ1,000円と大きめの巻き寿司3つ1,000円のどちらを選ぶかと言えば、お得感で言えば巻き寿司だ。ちなみにハンバーガーセット2,000円とお弁当1,500円という選択肢もある。物価の高さは日本人にとってはお得感はないのだが、現地の人にはお得感満載なのだ。  

 そしてコロナ下において在宅勤務になり、かつレストランの営業禁止(テークアウェイのみ可)となった際に多くのレストランは苦戦をした。ステーキ屋がステークを弁当にできず、サンドウィッチにしたら単価が下がって収益が出せず店じまい。フレンチも同じく苦戦した。日本食とイタリアン、あと中華系はこの厳しい環境を乗り越えたレストランが多かった。また特に日本食レストランのオーナーはUberEatsみたいなものは苦手だったが、これを機にテクノロジーをマスターして、ますます日本食の広がりに拍車がかかった感がある。

  そして一人飯。コロナの規制解除より営業許可が出てから一人飯はご法度的な空気があったオーストラリアでも一人飯を見かけるようになった(しかもご婦人)。アイソレートな環境にいたためかレストランやカフェでの一人飯をたしなむ人が出てきた。洋食系は量が2−3人前なので一人飯には向いていない(サラダを頼むとサッカーボールのような量の野菜が出てくる)。

  定食屋や蕎麦屋のような気軽に一人で入って食べることができる飲食店は日本特有だ。海外のラーメン屋は4人テーブルが一般的だ(一人でラーメンを食べることを想定した店つくりになっていない)。しかし、この新たな一人飯ムーブメントを拾い少し気の利いたおしゃれな和食ランチを出せばますます日本食は普及するだろう。

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