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日本のリモートワークの行方 N152

 リモートワークになって働き方改革の一環と称して働く場所の自由とか田舎暮らしを肯定する論調が日本で増えてきたように思う。しかし海外で似たような議論は一切見受けられない。  

 例えば小さい子供がいる女性が在宅勤務をしながら仕事ができるようになることについて、日本ではかなり前向きだ。もちろん良いことだと思う。しかし海外ではすでにこのような事情を特別視することなく、コロナ以前からごく普通に働くことができていたから議論が起きないだけだ。  

 ではどんな形で働いているか?私がインタビューしたケースで言えば子供をフルタイムで保育園に預けられるような年齢になったので仕事を再開すべく仕事を探している女性がいた。彼女は週4日しか勤務できない、かつ保育園の送迎もあるので10−16時の勤務を希望。かつしばしば子供が病気になるので休むことがあることを理解して欲しい。  

 他の候補者数名は男性ばかりだったが、彼女に決めてオファーレターを出した。理由は働く時間がなくとも最もパフォーマンスが期待できたから。かつ言っている以上に絶対に働く時間はもっと少ないだろうと見込んでいたが、やはり決め手がパフォーマンスだった。逆に言えばパフォーマンスが見込めないと判断した瞬間に解雇もありうるし、1年に1日しか働かなくとも成果を出せるのであれば雇用するのだ。結果として一週間後にやっぱり子供の手がまだかかるから今回は見送りにと本人から連絡がきてそのパフォーマンスを残念ながら見ることはできなかったが。  

 ジョブ型雇用の場合は成果主義型と作業定義型に分けられる。成果主義型はいわゆるホワイトカラーに適応されて、営業職や上級管理職に適応される。いわゆる売上や利益に対しての責任を負う人たちだ。作業定義型は決められた仕事をする人に適応する。ブルーワーカーだけではなく、専門職(経理とかITとかのスタッフやミドル)に適応される。  

 作業定義型の人も決められた作業を実施できるのであれば在宅で働くことができる。経理とかITとか、カスタマーセンターのコール担当とか。しかしトラックの運転手は残念ながら在宅はできない。なぜなら自宅にいながら配達をすることはまだできないからだ(将来ドローンで運ぶことができるようになれば可能だが、トラックの運転手の雇用がなくなりそうだ)。  

 仕事を決めた上で人をアサインすれば自宅で働く権利を主張する必要はそもそもなくなるだろう。全てを一緒にした上で平等性を志向するから議論がややこしくなるのだ。  しかしながら行きすぎたリモートワークはやはり仕事が前に進まないので来年あたりはオフィス回帰とか都心回帰とかの特集がされるのではないかと勝手ながらに想像している。 

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