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【米国大統領選】過去40年間9回予測的中!注目の大学教授2024最終予測発表!どっちが勝つ!?

全国大会が終わり二大政党からの候補者が確定し、佳境を迎える今の時期に注目されるのがワシントンDCアメリカン大学でアメリカ史の教鞭をとっているアラン・リクトマン教授の当選者予測。


この教授、なんと過去40年9回に渡る米国大統領選の当選者を予測し、すべて的中という快挙を成し遂げている。当選者予測の審査基準として必ず活用されるのが、ご本人が編み出した『ホワイトハウスへの13のカギ』理論である。



以前はこの時期になるとケーブルTVの報道番組などで1~2度取材を受け、最終予測を発表するだけにとどまっていた教授。しかし今回の大統領選ではご子息の技術支援を得てYoutubeに登場。定期的に現在のステータスを発表しながら、最終予測決定までの状況の変化とともに科学的な考察を詳しく説明していただけるようになった。


世代の離れた親子の、時にはちぐはぐなやり取りと、それを超える双方通行の親子愛にほっこりしながら私も教授の定期配信の解説を楽しんできた。ざっくりなぜ教授の予測がすべて的中してきたかが理解できるようになった。


9月5日、とうとう今回の大統領選の最終予測が発表された。そこで、私なりに理解したその経緯と審査基準を解説してみよう。



アラン・リクトマン教授の2024年大統領選当選者の最終予測

まず、教授が毎回繰り返し告げている留意点は以下のとおり:

  • 教授の主観的考えに基づく支持政党と客観的分析・審査による予測結果とはまったく別物であるということ。

  • 今回は人種が異なる、女性が立候補しているといった時代の変動でこの審査基準を変える必要はないということ。

  • 40年間変更することなく活用してきた普遍的審査基準である『ホワイトハウスへの13のカギ』による客観的、科学的予測はこの審査基準を正しく理解し活用すれば、これからの時代もだれにでも正しい当選者の予測が可能であるということ。


リクトマン教授の2024年当選者予測発表
https://bit.ly/Lichtman24-final

動画リンク: https://bit.ly/Lichtman24-final


『ホワイトハウスへの13のカギ』トラッカーの使い方

この13のカギ・トラッカーでは青系と赤系の色分けでTrue/False(正誤)を示している。

青系と赤系はそれぞれグラデーションで確実性の度合いを示しており、その時の現職大統領の所属する党から見ての正誤となる。つまり、原色の青で示されていれば今回の大統領選の場合、民主党から見た場合に「確実に正しい」と判断されるということになる。原色の赤であれば、民主党から見て「確実に該当しない」という意味になる。


青が合計8項目以上になれば与党の候補者が当選するであろうという予測になり、赤が6つ以上になれば野党の候補者が当選するという予測になる。


13のカギによる審査:解説

では13項目のカギを一つずつ順番に解説していきます。最終発表となったトラッカー画像の主要な部分を日本語にし解説しているのでこの画像を参考に読み進めてほしい。



9月5日の最終予測発表された時点での13のカギ・トラッカー


カギ1:前回の中間選挙で下院の議席を増やすことができた


これは「確実に該当しない」ので原色の赤。

2022年の中間選挙では共和党が大勝するであろうという世論の予測だったが結果はそれほどでもなかったことを皆さんも覚えていらっしゃるだろう。だが実際には民主党が下院議席を9議席減らすことになり、共和党に主導権を渡してしまった。なので原色の赤となります。


カギ2:与党内で分断が起きていない

バイデン現職大統領がトランプを相手に行った第一回TV討論会での見事な惨敗は国民のさらなる不安を煽っただけではなく、ダブルヘイター(二大政党どちらも嫌いと訴える有権者たち)を確実に増やしてしまった。

さらにバイデン大統領の出馬辞退を求める党員が声を上げるようになり、バイデン大統領出馬を断固擁護するトップと反対する党議員との間に深い溝を作ってしまった。教授の判断でこの時点ではこのカギは原色の赤だった。

しかし、出馬を断念したバイデン大統領の勇気ある決断は史実に残る英雄談と党内では称えられ、バイデン大統領の支持を得たカマラ・ハリス副大統領の出馬が決まるや否や民主党は瞬く間に結束を固め、一丸となって大統領選の成功を目指すようになったといえる。

日本の報道では「一時的な高揚で大騒ぎしているだけ」といった見方をする国際政治評論家も多々いるが、3年半ほとんど姿を見せなかったカマラ・ハリス副大統領のリーダーとしての成長には目を見張るものがある。

2020年の大統領選に出馬していた時のカマラ・ハリスは上院1年目にして司法委員に任命され、数々の公聴会でその特異な切れ味を強く印象付けていた。しかし、トランプを打ち負かすには脇の甘さを感じさせることもあり、支持者を増やすことはできなかった。

当時のカマラと比べ、3年半の副大統領としての修行を終え堂々と立ち上がったカマラは、絶望に伏していたアメリカ市民に希望の光を放つかのようだ。彼女が亡き母に約束した時代を背負う責任感がそうさせるのか、立候補表明から1か月半が立とうとしているが彼女からにじみ出るカリスマ性は党の結束をさらに強固なものにしているようだ。

ということでこのカギ2は原色の青となり「確実に正しい」である。


カギ3:現職の大統領が再選を狙い立候補している

バイデン大統領が出馬を辞退した時点でこのカギは原色の青「確実に正しい」から「確実に該当しない」の赤に変更された。

リクトマン教授の定期配信の動画では視聴者から毎回のように質問が寄せられていた。カマラ・ハリスが現職の副大統領であることから少なくともグラデーションを落とした青の「ほぼ正しい」か「やや正しい」になるのではという意見だ。

教授の解説によるとこのカギ3は絶対的な事実を観なければいけないので、カマラは現職の副大統領ではあるが「現職の大統領」でも、大統領として「再選を狙っている」のではないので厳密に判断する必要があるということだった。


カギ4:二大政党以外の候補者がいない


民主党、共和党以外の第三政党、あるいは無党派の立候補者が充分な支持者を集めて立候補しているかどうかを審査するカギである。

ジョンF・ケネディをはじめ、歴史的に多くの政治家を出しアメリカの民主主義を支えてきた悲劇の政治家一家として知られるケネディ家からRFK(ロバートF・ケネディ・ジュニア)氏が無党派で出馬していた。一部の無視できない数の票が流れることによってバイデン大統領出馬の場合、民主党にとって致命傷になることが予測されていた。しかし、カマラの立候補以降、RFK氏は支持者の伸び悩みが続き、先月末、出馬を断念している。それにより第三政党からの出馬はいなくなり、その時点でこのカギは原色の青で「確実に正しい」に変更された。


カギ5:短期的にみた経済が良好である

新型コロナ禍収束以降、もちろんアメリカもインフレーションに悩まされてきたが、総合的にみるとバイデン政権によるインフレ歯止め政策が功を奏し、ほかのどの国より経済活性化が進んでいるといえる。残り2か月の大統領選期間中に全米経済研究所によるアメリカ経済の後退、あるいは不景気が宣告される可能性はないという教授の判断から、このカギは原色の青「確実に正しい」となります。


カギ6:長期的にみた経済が良好である

このカギは国民一人当たりのGDPを現職の政権下における結果と前2政権下での結果との比較で審査される。現職政権下では少なくとも過去二政権が出した結果に等しいか、それ以上であるということがこのカギの決め手となる。

バイデン政権下では国民一人当たりのGDPは過去2政権の二倍以上の伸びを見せており、このカギも「確実に正しい」の原色の青となる。


カギ7:現職政権中に主だった政策が大きく変更された

もともとトランプ政権ではバイデン大統領が副大統領を務めていたオバマ政権が施行した政策をトランプの大統領令によりことごとく覆されている。オバマ政権中にオバマ大統領夫妻への誹謗中傷にとどまらず、トランプは虚偽のバーサー問題の火付け役であった。

米国大統領になるためには3つの条件を満たさなければならない。

  1. アメリカ合衆国内で出生している

  2. 35歳以上である

  3. アメリカ合衆国内に14年以上居住している

この3点である。しかし、一般市民でありながらも不動産王とたたえられ、リアルTV「アプレンティス」で大スターにのし上がっていたトランプは黒人でありながらも大統領に選出されたオバマ氏夫妻をサルよばわりしていた。さらに、オバマ大統領の父親がケニア人であることから、出生はアメリカ国内ではなく条件1を満たしてないというでっち上げの言いがかりを吹聴し続けていた。これをバーサー(Birther)問題と呼ぶ。

オバマ大統領は2008年の初めての大統領選出馬において白人の母の居住していたハワイ州からの正式な出生証明書を提示している。バーサー事件に憂慮し、数年後にはハワイ州からさらに長文形式の出生証明書を提示させるに至った。結局はトランプによってバーサー問題の虚偽が宣告されるのは政権を自ら奪ってから、倫理的圧力を受けてからだった。

しかし、トランプ政権中にもトランプによるオバマ政権を否定する執念はあらゆる場面で露呈した。就任直後に感情的な理由で覆されたオバマ政権による政策は環境問題への政策、移民政策、農業用水水質検査強化などにとどまらず、ミシェル・オバマ大統領夫人がホワイトハウス敷地内に作った野菜の有機栽培さえもことごとくつぶされてしまった。

バイデン政権下ではアメリカが国としてしなければいけない、覆されていた政策を奪回し、トランプが脱退していたパリ平和協定にも再参加を果たしている。さらに時代の必要性に対応する共和党からの支持も得てのインフラ再建法案、インフレ対策としての経済活性化法案などを可決させている。


バイデン政権では移民政策が手抜きだったということが共和党から非難されることが多い。しかし、最近ではカマラの遊説で声高に弁明されているように、トランプからの圧力により共和党下院議員は移民法案を否決しなければならなかったという。バイデン大統領に手柄を渡してはならない、自分が次期政権を取った暁に移民法を改定するというトランプの指示があったというが、その当時、報道番組では「トランプに脅されていたため否決した」と何人かの共和党下院議員がこぼしていたのを私も覚えている。

バイデン政権が可決した法案が市民の支持率を上げたかどうかということはこのカギでは審査の対象にならず、シンプルに俯瞰して前政権期間と現政権期間との政策の大きな違いの有無だけをみて判断することが重要だという。

従ってこのカギも現職の青「確実に正しい」となる。

カギ8:社会情勢不安がない

もちろんそこここで小規模のストライキやアクティビストによる反対運動などは目撃されるが、1960年代、70年代にみられたような何百万人もが参加するデモや反対運動は近年は見られない。近年ではブラック・ライブズ・マター運動のように国際的にも波紋を広げた黒人への暴力や構造的人種差別撤廃を求める大規模な運動があったが、多くの死傷者を出したり、都市の一部が燃え上がったり、建造物破壊などが国全体に広まるといったことはここ数年発生していない。

大学紛争に関しても、パレスチナ自治区ガザ地区での軍事衝突に反対する学生などによる抗議活動が相次いでいるという報道が今年春に相次いだが、アメリカの大学の総数からみてその割合は微々たるもので、60年代70年代の数百もの大学で繰り広げられた紛争とは規模が全く異なる。

全国に広がる大規模な社会情勢の不安定さは近年観察されていないという教授の判断でこのカギも原色の青「確実に正しい」となる。

註:このカギは特に教授の判断に対して、これは主観論であるという視聴者からの疑問・反論が多いという。教授によると歴史全体を見て数値化したデータを集めた上で現在の状況と比較することが重要。今を生きる人間としては物価高やあちこちで起きている犯罪・暴力への感情的不安感をこのカギの審査に盛り込むことこそ客観性を欠くことの原因となるとのこと。

カギ9:スキャンダルがない

現職大統領が引き起こしたスキャンダルとしては民主党大統領の一人、ビル・クリントンのスキャンダルが記憶に新しい。当時インターンとしてホワイトハウスで勤務していたモニカ・ルインスキーとのオーバルオフィスでの情事は、世間を驚愕させた。

同じ民主党から選出されたジョンF・ケネディ大統領がジャクリーン大統領夫人を差し置いて、マリリン・モンローと不倫していたといった噂は時代の違いもあるだろうが日本でいう「男の甲斐性」とでもいうのだろう、アメリカでもとかく美談のように扱われてきたように思う。

カリスマ大統領として現職中に暗殺され散っていった大統領ケネディへの在り方への憧れもあったのかもしれないが、クリントンのあの有名な弁明「’あの女性’との性行為はなかった」はモニカ・ルインスキーが後生大切に保管していた「精液の染みたドレス」が証拠品となっていともあっさり嘘だったとばれてしまった。上院での弾劾裁判では可決者が3分の2を満たさず有罪判決には至らなかったが、スキャンダルとしては国民からの支持を大幅に減らすことになり、次の政権は共和党に渡ってしまった。

現職与党である民主党内ではスキャンダルらしきものは特にないだろうが、敢えていえばバイデン大統領の次男、ハンター・バイデンの銃刀法違反や脱税の嫌疑で有罪判決を受けていることが取り上げられた。しかし、ハンター・バイデンは現職大統領本人でも、民主党議員でもないことからこのカギの審査の対象とはならないという。

トランプの就任中に二度の弾劾裁判が行われているが、これに対してトランプは終始「民主党による政治的弾圧」と自分の罪を認めない態度をとり続けた。バイデン政権になると今度はハンター・バイデンへの嫌疑と副大統領時代にウクライナから賄賂を受け取っていたと証言する男を立て、バイデン親子の犯罪への関与を証明しスキャンダルを世間に知らしめそうとしていたが、その男は後に虚偽の証言だったことを認めている。その男がプーチンの差し金だったのではという噂もあるという。

そういった共和党による執拗な言いがかりに対して、バイデン大統領本人も民主党内でも誰一人として「共和党による政治的弾圧」という中傷もせず、ハンターの判決に関しても大統領の権限を濫用した裁判への圧力をかけることもなかった。こういった場面でのトランプ支持の共和党員と民主党全体の倫理観の違い、姿勢の違いという事実にも私個人としては注目したい。

クリントンvsルインスキーのようなスキャンダルはない、ということでこのカギも原色の青「確実に正しい」となる。


カギ10:海外紛争に関する失策があった

残り2か月間で海外情勢が変動の可能性があるということで判断未定のまま決定を先送りすると説明している。



カギ11:海外紛争に対して大きな成功を収めた

これも残り2か月間で海外情勢が変動の可能性があるということで判断未定のまま決定を先送りすると説明している。


カギ12:候補者にカリスマ性がある

カマラ・ハリスの電撃的支持率アップや、スピーチでのカリスマ性に言及する視聴者が多い中、教授はあえて「確実に該当しない」の原色の赤を最終判定としている。

歴史的にみてカリスマ性を確認できる大統領(候補)は数十年に一人現れるかどうかの、党の隔たりを超えるようなリーダー性を持つということが条件。その例としては保守派がすべてを仕切っていた時代に民主党大統領としてニューディール政策を展開したフランクリン・ルーズベルト大統領、保守の基盤を作ったとされるロナルド・レーガン大統領、ジョンF・ケネディやオバマ大統領などがあげられる。

しかし、まだカマラ・ハリスはそこまでのアメリカ史に残るカリスマ性をもっているかどうかという判断は、短期的な支持率の増加や市民の興奮度では測れないという。

従ってこのキーは依然として原色の赤「確実に該当しない」となる。


カギ13:候補者の挑戦者にまったくカリスマ性がない

これは挑戦者のトランプのカリスマ性についての審査。確かにMAGA(頑強なトランプ支持層)の間では神のように仰がれていて、それを大統領としてのカリスマ性と勘違いする人も多いが、政治史におけるカリスマ性という点からみるとトランプには難点が多い。党の境界を越え全体を魅了する統率力があるとは言えないし、リアルTVから引き継ぐスター性と営業力には優れているが、支持層も非常に限られている。第一期目の平均支持率はたったの41%で、歴史的にみると最も人気の低い大統領の一人である。しかも2回の大統領選で2回も一般投票で敗訴している。カリスマ性のあった過去の大統領はレーガンにしてもルーズベルトにしてもすべての選挙戦において圧勝を遂げている。

その判定により、このカギは原色の青で「確実に正しい」となる。


13のカギ判定による当選者の最終予測

上述したように青が8個以上になった場合、現職与党の候補者が当選すると予測される。

現状ではウクライナと中途情勢へのアメリカの関与の結果が出てない状況であるため、カギ10と11に関しての判定はできなかったが、その時点で青が8個を占めているため、今回の大統領選では民主党推薦のカマラ・ハリスの当選がリクトマン教授による最終予測ということになった。




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