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「入社後にできることは少ない」活躍し続けるエンジニアを育成するには

ますます熾烈さが増している、エンジニア人材の獲得競争。中途採用だけではなく、新卒採用や若手層の育成も含めて組織づくりを考えている方も多いのではないでしょうか。

そんな背景を受け、スタートアップの技術領域で働く方同士の交流の場である「GBIL Tech Meetup」では「若手ITエンジニアの育成」をテーマに勉強会を開催。Speee VPoEの大場光一郎氏、エステートテクノロジーズ CTOの池上俊介氏、元Wantedly CTOであり現在はグローバル・ブレイン株式会社のVenture Partnerである川崎禎紀氏をお招きして、各社のエンジニア育成体験をお話しいただきました。

前編では、大場氏によるキーノートの内容をお届け。Speeeの「内定中」から始まる独自のエンジニア育成法についてお話しいただいています。

Speeeの育成は「内定中」から

大場光一郎氏(以下、大場):Speeeの大場です。Speeeは入社6年目くらいでして、エンジニアの採用から育成、活躍できる環境づくりなどに一貫して携わってきました。最近の個人的なマイブームの話もしますと、クラウドファンディングで買ったMSX0スタックが届きまして付属のザナックを動かしては日々ニヤニヤしております(笑)

Speeeではここ数年新卒エンジニアの採用に力を入れています。お試しでやってみた21卒採用で1名、22卒も数名採用できました。それで調子に乗って23卒の目標を大きく引き上げたところ、全くそこまでいかず…。そこで深く反省をして、24卒で前年の目標をなんとか達成しました。25卒は今年のさらに倍のメンバーを獲得しようとチャレンジ中です。こうした経験があるので、今日は新卒採用ならではの難しさをお伝えできればと思ってます。

新卒採用ではやらなきゃいけないことが3つあります。「リクルーティング」と、内定辞退をなるべく抑えるための「リテンション」、入社してからの「オンボーディング」ですね。

この3セットを年次ごとに全部仕切り直して、新しい世代にゼロからやらなきゃいけないという独特の大変さがあります。これが中途採用の勘所と全然違って、大変だけど面白いところですね。

大場光一郎氏

さて、今日は育成がテーマのはずなのに、リクルーティングの話から始めたのには理由があります。「育成」というと、入社した後の話だと認識される方が多いと思うんですが、個人的には入った後にできる育成のためのことは限られてるなと思っています。「採用したけど思ったより育たない」となるのは採用した側の問題というか。活躍のために必要な環境作りができてなかったり、あるいは会社の成長のスピードにその方の成長が合ってなかったり、そうしたミスマッチがあるから活躍できてない人が出てきてしまうんだと思うんです。

こうした事態を避けるために、リクルーティングやリテンションの段階からどういうふうに活躍してもらいたいかを戦略として考えることが必要なんじゃないかなと。そこで今回は、僕らが内定者にやっている育成のエッセンスをお伝えしていこうと思います。

僕らはリテンションの期間中に内定者研修をやっており、ある程度まとまったものを作る、という体験をしてもらっています。技術系の学生さんでもハッカソンぐらいしか経験がない方もいるので、もう少し規模が大きなものを作り切ってもらっています。

また課題図書を読んでレポートを作ってもらって、僕との1on1で振り返って学びを深めてもらう、ということもしています。この目的は専門書を読み切るという体験を通じて、技術との向き合い方や学び方自体を習得してもらうということ。Goとかフレームワークとか、技術そのものを即戦略的に身につけてもらうのも大事ではあるんですが、皆さんもご存知の通り、技術って1回習得したものも変化してしまうし、新しい技術もどんどん出てきますよね。入社前の方にはその変化に向き合っていく方法を身につけてもらうといいのかなと思ってまして、こうした研修を行っているんです。

課題図書の例を1つあげると『アジャイル開発ソフトウェアの奥義』ですね。読んだことある方いますか? 

(会場挙手)

結構いますね。読んだことのある方にはこの本がどれだけ分厚いかご存じだと思うんですが、電話帳みたいなんですよね。800ページ近くあって凶器になりそうな感じで(笑)。

こういう難しい本って、最初に出てくる「A」を正確に理解するには、その後に出てくる「B」を分かった後にまた「A」に戻ってこないと理解できない、みたいなことがよくあるんです。でもそれを知らずに「Aが分からん」と足踏みしちゃうと高度な専門書は読みこなせないわけで。

こうした歯応えのある本を自分の力に変えていくスキルを身に着けておいてもらうことで、入社後も学び続けて活躍してもらえる土台作りができていくんじゃないかなと思ってます。

ちなみにこれに付随した話をお伝えしますと、技術書って中級者向けの本ってほぼ存在してないなと思ってまして。なぜそうなっているのかというと、初心者は技術的なバックグラウンドがないので、どんな切り口からでも学び始められるんですよね。間口が広いから著者も書きやすく、入門書もたくさん発売される。

一方で中級者は、何かしらのバックグラウンドをもった初心者を乗り越えた人です。なので、本を書く側としてはスタート地点をどの切り口からにするかが難しいし、ゴールをどこまで持っていくかも悩ましい。でもその先の上級者向けの本は、とにかく特定の領域に尖ればいいので、読者も想定しやすくたくさん書かれるんです。

つまり、初心者が中級者になるためには、結局上級者向けの本を読まないといけない。だからこそ先ほど紹介したような、その領域で定番になっている教科書を読みこなせるようになっておくことが大事なんじゃないかと思ってます。

他の課題図書でいうと、いわゆる“ドラゴンブック”(『コンパイラ―原理・技法・ツール』の通称)とか『オブジェクト指向入門』とかですね。そういうのを読みこなすスキルって、育成する子のこれからの人生にめちゃくちゃ大事になっていくんじゃないかなと思ってます。実際に育成した若者がその後どうなったのかみたいな話は、この後のパネルディスカッションでお話しできればと思います。ご清聴ありがとうございました。

後編はこちら

新たな地で学びを深めたい方へ

新卒エンジニアに活躍してもらうには、学び続けられる土台を築いてもらうことが重要であると語った大場氏。こうした継続した学びは新卒だけではなく、経験を積んだ中途社員やマネージャー層にとっても大切です。

新たな学びを積む機会として、スタートアップへの転職を考える方も多くいるかと思います。本イベントを主催した「GB Innovators Lounge(GBIL)」は、そうした意欲をもった方に向けた無料のキャリア相談サービスです。

求職者に対する中長期的な機会の提供を目指しており、ご希望のキャリアや働き方などを伺った上で、300社を超えるスタートアップネットワークから求職者のニーズにマッチした求人のみをご紹介いたします。詳細は公式サイトをご確認ください。

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