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【マーケティング理論】プロズーマー(Producer+Consumer)とは?どう企業価値に活かせばいい?LEGO社の例

#ビジネススクール講座2
#マーケティング理論

こんにちは!以前Googleでマーケティングストラテジストとして働いてたKTです。今回もマーケティング理論について学んでいきましょう。

前回のnoteでは,ソーシャルメディアの台頭により,消費者がプロダクトについての情報を発信・交換する機会が増え,消費者の"participation"(参加)が商品価値に関わるようになったという話をしました。

今日は「プロズーマー」と呼ばれる消費者はどんな人たちかにについてと,ユーザーの”participation"を企業戦略に生かしたLEGO社の例を説明します。

LEGO社がMITと開発協力して発売した新商品

LEGOは,皆さんも一度は遊んだことはあると思いますが,ブロック同士をくっつけて遊ぶことができるカラフルなブロックを販売している玩具メーカーです。子供達の関心がTVゲームに奪われていく中で,危機感を持ったLEGO社は,新商品の開発をマサチューセッツ大学(MIT)の教授と共に行い,マインドストームという,レゴとプログラミングを組み合わせた画期的な新商品を発売しました。マインドストームは,簡単なプログラミングを通して,ユーザー達が好きにプログラムを組んで,レゴで作ったロボットに物を運ばせたり,踊らせたり,笑顔を作らせたりと好きな動作をさせることができます。

LEGO マインドストーム


想定外のユーザーによるハッキング

マインドストームはLEGO社の新たなヒット商品となりましたが,一つ想定外のことが起こりました。それは,マインドストームのユーザーたちがプログラムをハックし,当初MITのエンジニアたちが想定していた遊び方を超えた色々な操作方法を生み出したことでした。

LEGO社はこの著作権侵害にもあたるプログラムハッキングに対してどのように対処すべきか悩みましたが,最終的に,プログラムをオープンソースにして誰もが自由に開発して良いという決定を下し,ユーザーたちのハッキングという行為に対して闘う姿勢ではなく,むしろそれを受け入れていく姿勢をとることにしたのです。オープンソースとなったマインドストームのプログラミングコミュニティには,プロのエンジニアから子供たちまで様々な熱心なマインドストームファンが集うようになりました。LEGO社はコミュニティに集まるユーザーたちがより楽しめるように,イベントやコンテンストを開催して,コミュニティを盛り上げています。

消費者が企業の商品価値を高めてくれる時代


LEGO社は,エンドプロダクトであるマインドストームの商品を売っておしまいとするのではなく,その後購入した消費者がいかに楽しく刺激的な経験を持続できるかという,消費者の参加=経験に重きを置いていくことにしたのです。企業が上で,消費者が下というこれまでのトップダウン的な関係性から,LEGOはユーザーと一緒に商品価値を高めていく(value co-creation)という事業戦略をとることにしたのです。

このLEGO社のマインドストームの例に見られるように,今日では,カスタマーは単に商品を買って使うだけの消費者(consumer)だけではなく,商品価値(value)の生産者(producer)としての役割も担うようになったことから,こうした商品価値に影響を与えうるカスタマーはプロズーマー(producer + consumer)と呼ばれています。

皆さんも自社の商品に関して,プロズーマーとなる消費者の動きに注目して,彼らが商品を買ってからする経験をいかに満足度の高いものにするか,そして消費者と一緒に商品価値を作り上げていくということを念頭に置いて,マーケティングを行ってみてください。

それでは以上です。また次の投稿で一緒にマーケティング戦略について考えましょう!


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