「すごいね!」と褒めるより、効果的な言葉かけとは?
子育てで、ほめることが大事だと思っているお母さんお父さんは多いです。でもそれが逆に、多くの親を悩ませているようです。
今日は、こんなお悩みです。
そんな言葉があれば、知りたいですよね?
まずは、よくあるシーンから見てみましょう。
■「すごいね」と褒め続けると、子どもの思考はどうなる?
子どもたちも楽しそうですね。お母さんもニコニコしていて、いいと思います。
こんな日もあっていいのではないでしょうか。
もっといい褒め言葉はないだろうか、何を褒めるべきだろうか、と頭を悩ますより、「すごい」「いいね」「さすが」と繰り返して過ぎていく穏やかな時間も大切です。
ただ、褒め続けると子どもの思考は、「もうこれでいいや」とそこで終わってしまうかもしれません。
そこでもっと簡単に頭を使わず、さらに子どもの自己肯定感を育てられる言葉かけがあるとしたら、試したいですよね。
こちらの会話を見てみましょう。
■褒める代わりに、こんな言葉かけを
いかがですか?
褒めてはいませんが、子どもたちが生き生きしているのが伝わるでしょうか。
何が違ったのでしょう?
お母さんは、子どもたちを褒める代わりに、そのままを言葉にしました。
絵を描いていたので、
「絵を描いているのね」。
「ネコ描いた。5匹」と言ったので
「ネコを5匹描いたのね」。
「クマ、顔だけ」と言ったので、
「クマの顔だけを大きく描いたのね」。
子どもが言った言葉をそのままオウム返ししただけです。
親が描かせたいものに誘導するでもなく、ダメ出しするのでもなく、どこを褒めようかと悩むのでもなく、そのままオウム返しです。
■同じ言葉を繰り返すことの効果とは?
実は、同じ言葉を返すことで、子どもには3つの効果があります。
オウム返しの効果①
親にしっかり受け止めてもらっていると感じて、子どもは安心します。そして自分がやっていることに自信を持ち、集中できます(褒められると、もっと褒められることは何かを考えてしまって、自分の考えに集中できなくなることがあります)。
オウム返しの効果②
自分がしていることを親が受け入れてくれるので、「大切にされている」と感じ、信頼関係が築けます(受け入れてくれる人の前では、素の自分を出せますよね)。
オウム返しの効果③
自分の言葉を親に丁寧に復唱してもらうことで、子どもは自分の考えを整理して、さらに追求を始めます。この場合は、5匹の次に6匹目も描いてみよう、クマの体も描いてみよう、と自分で思い巡らせていますね(大人もそうですが、特に子どもは気持ちを言葉にしてもらいながら、自分の考えを深めていきます)。
どう受け答えしようかと悩む前に、「オウム返し」の力を思い出してくださいね。
さらに、子どもの名前を呼んでから、オウム返しするとより効果的です。
私のこと、ぼくのことをわかってもらえた!と思うからです。
オウム返し、子どもにだけでなく、大切な人との会話でもお試しください。
今日のコミュポイント
執筆:天野ひかり
マンガ:とげとげ。
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。