パパはいつでも「子どもの味方」をすべき?
これは、お父さんからとても多いご相談です。こんな時、どうすればいいのでしょうか。
まずはよくある会話から見てみましょう。
■お母さんが怒る本当の理由
お父さんは自分も一緒に子どもを叱ったら、子どもの逃げ場がなくなると思って子どもたちの味方をしたのでしょう。
子どもたちを救い出したヒーローみたいですね。
でも、お母さんの気持ちはどうでしょうか。
今日こそは怒らずに……と頑張っていたのに、子育ても家事も仕事もいっぱいいっぱいです。助けて欲しいのは、お母さんのほうかもしれません。
実は、お母さんは子どもに怒っているのではありません。なぜなら、子どもが同じことをしても、「怒る時」と「怒らない時」があるからです。
きっかけは子どもかもしれませんが、その本当の原因は、自分がやるべきことがあまりにも多すぎること。それなのに、夫が何も気づいてくれないことにあるのではないでしょうか。こんな時にお父さんにできることを考えてみましょう。
■お父さんがやるべきことは?
マンガのお父さんは、みんなの今日1日の頑張りを認めました。
そして、お母さんと子どもたちがすべきこと(ピアノや片づけ)を続けられるように、自分が夕食の準備を始めました。
子どもにやらせたいことがあるのに、夕食の準備ができないこと、これがお母さんのイライラの原因だったのでしょう。
そのイライラの原因をお父さんが解消してくれました。これぞ真のヒーローです!
ポイントは、怒っていることをやめさせようとするのではなく、お母さんがイライラする本当の原因を解消すること。
家事も子育ても仕事も全部、背負ってしまいがちなお母さんの大変さを1つ1つ代わりに背負っていけるといいですね。その逆も、もちろんです。
料理はハードル高い……というお父さんは、その他の家事をやったり子どもに練習や片付けをさせたり、できることをしましょう。
この時大事なのは黙って取り掛かるのではなく、
「洗濯物たたんでおくから、ピアノの続きやってね」
「洗い物しておくから、子どもの寝かしつけしてきてね」
と言葉をかけること。
お母さんは「しなければならないことが残ってる!」と思うとイライラするので、やっておいてくれることがわかると、安心するからです。
■役割を決めつけていませんか?
帰宅するとお母さんがガミガミ怒っている時のお父さんの行動として、
NGシーン以外に、
というお父さんが多いのですが、これでは根本解決にはなりません。
さらにお母さんの負担が増えてしまい、お父さんの居場所がなくなるかもしれません。
根底に「家事育児は妻の仕事」という意識がないか、自問してみることも大切です。
お父さんもお母さんも、子育ても家事も仕事も楽しんで、家族になっていきましょう。
その姿を子どもたちが見て、育っていきます。
今日のコミュポイント
※もちろん家庭によっては、家事育児の大半を夫が担っているケースもあります。ここではわかりやすい事例にするために、よく相談を受ける内容にしました。
執筆:天野ひかり
マンガ:とげとげ。
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。