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定点観測⑦タイムアタック!

3/15(月)19:28

こんばんは。今月も15日になりましたので定点観測やりたいと思います。

<この一ヶ月に読んだ小説>

・筒井康隆『残像に口紅を』
いつだったか、アメトークの読書芸人でカズレーザー氏が紹介していて、買いました。数年経って読みましたが、頭おかしくて面白いです。
50音が小説から消えていく(消えた文字はもう使えない)んですが、最後の方だけ読むだけでもいいのでぜひ書店で見かけたらパラパラしてみてください。
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・新井素子編『ショートショートドロップス』
ショートショートのアンソロジーです。ショートショートといえば星新一、というイメージでしたが、ほんとにいろんなアプローチがあって目から鱗でした。作家さんによって全然雰囲気が違って、読んでて楽しいのはもちろんなんですが、とても勉強になりました。
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・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(上)
言わずと知れた巨編。そろそろ楽しめる年齢かと思い、初挑戦です。著者のユーモアがすごく好きで、夢中になって読むんですが、全然進んでなくて笑えます。知らない言葉が出てくると調べてしまうタチなので、それもあって時間がかかる小説です。今は中を読んでますが、人間の本質がバチバチに描かれててスギョイ。
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・赤川次郎『マリオネットの罠』
文藝別冊「総特集 伊坂幸太郎」ってムックがあるんですね。そこに「伊坂幸太郎を作り上げた100冊」という企画が収録されているんですが、その100冊を片っ端から読んでいこうとしています。その1冊目です。ちなみにカラマーゾフも100冊に入ってます。
「騙された!」という快感を味わいたい方、ぜひこれ読んでみてほしいです。いろんなパターンを意地悪に想定して読んでいたんですが、全部外れました。
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・東野圭吾『宿命』
これも前述の100冊の中の1冊。すごく小説の世界に没入して読めるんですが、たぶん敵キャラの描き方が抜群にうまいからなんですよね。緊張感のあるシーンのリアリティだったりとか、惚れ惚れします。疾走感があって、あっという間に読み終えてしまいました。
https://amzn.to/3bN6fUb

けっこう読んでるな、えらい!

と思ってもらえないかと考えて列挙してみましたが、これくらいじゃ足りないか…。次回はもっとたくさん報告できるように頑張ります。リンクつけておいたのでもし興味持ってもらえたら読んでみてほしいです。そして感想を言い合いましょう。

書くほうは、今2本目の短編を進めています。完成まで、あといくつか越えなければいけない壁がある……。これができたら、ショートショートもいくつか出したいと思っています。

3/15(月)20:00

ここまでで、30分ちょっと経過しました。相方の旅エッセイが面白いので、何か僕もやろうと思っていたんですが、その初回として、名付けて「ショートショートタイムアタック」をしたいと思います。今からショートショートを一本書きます。猛スピードで書きます。いつもは書いたものを2人で修正してから投稿していますが、今日はもうそのまま、書けたらすぐ投稿します。生まれたてのショートショートをお楽しみください。

それではいってみましょう!

3/15(月)20:07

タイムアタックショートショート「占い師の宿命」

 ラッキー氏は有名な占い師だった。なんでも願いが叶うと噂で、大勢の人が連日ラッキー氏の元を訪れた。

「今日はどうされましたか。悩みがあるようですね」

「ええ、これは言ってしまえば、恋の悩みなのでございます。意中の人が、どうしても私に興味をもってくれません。どうしたらいいでしょう」

「そうですね。占いの結果によれば、あなたの運勢はかなりいい。もしかすると、その人はあなたとあまり相性が良くないのかもしれません。仲良くなったらあなたに害があるかもしれない。おそらく守護霊があなたを守ってくれているのでしょう。無理に近づきになろうとしてはなりませんよ」

 こんな調子だ。相談にやってきた者たちは真剣にラッキー氏の話を聞いて、帰っていく。そして何ヶ月か経って、興奮した様子でまたやってくるのだ。

「ああ、ラッキーさん! 言われた通りに、私からは何も誘わず、むしろ少し遠ざけるようにしてみたのです。そうしたら、2人っきりで食事に行くことができたのですよ! それはそれは幸福な時間でした。感謝してもしきれませんよ」

 そんなある日、ラッキー氏の元に1人の若者がやってきた。彼は見るからにげっそりしていて、他の客とは様子が違った。

「今日はどうされましたか。体調が優れないご様子ですが」

「ええ。優れないなんてものじゃないですよ。最悪です。僕は今日、あなたに1つお願いをしに来ました。願いが叶うって噂を聞きつけましてね」

「自分で言っているわけではないんだけれど、そういう評判は嬉しいよ。で、願いというのはなんです」

「ラッキーさん、あなたに死んでほしいんです」

 若者は血走った目でラッキー氏を睨んだ。隠し持っていたナイフを振りかざす。

「待ちなさい! やめなさい! この!」

 ラッキー氏はすんでのところでナイフを躱し、若者に体当たりした。よろめいた若者に抱きつき、動きを止める。

「突然どうしたんです。いいから、落ち着きなさい。どうして私に死んでほしいのか、話してみてくれませんか」

 若者は肩で息をしていたが、抵抗はしなかった。呼吸を整えてから、話し出す。

「僕はこの町で占い師になろうと思っていたんです。必死で勉強しましたよ。やっとこれから独り立ちするぞ、と意気込んだ矢先、あなたが現れたんです。もうこの町はラッキーさん以外の占い師を認めないでしょう。僕の人生、どうしてくれるんですか」

「いいかい、君は絶対に占い師として成功するよ。遠くの町に引っ越しなさい。私の真似でいいから、その町で占い師として自分の力を試してみなさい。それでうまくいかないなら、その時は私が死をもって償いましょう」

 若者は静かに聞いていた。しばらくして、「わかりました。約束ですよ」と言って去っていった。

 若者を見送ったあと、ラッキー氏は懐かしさに目を細めてつぶやいた。

「やれやれ。ついにこの時が来たか。私も師匠に死んでくれと頼んだことがあったものだ。今日から私も、今の青年の師匠だな」

3/15(月)20:48

はい! どうでしょう。41分! なかなか頑張ったのではないでしょうか。

つまんなくても大目にみてね、という意味も込められたタイムアタックですが、ちょっとでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

それではまた!



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