足関節の外傷 Part1

割引あり

足関節の外傷 Part1と題しまして、柔道整復師なら一度は経験するであろう足関節捻挫についてです。

私は、のべ1000例以上の足関節捻挫症例を見ています。
中には、重症例であり手術が必要な症例もありました。
また、他院で適切な処置がなされず、痛みが持続しているために数週間経過してから来院される症例も数多く経験しています。

足関節捻挫は正しい評価と正しい処置が行われれば良くなる症例が多いです。
たかが捻挫では決してありません。
正しい知識を身につけましょう。

10年ほど前のデータですが、『足首の捻挫をした際にどこへ通院しますか』という質問に対して、約40%の方は整骨院と回答しています。

放置の方が多いのが驚きです。

ただし捻挫の中には、骨折している例もあります。
では、どんな時に整形外科の受診を促すべきなのか。
明確な知識はありますか?
腫れが強いから?、荷重が出来ないから?でしょうか。

そこで重要となるのが、Ottawa Ankle Rule(OAR)です。

OARが確立した背景には、海外の医療制度が関与しています。
日本であれば、国民皆保険制度があり、整形外科に行きレントゲンの撮影をしても保険がきくので、比較的安価ですみますが、海外はそうではありません。
海外では保険に加入するために、条件がたくさんあり皆が皆、保険に加入出来るわけではないのです。
つまり、不必要なレントゲン撮影を行わないためにOARが確立したとも言われています。

OARについて少し解説していきましょう。

Ottawa Ankle Rule

まず、A〜Dの部位の圧痛を確認します。
そこから下図の手順で進めていきます。

Ottawa Ankle Rule

どんな検査でも、必ず感度・特異度は存在します。

感度とは、除外力のこと。
特異度とは、確定力のこと。

OARは陰性であれば、足関節周囲の骨折はないであろうと言えますが(除外力)、OARが陽性だからと言って、足関節周囲の骨折があるとは限らない(確定力)のです。

スポーツ現場では、足関節周囲の外傷で、11%は骨折を生じている可能性があります。

そこでOARの出番です。

OAR陰性であれば骨折の可能性が1.1%まで減少!
逆を言えば、OAR陽性だったら、現場での対応だけでなく、医療機関の受診を促すべきです。


整骨院やスポーツ現場で、足関節周囲の外傷を診る際には、是非OARを思い出してください。


閑話休題しまして、ここからが前距腓靱帯(ATFL)について。

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