エッセイ : 夕張メロンとブランデーと珈琲 27歳 札幌にて / 夢は実現させるまでの方が楽しいのかもしれない

僕が27歳の時、職場旅行で函館、小樽、札幌の旅に行った。
僕は大学生の時に、ひとり旅で北海道に行っているので、最終日に訪れた札幌も2回目だった。

札幌での昼食はスープカレーだった。僕はこの時、
初めてスープカレーを食べたが美味しいと思った。

職場旅行最終日の夕食に毛蟹が出た。僕は蟹のなかでは毛蟹が1番好きなので嬉しかった。鮭のルイベも美味しかった。
そして勿論、ビールはサッポロビールだった。
宴会が終わると、職場旅行最後の夜だから、自由行動になった。
僕は夜の札幌の街を歩いた。
そして、7年前、大きなリュックを背負い交通費を節約するために歩いて観光名所を見て廻った時のことを思い出していた。

今の僕には、あの頃僕が持っていたものを持っていないと思った。
でもそれは、夢に向うひたむきな姿をみたいな大げさなものではないと分かっていた。
でも、それが分からないでいた。

ホテルに戻りルームキーを貰い、エレベーターに向う途中にあるカフェで珈琲を飲むことにした。
メニューに夕張メロンがあるのを見つけ一緒にお願いした。
珈琲と一緒に夕張メロンも運ばれて来た。
夕張メロンをのせた器に金属製のミニピッチャーがのっていた。

お店の女性に聞くと、
ミニピッチャーのなかにはブランデーが入っていて
夕張メロンにかけスプーンで全体に広げて食べるのだと教えてくれた。

僕は最初に夕張メロンだけをひと口食べた。
そしてその後、ブランデーを塗った夕張メロンを
ひと口食べると、これは美味しいと思った。
夕張メロンとブランデーは凄い相性がいい。
そして珈琲を飲むとその珈琲も香りが良く美味しくなる。
いいことを知ったと思った。

ブランデーをぬった夕張メロンを食べていると、
僕は、何故こんなことが分からなかったのだろう?
と思った。
ひとり旅をしていた大学生だった自分は持っていたが、今の自分が持っていないもの、それは楽しさだった。

確かに、社会に出れば人間関係に悩んだりする。
でもそういう意味ではなくて、ひとり旅をしていた
大学生だった自分は単純に楽しかった。
ヨーロッパに行く仕事に就きたいという夢のために頑張っていた。そしてそれを応援してくれる親友たちや彼女がいた。
そして毎日が楽しかった。そんななか、リュックを背負いひとり旅をすることは、楽しくて仕方がなかった。 

僕は課長に、10月にヨーロッパに出張に行ってもらうつもりだ、と言われていた。
自分の夢がもうすぐ実現すると思っていた。
だか、ブランデーをぬった夕張メロンを食べ、
そして珈琲を飲みながら僕は、
夢は実現させるまでの方が楽しいのかもしれない
と思った。

後日、マスクメロンにブランデーをぬって食べてみたが、そんなに美味しくならなかった。たぶん、
マスクメロンは夕張メロンよりも水分が多いからだと思う。
ブランデーは夕張メロンに1番合うと思う。





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