エッセイ : たんぽぽ珈琲 / 九月の風〜通り過ぎた夏と僕の手作りの珈琲

たんぽぽの花言葉は、愛の神託、真心の愛だが、
思わせぶりという花言葉もある。
これは、たんぽぽの綿毛で恋占いをしたことから来ている言葉だそうだ。息を吹きかけただけで、たんぽぽの綿毛は飛んで行ってしまい、恋占いの結果が簡単に変わってしまう。そんな気まぐれさから、この花言葉もつけられたとか。

僕は、たんぽぽで手作りのインテリアの小物を作ったことがある。ガラスの瓶の底に乾燥剤をいれ、そこに綿毛が広がる前の綿毛の蕾の状態のたんぽぽを入れて立てる。
ガラスの瓶のなかで、たんぽぽが綿毛を広げた状態のままで何時までもいる。
それを家のなかに飾っていた。
僕の奥さんも娘たちも気に入ってくれた。

ある日、アウトドア雑誌を読んでいたら、たんぽぽの根で作る珈琲のレシピが載っていた。
たんぽぽの根を陽のあたる場所で乾燥させる。
乾燥させたたんぽぽの根を、コーヒー豆の大きさにカットする。次に、カットしたコーヒー豆大のたんぽぽの根をフライパンで煎って、濃いめの茶色になるまでローストする。
ローストしたコーヒー豆大のたんぽぽの根をコーヒーミルで粉にし、ペーパードリップして珈琲にして飲む。
効能は、利尿作用と肝機能の向上、高血圧予防、
そして女性の場合は生理不順を改善させる、と書いてあった。

僕は、たんぽぽ珈琲を作ることにした。
春を待ち、僕の家の近くに、当たり一面たんぽぽが咲く丘があるので、そこに行き、たんぽぽを収穫してきた。
1週間、たんぽぽの根を乾燥させた後、コーヒー豆大の大きさにカットし、フライパンでローストした
冷めるのを待って、コーヒーミルで粉にして、
ペーパードリップで珈琲にした。

飲んでみると、味は珈琲だが香りは高麗人参に近いと思った。だが、身体に良い物を飲んでいるという感じかした。僕は美味しいと思った。
奥さんも娘たちも美味しいと言った。
そして、漢方薬みたい、とも言った。
僕は沢山作って冷蔵庫で保存することにした。

僕は常日頃、奥さんから珈琲を飲みすぎると注意されているので、時々たんぽぽ珈琲を飲んでいる。
たんぽぽ珈琲を飲んでいると、奥さんは、よしよしという顔をする。

今日はこれから、たんぽぽ珈琲を淹れて飲むつもりだ。僕は、音楽を聴きながら珈琲を飲むのが好きだ
今は9月なので、松岡直也さんの名曲
THE SEPTEMBER WIND 九月の風〜通り過ぎた夏
を聴くことにした。

家から茶色の田園風景が見える。
夏の終わりと秋を感じながら飲もうと思う。









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