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エッセイ

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どうでもいいような、だけどあるとちょっとウレシい毎日のことです。
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#お正月

あまざけ

あまざけ

 近所の神社ではお正月に甘酒がふるまわれています。雪がちらつく中の初詣、みんなその湯気に寄っていく。あるいは「あまざけ」という言葉に引き寄せられて。甘酒との出会いは幼い頃、お正月か、ひな祭りかに親戚からもらった瓶詰めのもの。白っぽい瓶に、うすもも色のラベルが貼ってあって、わたしはウワッと色めき立ち、これ飲んでいいの? と大人たちの顔色を伺う。お酒なのに?飲んでいいの?あまいの?という気持ちで。
 

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伊達巻き

伊達巻き

 数の子も昆布巻きも煮しめも、重箱の中におさまった食べ物はどれも好きだけれど、特に愛らしく思えてしまうのは伊達巻き。わたしは伊達巻きのことが大好き。どういうところが好きなのか、甘い味? ”伊達”という名の通り、花形の存在だから? フリルみたいに、なみなみっとしているから? 伊達巻きについてちょっと調べてみると、「伊達巻きとは、卵料理のひとつ。長崎においては、カステラ蒲鉾と呼ばれる」
 カステラ蒲鉾

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お雑煮

お雑煮

 元日の朝ごはんにはお雑煮を食べます。具は丸もちと、水菜だけ。お餅をトースターで焼いている間に、水菜をざくざく切ってすまし汁をつくります。透き通ったつゆの中に、白と緑、そのシンプルさが気に入っています。お餅のふくれたところにつゆがしみるとふやふやになるので、そこから食べます。ふやふやには水菜がひっついてくるのでおいしく、つゆを飲み干そうとするとき、お椀の底に溜まっているふやふやもおいしいのです。三

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