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エッセイ

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どうでもいいような、だけどあるとちょっとウレシい毎日のことです。
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#本

ちいさな旅のこと #3 本のこと

ちいさな旅のこと #3 本のこと

街を歩き回りながら、ふと足を止めてしまうのは結局いつも同じ場所で、それは本屋である。軒先に並ぶ古本のワゴン。ふらふらと吸い寄せられてゆく。旅先で本を買うなんて、本来はやってはいけない。旅はいかに荷物を軽く、身軽でいられるかということが重要なのであって、本などという重くてかさばるものを増やしてどうする、とわたしの頭はちゃんと分かっている。でも、気づけば右手は、本を棚から抜き取ってレジへとせっせと運ん

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ゴールデンウィークには白い本を

ゴールデンウィークには白い本を

午前中、人は少なくて静かだった。といっても、図書館はいつも静かだ。平日でも休日でも、午前でも午後でも、みんな本ばかり見てる。前回のエッセイで4月17日に本を返しに行くと書いたけれど、インターネットの図書システムから一週間貸し出し延長ができるから、それを操作して24日に返しに行った。

“本屋さんも大好きだけれど、図書館は「富」だから好きだ。”とも書いたけど、図書館の静けさも好きなところのひとつ。あ

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せかいのえほん

せかいのえほん

「せかいのえほん」は、青く丸いマークがついている棚にあります。
「うみべのまちで」という絵本を手に取り読みました。近くでは、少女がしゃがみ込んで本を読んでいます。シンケンです。紫色のワンピースを着て、紫色のカチューシャをつけていました。
「おかあさん、みるくのはんたいはな~んだ」という声が、部屋の中に響きました。「く・る・み、でした〜」と続けて聞こえてきたので、わたしは心の中で「み・る・く、く・る

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