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プレーン味 Day3


朝の日差しがいつもよりもうっとおしかった。

昨日の夜にタイトルをつけるなら
「愚痴と晩酌」だ。

同居人の仕事の愚痴と手料理をツマミに
良い感じにお酒が進んだ。

素晴らしい手料理を生み出している同居人が、
必死に愚痴を吐き出していることに無情さも感じた夜だった。


いつもよりも酒が進んだ夜は身体が重たい。
今日も何も考えずに電車に乗る。

相変わらずスマートフォンと指で前戯している人ばかりだ。
電車の中にはスマートフォンを触る決まりでもあるのだろうか。

今日は大事な取引先への営業の日だった。
そんな日なのにアルコールがまとわりついてきた。

「昨日の夜寝るの遅かった?」なんて、聞かれるくらいには眠い。
どうせならしほちゃんに聞かれたかった。



営業は嫌いだ。

何が好きで誇りもない持っていない
自分の会社を売り出さなければいけないのか。

そもそもこの疑問が浮かぶだけマシなのかもしれない。
きっと思考回路が停止したやつはこれすら考えないんだ。

脳みそがジャンク品となったやつは
生まれ変わって社会の歯車になるんだろうな。

ただ、こんなことを考えていても
声を大にして言わない自分は心がジャンク品だ。



営業は適当に終わらせた。
愛想笑いは得意な方だ。

同居人が待つ場所帰る最中に
なんとなく朝の格好がなぜか可愛かったことを思い出した。

朝の無防備な時間帯は男子の夢が詰まっている。



緊張の糸を切る魔法の言葉を言うと、
「おかえり!」という音と良い匂いが飛んでくる。

いつも通りフライパンを覗き込むと
海老のクリームパスタがあった。

つまみ食いをしたい気持ちを抑えて、
黒い鎧を脱ぎ捨てる。



本来の格好に戻った時には食卓の準備ができていた。
同居人の「食べよー!」が妙に可愛かった。

ちょっとだけ心がときめいた。

ジャンクとなった心で作れるのは
歯車だけではなくオルゴールもだ。

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