そもそも「やりたい事」の見つけ方って何?と考えてみる。
キャリア相談を受ける中で寄せられる質問として多いのは、
「『仕事におけるやりたい事』がわかりません」
「やりたい事ってどうしたら見つけられますか?」
「やりたい事がわからないので私の良さを教えてください」
等々。「やりたい事探し」に頭を張り巡らせている方は、今も多くいらっしゃると感じています。
まず「やりたい事の見つけかたって何なんだろう?」と考えてみると、これまではキャリアステップに関するアドバイスが主流で、最近ですと不確実性が高まる中で偶発性なキャリア形成をした方が良いとよく耳にすることがあります。いよいよ未来への不確実性が高まっているんだとも感じますね。
キャリアステップの進め方として、キャリアゴールをある程度固めましょうという話があり、キャリアゴールから逆算して現状の自分に何が出来て、何に取り組まないといけないのか?生存競争戦略を意識しスキルや経験の組み立て方を考えてみよう、というのが一般的かと思います。これはこれでキャリアの組み立て方として現在も根付き、活躍されていらっしゃる方を拝見いたします。
「やりたい事探し」に関してクランボルツ教授の「計画された偶発性理論」を引用して、出来ること、知ろうとすること(好奇心、持続性等5つの指針)を個々人の観点からアドバイスをされているかと思います。どのアドバイスも有益であったり、個々人のライフの背景によっては当たっている場合もあるかもしれません。ただ、人によってはそうはいっても未だわからないと、「やりたい事探し」を続けている方も多くいるのかもしれません。
そこでやりたい事の見つけ方に関して、見つけられた人と見つけられていない人がいるという事はどういうことなんだろう?という観点から考えてみると、
A:
①すでにやりたい事を見つけてやれている人
②「やりたい事」「やりたくない事」を考えたことがない人
③未だにやりたい事を見つけられておらず、探していますという人(今回のテーマの人)
そこで、そもそもA-①=「すでにやりたい事を見つけてやれている人」ってどんな人なんだろうと分類するとこんな感じかと。
A-①:
a)誰からの影響も受けず自身で見つけるケース(職業人とのふれあい、本やメディア等の影響)
b)家庭内のステイクホルダーからの影響を受け、本人も納得してやりたい事を出来ているケース(祖父母、親族、両親、結婚相手等)
c)親族以外の知り合いからの影響でやりたい事を見つけた(先生、友人、知人)
d)仕事をする前はやりたいことではなかったが、仕事をするうちにやりたい事になった。
やりたい事が見つからない人はa~cのどの場面でも、やりたい事が見つからないという事で現在に至っているんだと思われます。人との関係性というのも要因としてあるかもしれません。
A-①-dのケースが冒頭で上げている、偶発性のキャリアで取り上げられているような、まずはやってみることからキャリアの道が切り開けるという話しになりますね。出来ることからやってみる、好奇心、持続性等を持ってやってみてやりたい事を引き寄せていく、そんな感じでしょうか。
今回のテーマとしては、A‐③に当てはまる人に対して、出来ることから始めてみたり、知見をひろげようといったアドバイスとは何なのか?やりたいと思える事が見つかっていくにはどうしたらよいのか?をもう少し掘り下げてみると、
・それでもなお「やりたい事が見つからない」という人が存在する。
【αの属性】
・上記のようなアドバイスがあっても、そもそも、何が出来るかわからない、色々と調べてみたり話したりしたが未だ見つからないという人。
【βの属性】
つまり【α】と【β】の属性の人がいて、実はこのセグメントが多いのではないかと推測されます。おそらく横並びで「個」を尊重した教育機会を受けていないなど日本の教育制度に依る部分が大きいかと個人的には思っていますが。
「やりたい事が見つからなかった」×「出来ることがわからない、調べても結局わからない」という人が一定数存在していて、彼らがやりたい事探しをしている。
ただ、一方で「仕事でやりたい事を見つけなくて良いです」という話しもありますよね。
これは、A-②「やりたい事」「やりたくない事」を考えたことがない人(考えない人)。
A-②:
a)生活そのものを成り立たせる手段が仕事というだけ。大して気にしないんです。
b)生活そのものを成り立たせる手段が仕事というだけ。自身が「幸せ」を感じるのは「仕事」以外の「何か」。
ここでキーワードとして出てきた「幸せ(Happiness)」。ここが「やりたい事探し」のポイントなのかなと。
幸せの在り方は千差万別で仕事以外の趣味や家族、友人、旅行、それ以外多くの要因が存在しているは御存知の通りかと。愛に生きたいですという人もいるでしょう(映画:グッド・ウィル・ハンティングのマット・デイモン)。地位や名誉、はたまたスポーツ、学問、何もしないのが幸せ等々、細かく切り分けて数え上げたらきりもないくらいですかね。
なるほど!「仕事」からのみ「幸せ」が得られるとするのも同調圧力的な感じがしますね。「一日の大半も過ごす事なんだから、やりたい事を仕事にするのは当たり前でしょう!」っと言う声に慎重に耳を傾けながら、この考え方が本当に自分に当てはまるのか?まずはじっくりと考えてみる必要がありそうです。
さー私はどーなんだ?というお話。
私はいま現在やっていることは「過去にやりたかった事」ではないが「やりたい事をさがしていない状態」のサイクルに入っている、というのが適した言い方なのかなと思っています。
10年前、20年前にさかのぼってみて当時やってみたい事がなかった状態で、「やりたい事ってなんなんだろう?」と、同じように考えた経験があります。では今の自分に「問い」をだしてみます。
・いまやりたい事がやれている状態ですか?→Yes, but もっとやってみたい事がたくさんあります
では、
・やりたい事がすべてやれていないから幸せじゃないんですね?→No
日々一歩一歩前に進みながら幸せに生きるようにしています(当たり前ですが)。でも、この「当たり前という感覚」はひょっとすると日常生活を成り立たせる上で重要なのかもしれません。
私がやってきた事は、アンテナを張り続け、まずはやってみようの気持ちをもってチャレンジしたり、失敗したらリスクをとりつつ、やりたい事もやりたくないことも、やり続けてきているうちに自然と「やりたい事探し状態」から抜け出し、自分が「出来ること、出来ないこと」、「やりたい事、やりたくない事」が徐々に明確にクリアになってきて、それらを選択するのが自然な状態になっていったのかもしれません。
現在の状態が完璧な状態というわけではなく、これまで繰り返してきた「Just Do it」で、素直な姿勢で少しでもやっていて楽しいことやちょっとでも「わくわく」するような事をやるように心がける状態をKeepできるようにしてみるといった感じでしょうか。
「すべてにおいて前向きに受け入れる状態を作り、まずはやってみてから考えてみる」というサイクルを作ることが、仕事におけるやりたい事の見つけ方につながるのではないかと。
やってみたけど見つかりませんでしたのであれば、別のベクトルに向けるも良しで、仕事から離れたHappy を考えてみるのも一つの手かと。
本来は「やりたい事探し」の前に「Happy探し」が本質なのかもしれませんね。
そして、未来の人間の働く「目的」がソーシャルグッドにシフトし、「個」としての生き方での考えが強かった時代に生み出された言葉が色あせ、「共感」に基づいた「コミュニティ」をそれぞれが構成しながら、人的交流が加速し、「人軸」でのイノベーションを起こしやすくなることで、より生産性が高い、選択肢のある働き方のある時代が到来するかもしれません。
で、結局のところ「今を楽しんで笑ってHappyに生きた方が良いよね。」。結局、それが誰かのHappyに繋がるから、というキャリアアドバイスでした。
<参考>
Classic:年功序列,終身雇用型モデルの経営環境下のキャリア構築→日系大手企業,中小企業(オーナー型)
Old :中途採用でニーズのある経験スキルを転職を繰り返すことでキャリアゴールを目指す
→スタートアップ,ベンチャー,中小企業
New :「個」と「組織」の関係性がフラット。「個人」のキャリアがマーケットの価値と連動。生活を基盤に柔軟なキャリア構築。→スタートアップ,ベンチャー,フリーランスマーケット(企業規模問わず)
Future:「個」としてプロジェクトベースでコミュニティに所属するワークスタイル。「個」から「社会」へ意識が移る事でキャリアという概念が薄くなり、コミュニティを掛け持ちながら、時には「移動」する事で、様々な選択肢の機会を得る。スキルの多様化、細分化が進み、学びのスピードが速くなる為、オンラインで何かを学ぶ事が常態化。個人の幸せが労働の目的ではなく、ソーシャルグッドが目的に。 →企業全般、コミュニティ
【20xx年 働くセンス】
①専門性 :セールス,Web,会計,税務,財務,HR,PR,ライティング,データ,エンジニアリング,etc
②マネジメント:ピープルマネジメント,経営管理(計数管理)
③人間力 :「人」との関係性を円滑にするコミュニケーション能力
④ITリテラシー:リモート環境対応,ITツールの発展
⑤コミュニティ形成:コミュニティを作りあげるスキル、経験
働くセンス :①+②+③+④+⑤
→総合的に各々の領域を環境に合わせて柔軟に使い分けて成果を出す力
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?