鈴木あやみ@20代で自死遺族

28歳で夫が自死。その後、私自身が躁うつ病発症。 6年経ったいま、その時の記憶と今の気…

鈴木あやみ@20代で自死遺族

28歳で夫が自死。その後、私自身が躁うつ病発症。 6年経ったいま、その時の記憶と今の気持ちを記録していきます。苦しみだけではなく、今を大切に思う気持ちや希望も書いていきたい。 苦しみの淵にいた、あの時の私に宛てて。

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#000ある日、いきなり死にかけた

夫が亡くなったのは、2018年11月のことだった。享年28歳。 薄々は悪化していく異変に気づいていたものの、「私の気を引きたいだけ」と深く考えないようにしていたのは事実だった。 2018年の4月から夫は会社を休職した。通院を続けるものの、夫の精神状態がひどく乱れるようになり、私自身も精神的疲労でまいっていき、「このままだと共倒れする!」と焦った私が離婚を切り出した2日後、夫は自宅で首を吊り亡くなった。 そして、5年後の2023年9月の深夜。 私は、一人暮らしの4階の自室から

    • #006 11月4日

      2018年11月4日。最後の結婚記念日。 鳥取にある田後港に釣り旅行にいった。私たちの共通の趣味が釣りだったこともあり、記念日は釣りに行っていることが多かった。この田後港に行くのも3回目で、遠征場所としては馴染みがあって、2人の思い出の場所のひとつ。鳥取生まれの人にもあまり知られていない、私たちの小さな大切な場所。 夫が突然言い出したのだ。「記念日は鳥取に行きたい。」 その頃、私は新しい部署には慣れて、仕事は順調にこなしていた。忙しい年でもなければ、仕事量も新人で配慮されて

      • #005 悪者のいない地獄

        1回目の自殺未遂から、夫の病状は大きく波を打つことになる。1週間のうちで元気な日は、釣りにいきたいと出掛けていったり、夜中に友達と遊んだりする。元気のない日は、食事もほとんど摂らず、家でぼーっとしていることも多い。 そんな中で一度目の自殺未遂以降、大きく変わったことがあった。 私への攻撃だ。しかも、非常に激しかった。他の人からそのような話は全く聞いたことがないので、おそらく私だけだったのだろう。 仕事中に何度も着信が入ることが増えた。出れなければ、折りたたまれて表示されるく

        • #004 少し明るいおはなしをしたい

          ここまで続けて読んでくれた方たちに、きっとしんどい思いをさせてしまっているのではないかと思いました。 しんどい中、ここまで読んでくれてありがとうございます。 このあとも、しばらくは苦しい場面は続くのですが、そのあとは山あり谷ありながら、今の穏やかで、落ち着いた、彩りのある生活のお話に続いていきます。 「少し明るいおはなし」と題うってみたものの、何が明るいのかと、どうしても躊躇してしまうのです。 こんなにも、なかなかに暗くて、苦しいエッセイを書いているものの、普段の私は、お酒

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        #000ある日、いきなり死にかけた

          #003「時が経てば」は半分ホントで、半分ウソ。

          今回、苦しい思い出を吐き捨てるために、筆を取ったわけではない。 ただ、本当に、あの時の先の見えない暗闇に入っていく感覚は、思い出すと狂いそうになるくらいの不安だった。もしかしたら、今、この散文を読んでくれている人の中にも、大切な人が病気になり、同じように辛い経験をした人がいるかもしれない。自分自身が大病になり、どうしようもなく暗闇に落ちてしまった経験の人もいるかもしれない。 夫が亡くなってすぐの頃、私はとても自虐的で、自分から心の傷をえぐり返すような行為を何度も何度も繰り返

          #003「時が経てば」は半分ホントで、半分ウソ。

          #002綻びはじめたのは。(後)

          「中程度うつエピソード」 夫が初診で言われた診断名だ。初診できちんとした診断がつくわけではない。そのことが、今だったら少しわかる。夫が本当にうつ病であったかどうかはわからない。ただ、その時は、医療機関に繋がったこと自体に少し安心したのを覚えている。私も夫と同じく福祉関係の相談業務に携わっていた。だからこそ、医療機関に繋がらないことの難しさを知っていたからこそ、医療機関に繋がったこと、そして診断書を貰って、夫が少し会社を休めることに安心したのだ。 本当にバカだった。休むことが夫

          #002綻びはじめたのは。(後)

          #001綻びはじめたのは。(前)

          あとから思い返してみると、夫の病気の変調が見え始めたのは、2018年の1月後半からだったように思う。今でもずっと私自身が忘れられず、夫の病気のトリガーになったと思わずにはいられない出来事が起こった直後だ。 2018年の1月上旬に、私自身に「脳下垂体腺腫」が見つかった。長年の生理不順。というよりも、すでに無月経の状態であったために婦人科を受診した。あるホルモンの値が異常値を示していたため、大学病院で検査した上で、年明け早々に診断が下りたのだ。 当時、仕事は3年目が終わる頃。

          #001綻びはじめたのは。(前)