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#000ある日、いきなり死にかけた

夫が亡くなったのは、2018年11月のことだった。享年28歳。
薄々は悪化していく異変に気づいていたものの、「私の気を引きたいだけ」と深く考えないようにしていたのは事実だった。
2018年の4月から夫は会社を休職した。通院を続けるものの、夫の精神状態がひどく乱れるようになり、私自身も精神的疲労でまいっていき、「このままだと共倒れする!」と焦った私が離婚を切り出した2日後、夫は自宅で首を吊り亡くなった。


そして、5年後の2023年9月の深夜。
私は、一人暮らしの4階の自室から唐突に飛び降りそうになった寸前のところで、立ち止まり、自分の通院する精神科病院に入院することとなった。正直、何が起こったのか、どういう気持ちであったのかは、ほぼほぼ覚えていない。ただただ強い焦燥感と、誰かを頼る力が残っていなくて、もう全てを終わらせてしまいたかった。


今まで、親しい人たちにも断片的にしか話してこなかった。さらに言えば、苦しいという感情を無理やりどこかにやって、心ここに在らずでしか話せなかった。
そんな中で、今回この自死遺族としての経験や、時が過ぎ去ることで移り変わってきた感情たちを記録に残したいと思った理由は大きく2つある。
1つ目は、一番辛かったあの時、20代で遺族になってしまう(ましてや、新婚時期に一人残されてしまう)孤独を描いた経験談がほとんどなかったことにある。夫が亡くなって最初の1年は「グリーフケア」「自死遺族」を何度も検索し、どこかにモデルケースがないか探していた。何もかも止まってしまった時間の中で、どの方向に、どうやって進んでいいのか分からなかったし、縋り付くような思いでスマホだけを手繰っていた。

2つ目は、最近の私の病状的に「記憶」をしていくことが難しくなっていることも大きい。夫が亡くなってすぐに精神的不調をきたし、メンタルクリニックに通院することになった。1年ほどは、起きてしまった衝撃的な事象に反応しているだけで、「病気」ではなく「状態」であると主治医からは話されていたが、2年〜3年目に「双極性感情障害」として診断を受けた。あの日、突如、窓から飛び降りようとしたその瞬間に、頭の何かをが弾けたような感覚を受けて、そこから入院時期の最初の頃の記憶が1ヶ月くらいほとんどなく、さらに日常生活に戻ってからも、明らかに記憶の欠如・記憶の時系列の崩壊を起こしていて、頭の中に空白だけが残るようになっている。正直、とても情けない。このまま1年2年と時間が過ぎていったら、きっと夫を亡くして5年目以降の記憶を忘れてしまうかもしれない。感情的に言えば、そのことがとても悲しく、後悔をしそうであるというのが、書き残そうとしている理由。そう。とても個人的な記録と捉えてもらって構わない。


とても個人的で、感情的な文章かもしれないけど、苦しみの淵にいたあの時の私に宛てて。そして、一番辛かったあの頃の私と同じような境遇の人の、【なにか】になればいいなと思いながら、書けるところまで、ゆっくりと書いていきたい。


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