Pythonでバレー分析②イタリアリーグ3/4
(画像:日刊スポーツ)
3月4日に、イタリアリーグのレギュラー戦最終節が行われました。
石川祐希選手率いる試合前7位のミラノは2位のペルージャとの対決でした。
この結果によってプレーオフの組み合わせが決まる重要な試合でしたが、どのような内容だったのかデータを見ていきたいと思います。
また、ミラノについては先日もヴェローナ戦での分析を行っているので、そちらとも比較していきたいと思います。
目次はこちら☟
対戦チーム
Allianz Milano (ミラノ)
前回に引き続き、ミラノの試合を分析していこうと思います。
ペルージャ戦では直近の2試合はフルセットで勝利、フルセットで敗北と決してチームのレベルにしては得意なほうではないかなと思います。
今回も石川選手の対角のカジースキ選手が復帰したので、活躍を期待したいです。
Sir Safety Susa Vim Perugia(ペルージャ)
イタリアリーグの王者として、10年以上トップチームを保持し続けていますが、このセリエAの優勝からは6年間遠ざかっています。
ペルージャの特徴としては、圧倒的な攻撃力とブロック力、ディフェンス力、つまり全部ですね。
注目選手はたくさんいますが、どうせまた紹介する機会はあるので、今回はOH陣。
まずポーランド代表で「地上最強スパイカー」という異名を持つ9番のウィルフレド・レオン選手です。
圧倒的な攻撃力を持ち、サーブ最高速度・連続サービスエース数・1試合当たりの最大サービスエース数の世界記録を持っている、まさに怪物です。
昨年はケガに苦しみましたが、今年はパフォーマンスも戻りプレーオフに向けて調子を上げているようです。
そして、昨シーズンレオン不在を支えた17番のオレフ・プロトニツキー選手。今までは器用貧乏なイメージがありましたが、ブロックアウトやサーブ力などペルージャには欠かせない存在になっていると思います。
試合の分析
スタートメンバー
ミラノ
セッター(S):16番ポッロ
オポジット(OP):7番レゲルス
アウトサイドヒッター(OH):14番石川、1番カジースキ
ミドルブロッカー(MB):8番ロセル、6番ヴィテッリ
リベロ(L):5番カターニア
ペルージャ
セッター(S):6番ジャネッリ
オポジット(OP):10番ベンタラ
アウトサイドヒッター(OH):17番プロトニツキー、9番ペルージャ
ミドルブロッカー(MB):15番フラヴィオ、11番ソレ
リベロ(L):13番コラチ
スコアと項目別得点
試合結果は、
ミラノ - ペルージャ 3-2
となり、ミラノが勝利しました。
スコアの詳細を見ると、合計得点はペルージャが勝ち越していました。
第3セットで大きく点差をつけて取られたので、その影響が大きいようです。
サーブとアタックはペルージャが勝っていて、ブロックと相手のエラーによる得点はミラノの方が多かったようです。
個人別データで見ていきましょう。
注目なのは、ペルージャの9番・レオン選手です。
サーブでなんと6得点、スパイクも18得点、ブロックでも2得点もしており、計26得点で両チームで断トツ最多得点でした。
まさに怪物ですね。
各チーム2個目のテーブル(Name列が"All"と書いてある)はチーム全体の各項目の数値となっています。
チーム全体では、ペルージャがブロック以外の項目で上回っているようです。
こんな状態で勝利しているチームはあまり見たことがないですが、特に「サーブ」と「アタック」で差が出ていることが分かります。
ペルージャは別名「Block Devils」と呼ばれていて、非常に強力なブロック力を誇っています。
そのペルージャ相手にブロック力で勝ったのはとても素晴らしい結果だと思います。
それぞれの項目についてコート図を用いて見ていきましょう。
サーブ
各チームのサーブコースとその結果をコート上に図示しました。
左側がペルージャ、右側がミラノのサーブコースです。
ペルージャのサーブ得点(赤)が目立ちますが、ほとんどがレオン選手のものなので、もはや通常営業となっております。
1つ気になったのが、ミラノのサーブコースが相手コート中央と右側に偏っていることです。
コート中央はリベロの選手がいることが多く、サーブの多くが守備力の高いリベロに打ってしまっていました。
右側が多いのは、レオン選手を多く狙ったものですが、試合後半はレオン選手にジャンプサーブではなくフローターサーブを打っていたのが目立ちました。
確実にレオン選手を崩すためにサーブを切り替えたのだと思いますが、うまく捕られてしまっていました。
強サーブを狙って打つのはリスクが高いとは思いますが、もう少しリスクをとって強サーブをレオン選手に打っても良かったかなと思います。
アタック - 試合全体での比較
続いて、アタックについて分析していきたいと思います。
まずは、各チームの攻撃の割合を見ていきましょう。
トスの割合と決定率、そして具体的なトスの位置をコートに図示しました。
上の図は左側がペルージャのトス配分、右側がミラノのトス配分です。
ペルージャは、レフト:43.6%、センター:26.4%、ライト:25.5%
ミラノは、レフト:40.9%、センター:23.6%、ライト:28.2%
各決定率はペルージャがレフト:52.1%、センター:62.1%、ライト:57.1%
ミラノがレフト:44.4%、センター:61.5%、ライト:41.9%
前回のヴェローナ戦では、相手チームのセンターのトス配分は14.5%に留まっていました。
今回はミラノは前回同様20%以上でしたが、ペルージャも26.4%という高い数値でした。
ペルージャにも高レベルな攻撃力とトスワークがあることがよくわかる結果だと思います。
アタック - ペルージャのセットごとの比較
さらに1~4セット目で、トス配分が両チームどのように変わったかを示しました。
上の図は1~4セット目のペルージャのトス配分です。
1・2セット目はセンターの使用率が低くなっています。
しかし、3・4セット目は26.9%、34.8%と明らかにセンターの使用率が高いです。
レセプション返球率は、どのセットでもそれほど変わらないので、試合後半は明らかにクイック攻撃中心の組み立てになっていたと考えられます。
ミラノとしては、レオン選手を1番に警戒していて、1・2セット目はブロックしたりうまく抑えられていたと思います。
しかし、ミラノは3・4セット目の15番・フラビオ選手のクイック攻撃を抑えることができませんでした。
また、ライト攻撃は1・2セット目はよく決まっていましたが、4セット目は決定率は25.0%と低くなっていました。
アタック - ミラノのセットごとの比較
ミラノの1セット目はセンターのバックアタックやクイック攻撃が多かったですが、2・3セット目はレフトの割合が多い傾向がありました。
3セット目は石川選手のレフトのコンビ攻撃がブロックに捕まったり、レゲルス選手と交代で入ったディルリッチ選手のライト攻撃がブロックorアウトすることが多かったです。
やはり、「Block Devils」なだけあってサイド攻撃にしっかりマークをつかれていました。
すると、4セット目はコンビ攻撃が使える時はクイック・ライトを使うことが多くなりました。
オポジットのレゲルス選手は、ライト攻撃でほぼミスがなく素晴らしかったと思います。
そしてなにより、レフトのオープン攻撃(高いトスなので、ブロックのマークがつきやすい)で高い決定率を誇っていました。
石川選手の3枚ブロックをぶち抜く能力はイカれていますね。
試合を通じて
サーブはコート右側に対してあまり強サーブが打てていなかったことが気になりました。
レオン選手がジャンプサーブのレセプションがいい選手なのかもしれませんが、今回はフローターサーブをほとんど処理されていたと思います。
もう少しリスクをとっても良かったと感じます。
ディフェンス面では、ミラノは試合を通じて、レフト攻撃の特大火力をよく抑えられていました。
試合後半に増えたクイック攻撃は高確率で決められていましたが、仕方がないところかなと思います。
幸いにも、オポジットの選手がパフォーマンスが下がってきたことにより、レフト攻撃の攻略に集中できていたと考えています。
アタック面では途中でコンビトスが機能しなくなってしまいましたが、ライトのレゲルス選手がうまく持ちこたえてくれたと思います。
レフトからも石川選手のオープントスの処理の上手さの目立つ結果でした。
最後に
今回は、ミラノからの視点で分析を行ってみました。
フルセットの試合というのは非常に内容が多く、まだまだ書きたいことがありましたが、うまくまとめられなかったです。すみません
また、試合では勝っていても項目データでほとんど下回っている試合というのは結構珍しいと思うので、今回の勝因についてもう少し深堀する余地もあったかなと思います。
長くなりましたが、いかがだったでしょうか。
今後の投稿もぜひチェックしていただけたら嬉しいです!
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