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【佐賀】大雨から半年 ボランティア 被災地支える

 2021年8月、佐賀県を襲った記録的な大雨から半年が過ぎた。白石平野を蛇行しながら貫流する六角川が氾濫し、流域の武雄市や杵島郡大町町などで浸水被害が発生した。現在、被災地には県内外からボランティアが集まり、住宅の修繕や被災者間のコミュニティの構築に尽力している。

被災した住宅で床の張り替え作業に取り組むボランティアたち=杵島郡大町町で2021年11月20日、山口泰輝撮影

■過去にも洪水被害 3年間で2度の被災

佐賀県によれば、同災害により佐賀、嬉野の両市で計4人が軽傷を負った。また、県内における建物被害は全壊や半壊、床上・床下浸水など3423戸に上った。農林水産関係の被害総額の確定値は207億3400万円となった。

 特に大きな被害を受けた武雄市や杵島郡大町町は、砂や泥が積もった「氾濫平野」という地形で、過去にも繰り返し洪水による被害を受けてきた。土地の高低差が少ないため、六角川が蛇行しており、水が抜けにくい性質を持つ同地域では、2019年8月にも大雨による被害を受けており、3年間で2度の被災となった。

■ボランティア 「被災地に貢献したい」

 発災から約3ヶ月後、杵島郡大町町の浸水被害を受けた住宅には床の張り替え作業に取り組む人々の姿があった。彼らは「被災地に貢献したい」と集まったボランティアたちである。県内だけでなく、滋賀県や奈良県など遠方から現地に入る者もいる。

 彼らは被災した住宅の壁はがしや防寒対策、倒木の処理や石垣の補修などを実施するとともに、子どもたちの遊ぶ場所づくりや被災者間のコミュニティの構築にも力を入れている。また、現地の社会福祉協議会や支援団体と連携した取り組みも行う。

開設され続けている杵島郡大町町の災害ボランティアセンター=11月20日

■被災者「本当にありがたい」

 被災住宅でボランティアたちが汗を流す中、その様子を見守る高齢女性の姿があった。その女性は、この住宅の住民。体が不自由で思うように片付けが進んでいなかったため、ボランティアに助けを求めたという。「どこから来ているの? 遠くから来ているんだね。本当にありがたい」。彼らとの会話の中で、感謝の気持ちを伝えていた。

 被災地では若者たちによる支援活動も行われている。西九州大健康福祉学部社会福祉学科の学生を中心に結成された団体「被災地支援チーム OKABASE(オカベース)」は、戸別訪問や足湯、ハンドケアの実施など現地の支援団体と連携した取り組みを継続的に展開している。

 「若者、バカ者、よそ者」は、被災地支援において重要な役割を果たすと兵庫県立大教授の森永速男氏は言う。今後も若者たちの支援活動が期待される。【山口泰輝】

※この記事は、「GENSAI PRESS 3号」に掲載されています。以下の紙面は、ダウンロードできます。

GENSAI PRESS 3号

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