玄(げん)

自動車部品メーカーの技術開発に従事。海外赴任や外資系企業を経て、現在は業務とキャリアの…

玄(げん)

自動車部品メーカーの技術開発に従事。海外赴任や外資系企業を経て、現在は業務とキャリアの独立系コンサルタント。 働くことを通していろんなことを学びました。ゆっくり綴っていこうと思います。 ブログ『耕不尽~はたらくということ~』にも掲載中 https://koufujin.com/

最近の記事

耕不尽~はたらくということ~:新入社員

当然のことながら今年も新入社員を迎える季節になりました。会社勤めから離れて3年も経つとそんなことが続けられていることも忘れがちになります。しかし今年はコンサルティング先の企業で中途採用を支援する機会があり、ある採用者の入社がちょうど新卒の方々と同じとなったことで久しぶりに実感しました。 必要な人物像を描き、方法を工夫しながら募集を得て、書類選考、面談と携わりました。人材採用の仕事に対し、改めて人生の大切な節目に立ち会うというやりがいや責任の重さを感じました。規模が小さい中小

    • 耕不尽~はたらくということ~:若者贔屓か?

      以前『医療スタッフ』という投稿で医療現場の最前線で働くスタッフが若くなり、それぞれにプロフェッショナルで信頼できると感じた話を書きました。最近、リフォームや車などの耐久消費財の購入にあたって店舗を回りながら同じような印象を受けました。若いと感じるお店は元気があり、対応が積極的です。物理的なお店の明るさもあり清々しい気持ちになります。またやり取りが明確でスピーディなようにも感じます。特に近年成長してきた企業においてその傾向が強いように思います。私が長く係わっている製造業とは隔世

      • 耕不尽~はたらくということ~:それでもなお

        チャレンジングな仕事であればあるほど順調に進むことはなく、失敗や障壁に当たり前のように遭遇します。そんな時、唱えてきたのが『それでもなお』でした。続く言葉は「挑戦しよう」「やり続けよう」「諦めない」などなど。アメリカに赴任していた頃『それでもなお』に相当する英語表現が見つけられずモヤモヤしていました。 というのも、私にとって『それでもなお』は字面以上に感じているものがあったからだと思います。この言葉を使う時、取り組んでいることに確固たる信念を持っていたり、大袈裟な表現だと使

        • 耕不尽~はたらくということ~:世代交代

          政界、経済界、スポーツ界など様々な世界で世代交代が聞かれます。昨今はそのスピードが速まり、現世代に十分な力があるうちに次世代へと繋がれるケースが多いように思います。しかしその背景は様々で、現世代自らが進んで譲るケース、次世代がより強い力を持ったケース、外部から交代を要求されるケースなどあり、中にはクーデターのような物騒なケースもあるようです。 私が仕事で交流のある中小企業でもよく話題になります。中小企業における事業承継は親子や親族間で引き継がれるケースが多いためです。また中

        耕不尽~はたらくということ~:新入社員

          耕不尽~はたらくということ~:とはいえ

          中小企業向けのビジネスコンサルティングをしています。ビジネス上の課題は多岐にわたり、また企業ごとに事情や環境、時には人間関係、歴史や企業文化が複雑に絡み合っています。また大企業と比べて経営上の体力が乏しいこともあり課題解決のプロセスでの失敗はダメージが大きいように感じます。 ビジネスコンサルティングの他にキャリアコンサルティングを中心とした対人支援もしています。こちらはさらに相談者の背景が複雑で隠れているものもあれば、見つけきれないものもあります。そしてプロセスでのダメージ

          耕不尽~はたらくということ~:とはいえ

          耕不尽~はたらくということ~:病気と仕事と感謝

          以前勤めていた会社の方をお見舞いしました。おひとりは先輩にあたり、定年を機に取引先だった会社に招かれ、70歳を過ぎた現在も役員を務めながら現場で指導されています。ある症状で検査を受けたところ偶然にも膵臓がんが見つかりました。幸いステージ1でしたが手術に向けての準備を進めるうちに肝臓への転移が見つかっため手術は中止して抗がん剤治療を始められました。私なら絶望しそうな急展開の出来事にもかかわらず仕事への情熱は消えず、抗がん剤治療の金曜日を除いて変わらず働いておられます。 もうひ

          耕不尽~はたらくということ~:病気と仕事と感謝

          耕不尽~はたらくということ~:テレワーク3

          先回の記事でテレワークに否定的な意見について書きました。今回はその中で「若い人たちが仕事を覚えにくくなった」「技術や知識の伝承が難しい」について書きたいと思います。これらについては従来からの課題であり、テレワーク普及によってより明らかになってしまったのではないでしょうか。 まずITの進化によりビジネスのスピードが速くなり、扱う情報量も格段に増えました。また人の流動性も上がったため多様なキャリア、言語、地域で指導、育成しなければなりません。教える側の人の確保も考えると、師匠か

          耕不尽~はたらくということ~:テレワーク3

          耕不尽~はたらくということ~:テレワーク2

          新型コロナ感染症が「5類」に移行した5月以降、テレワーク率は低下し25%を切るレベルまでになったとのニュースを見ました。「オフィス回帰」という言葉も目立ち、「オフィス勤務こそが本来の働く姿だ!」と脅迫めいた押しつけもあるようです。 私の周りではテレワークという働き方を肯定する声がやや多いように感じます。否定的な主な声は「働かない人がさらに働かないようになった」「若い人たちが仕事を覚えにくくなった」「技術や知識の伝承が難しい」などがあります。いずれにせよ課題が話し合われるのは

          耕不尽~はたらくということ~:テレワーク2

          耕不尽~はたらくということ~:働く2

          初めての投稿となった『働く』の続編となります。『働く』では辞書に出てくる意味を紹介しました。そして2度目の投稿の『仕事』では「仕事とは?」の回答として私が気に入っている『仕事とは穴を埋めるようなものだ』を紹介しました。今回は最近『働くことの本質』について感銘を受けた話を紹介したいと思います。 キャリアコンサルティングのある研修において指導的キャリアコンサルタントの方からある介護施設の面談者(Aさん)のお話を伺いました。Aさんはその介護施設の元社員で、現在は嘱託という立場で同

          耕不尽~はたらくということ~:働く2

          耕不尽~はたらくということ~:どうする

          NHK大河ドラマ『どうする家康』が面白くなってきました。私の住む三河地方では岡崎城横に大河ドラマ館ができたり、ドラマゆかりの有名人がやってきたり、各種イベントで賑わっています。その中でもタイトルの『どうする』がいろんなところで使われていて、ご当地グルメや観光キャンペーン、果ては献血会場でも『どうする』でした。 ドラマの中では松本潤さん演じる徳川家康が窮地の場面で家臣から「殿、いかがなされます」「殿!」「殿ッ!!」と詰められるシーンが多く、権限ある人に判断が求められています。

          耕不尽~はたらくということ~:どうする

          耕不尽~はたらくということ~:製造業とキャリアコンサルティング2

          先回の投稿に続いて、どうすれば製造業でキャリアコンサルティングが普及するか考えてみました。浮かんできたキーワードは『生産性向上』です。製造業ではマニュアルや作業手順などをしっかり整え、またそれに自動化や継続的な改善を加えていきます。最近ではDXの導入も盛んなようです。大きな目的のひとつは『生産性向上』です。製造業において『生産性向上』は避けて通れず、意思決定の基準となることもしばしばあります。また確実性や具体的な効果を強く求める傾向にあり、キャリアコンサルティングの効果は製造

          耕不尽~はたらくということ~:製造業とキャリアコンサルティング2

          耕不尽~はたらくということ~:製造業とキャリアコンサルティング

          私が30年間携わった製造業はキャリアコンサルティングが普及していない産業とされています。厚生労働省による令和3年度「能力開発基本調査」の「キャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所(産業別)」の調査でも正社員に対しては29.6%、正社員以外に対しては20.8%といずれも全産業で最低と示されています。 製造業では多くの従業員がマニュアルや作業手順に従って「決められたことを、決められてた時間で、決められたように行う」ことが求められるため、キャリアについて考える必要がないの

          耕不尽~はたらくということ~:製造業とキャリアコンサルティング

          耕不尽~はたらくということ~:起業二年目

          2021年9月に起業し、2年目を過ごしています。1年目は思い通りにいかないことが多く、私自身の怪我や病気も重なって本当に大変でした。そんな中でも人と機会に恵まれ、ビジネスコンサルティングと社員研修のお仕事をいただくことができました。 2年目に入ってから、1年目に支援したお客様から新規顧客を紹介されたり、今年度の再発注やさらに発展した内容の発注をいただいたりすることがでてきました。昨年の活動に大変満足していただいたようで、このような形で評価されたことは大変嬉しく思います。1年

          耕不尽~はたらくということ~:起業二年目

          耕不尽~はたらくということ~:研修講師

          昨年後半から社員研修の講師の仕事を始めました。機械系技術者への教育でテキストを使って解説をしたり、4~6名のグループに分かれて議論やワークをします。またリモートでの講義となる場合もありますが、この場合は100人程度を相手に話しっぱなしということもあります。サラリーマン時代には大勢(時には数百人)の前でスピーチやプレゼンテーションを行ったり、社内教育を行ったりすることはありましたが、研修講師はまた違った雰囲気があります。 研修講師は知識や技術を教えるサービスを提供しますが、社

          耕不尽~はたらくということ~:研修講師

          耕不尽~はたらくということ~:『子ども』という役割

          先回『介護と仕事』というタイトルで投稿しました。これが呼び水となったのか父が倒れ、短期間ですが介抱することになりました。倒れた後すぐに駆け付けてくれた妹から様態と救急を要請する旨の連絡を受け、急いで自宅に戻り準備をして3時間ほどかかる実家に向かいました。長く患っている泌尿器系の不調が原因のようでした。私が着いた時には病院での処置を終え妹夫婦の介抱により帰宅していました。身体的なダメージもあることから今後についてケアマネージャーさんに支援いただきレスパイト入院の手配までされてい

          耕不尽~はたらくということ~:『子ども』という役割

          耕不尽~はたらくということ~:介護と仕事

          先日、前々職で一緒だった先輩の会社を訪ねました。この先輩とは年に数回ゴルフをするなど退職後も関係が続いています。独身ですが2世帯住宅を建てられご両親と暮らしています。お酒とタバコが大好きで曲がったことが大嫌いという感じで、私が新入社員の頃はいかつく怖い存在でした。後輩に対して厳しかったですが、それ以上に自分に厳しい方でした。 訪問の調整をメールでやり取りするうちに今年15日の有給休暇を取得したと知りました。年齢を重ねても気力もスタミナもありバリバリ働く象徴のような先輩でした

          耕不尽~はたらくということ~:介護と仕事