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耕不尽~はたらくということ~:製造業とキャリアコンサルティング2

先回の投稿に続いて、どうすれば製造業でキャリアコンサルティングが普及するか考えてみました。浮かんできたキーワードは『生産性向上』です。製造業ではマニュアルや作業手順などをしっかり整え、またそれに自動化や継続的な改善を加えていきます。最近ではDXの導入も盛んなようです。大きな目的のひとつは『生産性向上』です。製造業において『生産性向上』は避けて通れず、意思決定の基準となることもしばしばあります。また確実性や具体的な効果を強く求める傾向にあり、キャリアコンサルティングの効果は製造業にとってまだ不十分とされているように感じます。

一方、私が抱くキャリアコンサルティング提供側のイメージは『生産性向上』から遠いところにいます。私自身の偏見であり、キャリアコンサルタントとして未熟なことは承知していますが、このイメージはなかなか払拭されません。キャリアコンサルティングの対象を厳しい労働環境とされる業界や就労の機会に窮する女性、ミドルシニア、学生などとし、そのような方々に寄り添って励ますツールとして用いられるケースが多いように感じます。『生産性向上』は持ち出すと相談者にビジネスライクと取られてしまう恐れがあり敬遠されているのかも知れません。実際、キャリアコンサルティングの研修や勉強会でも『生産性向上』の議論はあまり盛り上がりません。

厚生労働省のウェブサイトには『「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。』とあります。これを読むと結果として『生産性向上』が期待でき、普及していかないのが不思議に感じます。製造業はもっと『生産性向上』に期待してみてもいいし、キャリアコンサルティング提供側も勇気をもって『生産性向上』を人や企業に訴えても良いのではないかと思います。

幸い私は製造業を営む中小企業向けにビジネスコンサルティングをしています。この機会を生かして普及への課題や導入方法を探求し、小さな単位からキャリアコンサルティングの効果を積み上げていきたいと考えています。またもし製造業への普及が加速するようなムーブメントが起きれば、喜んでお手伝いしたいと思います。働く人の能力向上や活性化は日本の製造業に残された最後の期待できるリソースではないかと考えています。

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