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耕不尽~はたらくということ~:テレワーク3

先回の記事でテレワークに否定的な意見について書きました。今回はその中で「若い人たちが仕事を覚えにくくなった」「技術や知識の伝承が難しい」について書きたいと思います。これらについては従来からの課題であり、テレワーク普及によってより明らかになってしまったのではないでしょうか。

まずITの進化によりビジネスのスピードが速くなり、扱う情報量も格段に増えました。また人の流動性も上がったため多様なキャリア、言語、地域で指導、育成しなければなりません。教える側の人の確保も考えると、師匠から弟子へといった手法や価値観ではとても追いつかなくなりました。

ひとつの解決法はスキルやノウハウを言語化や数値化してデータにすることだと思います。私が近しい製造業では伝承すべきものの多くは勘やコツ、古くからの習慣から生まれていて、言語化には案外手こずります。しかし言語や数値で表現しないとスピードを得られないばかりか、伝わらないという実感があります。私の教え方が悪い可能性は十分ありますが、教わる側の習得プロセスがそれを求めているように感じます。

「ひとつの」と書きながら矛盾するようですが、伝承すべきもの自体を見直す必要があるようにも思います。ノウハウとして一子相伝のように守ってきたものもインターネット上で似たようなものが見つかったり、それより優秀な情報にたどり着いたりすることがよくあります。秘伝のタレのレシピがクックパッドで見つかるようなものです。もちろん情報の真偽は自己責任が求められますが、使わない手はありません。やりたいことさえはっきりしていればゼロから始めてもあるレベルには到達できるのではないでしょうか。自分なりに必要な情報の検索方法や真偽の検証方法を工夫することが肝要です。

私は研修の講師を請け負うことがありますが、初めに普段活用しているSNSや検索サイトを受講者に聞くようにしています。そして気になることがあれば研修中でも検索、確認してよいと伝えます。研修内容の定着は確実に強くなるからです。また私自身も受講者の傾向を知れ、研修内容の改善の機会にもなり有益です。

テレワークはさておき、これを機に仕事の仕方、覚え方、伝え方を見直すことが求められているように思います。いずれ研修や学習というものは各科目ではなく『勉強学』とか『情報収集・活用学』といったものに収束し、そこに企業の価値観や哲学がアレンジされるようになるかもしれません。

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