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伝わらないことを伝えようとする試み

目の見えない人が、初めて自分の目で何かを見たとき。
耳の聞こえない人が、初めて自分の耳で音を聴いたとき。
空を見たことのない人が、初めて空を見たとき。
雪の存在を知らない人が、初めて雪を見たとき。

そのときの気持ちは本人にしかわからないし、
その気持ちを他人にうまく表現することなんてできないだろう。
どんなふうに言葉にすればいいのか、わからないだろう。

おれは生まれたときから目が視えるし、
生まれたときから耳が聴こえる。
空も雪も、物心がつくころにすでに知っていた。

だから「初めて」の経験を、
「初めて」の感動を、
言葉で言い表すことができない。


今日みた夢の話なんだけど。
おれは女友達と、あともう一組の知らない男女と、乱交することになったのね。男2女2の計4人で。乱交することになったの。
でね、乱交しているときにね、すごく不思議な経験をしたんだ。

セックスしているときに、おれの精神が別の人にザザッ、ザザッて移っていくの。おれは自分以外の人になるのね。セックスの最中に。
女友達になり、知らない男になり、知らない女になる。

時空がねじれる。

時間がとまったり、速く動いたり、ゆっくりになったりする。
おれの精神が、4体の人間の肉体のあいだを、めまぐるしくまわるのね。

ディズニーランドのコーヒーカップはぐるんぐるん回せるじゃん?
そんな感じで、おれの精神が、ぐるんぐるん、4人の人間の肉体を駆け巡る。

気持ちいいとか気持ち悪いとか、
そういうんじゃなくて、
おれは夢の中で

なんじゃこりゃあ~~~!!!


って思ってたの。

おもしれぇ~~~!!!


って。

それがね(いまおれ50歳なんだけどね)、
50年生きてきて、経験したことのないはじめての気持ちだったの。

はじめて目が視えた。
はじめて耳が聴こえた。
はじめて空をみた。
はじめて雪をみた。

それくらいの、とんでもない経験だったんだよ。

目が覚めて、
おもしれー!おもしれー!!ってずっと思ってて、
でも少しずつどんどん忘れていってて、

なんかもったいないから、記事にしちゃった。

伝わったかな?
伝わってないよね……

それを経験したおれだって「よくわからない」って思ってるのに、
それを経験したことのない人は余計にわからないよね。

おれ思うんだけどね、
こういう未知の経験、未知との遭遇って、本当に面白いと思うんだよ。

スーパーマンみたいに自由自在に空を飛ぶ感覚。
超能力で落としたい場所に雷を落とす感覚。
地球に押し寄せてきたUFO群を見る感覚。
孫悟空のように瞬間移動する感覚。

はじめての感覚。
すごく素敵だ。

知らないものや、想像もできないことに、実際に出会ってしまう。
それを経験してしまう。

なんて素敵なんだろうね!

おれは今日、夢の中だけど、
そんな経験をしました。

ああ、でもあの感覚は、
どんどん遠くなっていく。

明日にはもう忘れてるかもしれない。
この記事を読み返しても、もう思い出せないかもしれない。

それでも、そんなふうに、
自分が知らないことや知らない感覚、
知らない気持ちがまだまだ存在しているんだと思うと、
不思議で面白くて、わくわくしてくる!!

おれは死ぬのもちょっと楽しみにしてるんだ。

死ぬのは初めてじゃん。
はじめて死ぬじゃん。

おれは死ぬとき、痛いとか苦しいとか、
そういうことはないと思うんだよ。

むしろ気持ちいいと思ってるんだ。

だってさ~!
みんな「死ぬときは苦しい」とか、
「楽には死ねない」とか、
そんなふうにゆってんじゃん。

おれ、そういうのに、
めちゃくちゃ反抗したいんだよ。

みんなが正しいって言ってることは否定したくなる。
みんなが否定していることは、肯定したくなる。

そういう人なんだ。
ひねくれてるの。

だからね、おれは死ぬの楽しみなんだ。

死んで新しい世界に行くのが楽しみ。
死んで故郷に帰るのが楽しみ。
死んで友達に会うのが楽しみ。

でもその前に、この世界を存分に楽しもうと思う。

寂しいのも悲しいのも孤独なのも、
もしかしたらここでしか経験できないことかもしれないから。

おれは今は人間だから。

人間として生きて、
人間として死ぬよ。

どうせなら、楽しく生きて、楽しく死ぬ。
そんなふうに生きることって、十分に可能だと思うんだ。

絶対にできるって思ってる。


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