京都芸術大学 芸術教養学科研究室

「手のひら芸大に 入ってみた!!」 主人公は北白川ユイちゃん、19歳。彼女がオンライン…

京都芸術大学 芸術教養学科研究室

「手のひら芸大に 入ってみた!!」 主人公は北白川ユイちゃん、19歳。彼女がオンラインの芸術教養学科で様々な年齢の同級生と出会いながら、大学生活を謳歌していくストーリー、春夏秋冬の季節ごとに、短期集中連載の形でお届けします。

最近の記事

「10周年記念フライングカフェ」に参加してみた。

めずらしく、平日お昼間開催のフライングカフェ。ちょうど予定もなかったし、参加してみることにした。 (前参加した時は爆睡しちゃって、一乗寺くんにバレたしな…。今回は寝ない!たぶん!) 今回のテーマは「10周年記念フライングカフェ」。ちょうど今年が10周年らしい。10年前というと…え、待って10歳!?小4じゃん。そんな前からあるんだ。今日は先生がたくさんいる。お馴染みの先生もいるし、見たことない先生もいる。なんか、たぶん、今日は特別なんだと思う。 いろんな先生がかわるがわるお

    • 冬。 寒波襲来(四)

      ここ数日のことを思い出してみた。 レポートで「剽窃」というコメント付きのD評価をもらって、すごくショックを受けた。それで外苑さんに相談にのってもらったのだった。いろんな話をしたけど、「思い」と「考え」の違いについて考えるきっかけになった。 それから大学の図書館にいった。いろんな本があったり、いろんな人がいて新鮮だった。映画などのDVDが無料で見られることも知った。せっかく近いんだから、週に何回か通ってみようかな。生活リズムにもなりそう。 ガイダンスでハヤカワ先生が言ってい

      • 冬。 寒波襲来(三)

         髪はくしゃっとしていて、顔全体が毛玉っぽい感じ(ひげが生えてるわけではない)。苔っぽい色合いのざっくりした上着を着ていて、なんだか昔の人みたいだ。90年代?古生代? 歳は私とそんなに違わないような気もする。通学部の人? でも通学部の人が私を知ってるはずないし…。 「いえ、あの、えーと」  誰ですか?とか何で私の名前を知ってるんだ、とか言おうとしたんだと思うけど、言葉っていざという時には出てこないものだ。 「あ、僕一乗寺っていいます。芸術教養学科の。」  名乗ってくれ

        • 冬。 寒波襲来(二)

           外苑さんとメッセージでやりとりした翌日、私は大学まで行ってみることにした。外苑さんの「高校までは正解があったけど、大学では…」というフレーズが、横になってからも頭の中を行ったり来たりしていた。メッセージのやりとりだったのに、なぜか声で木霊していたのが不思議といえば不思議…。大学って何なんだ! 大学っぽさを体で感じないと、なんだか腑に落ちない気がしたのだった。手のひら芸大には、地球の裏側で勉強している人もいるけれど、私は隣県に住んでいるので、行こうと思えば行けるのだ。と、ぼん

        「10周年記念フライングカフェ」に参加してみた。

          外苑マキさんにインタビュー!

          最近の号では常連になっている外苑マキさん、ユイちゃんとはまた違った大人の女性です。何を思って芸術教養学科に入学したのか、どんな大学生活を送ったのか、お話を聞きました!(一部ネタバレあり) - - - - - - - - - - - - ●今日はよろしくお願いします。 「よろしくお願いいたします。」 ●お住まいはどちらでしたっけ? 「今は武蔵野市です。在学中に」 ●志望動機を教えてください。 「若い頃芸術家に憧れてたんですけど、そっちの方には行かなかったんです。親

          外苑マキさんにインタビュー!

          冬。 寒波襲来(一)

          みなさん、こんにちは! ずいぶん久しぶりのアクセスになってしまいました。 お元気ですか? 私はまあまあかな。まあまあなのかな。 ていうか、ちょっとうーってなってます。 なんでかっていうと、D評価もらってしまったからです。 寒波襲来です! とairUコミュニティの日記に書いてみた。「確定」(投稿)ボタンはまだ押していないのだけれど…。  D評価をもらったというのは本当。  以前「芸術教養入門」という科目で、よくわからないまま書きまくって、A評価をもらったことがあった

          夏。 まずは一科目(四)

          (四) 次の日の朝。 昨晩はごはんを食べたあともairUコミュニティで先生や先輩がたの日記を読んで寝落ちしてしまった。 晩ごはんのとき、お父さんから「大学の勉強はどうだ?」と聞かれたので「ぼちぼちだね」とだけ答えておいた。 「今日はどうしようかなぁ」 布団の中で、とりあえずairUコミュニティにログインしてみた。 そうするとINFORMATIONの欄に友達申請の表示がある。開いてみると外苑マキさんからメッセージが届いていた。 「いいね、ありがとうございます。私も新入生です

          夏。 まずは一科目(四)

          夏。 まずは一科目(三)

          (三) airU学習ガイドでパッと目に入ったのが「まずは1科目」という文字。 5.学習のアドバイスにある項目だった。 あれもこれもと考えるより、まずは1科目ずつだよね。ユイは思い直した。 大学の学びは高校までと違って、自分で履修計画を立てて、自分で学修を進めないと、ゴールにたどり着けない。それでも、不安さは拭いきれない そこで思い出したのが学科長のハヤカワ先生が話しをしていた「学ぶ仲間をつくる」だった。 「そうだ、airUコミュニティをみてみよう」 さっそくairUコミ

          夏。 まずは一科目(三)

          夏。 まずは一科目(二)

          (二) 「うーんっ」と、ユイはノートを前にして背伸びをした。 気づけば、2時間経っていた。 「大学の学びってむずかしいなぁ。この科目はいいけど、そのあとどこから手を付ければいいんだろう。。」 受験のときに、勉強するくせはついている。でも、合格がゴールの勉強じゃない。 「頭がスポンジになる」とぶつぶついいながら部屋から出て、冷蔵庫にあった飲み物をとりにいく。ちょうどお母さんは買い物に出かけたようで居なかった。 コップを持ったまま部屋に戻る。 「また芸術教養入門をみようかなぁ

          夏。 まずは一科目(二)

          夏。 まずは一科目 (一)

          (一) 次の日の朝、さっそくairUにログインしてみた。 自分の名前の下には「現在:0単位」と表示されている。よしっ、昨日教えてもらった「やることリスト」のとおり、芸術教養入門からはじめよう。 カリキュラム一覧に入って科目をみる。昨日、ノムラ先生から聞いていた話をなんとなく思いだした。うわぁ、たくさん…。 昨日のガイダンスのときにももらってみて一覧が、ひとりでみるとさらに多く感じた。 ガイダンスに出席してなかったら、途方に暮れていただろうなぁと思いつつ、学科専門、学部共

          夏。 まずは一科目 (一)

          春。右も左も (四)

          (四) 教室を出て、階段を降りて歩道に戻る頃には、陽はすっかり傾いていた。バスから乗り継いだ電車ではなんとか座れたので、「はじめにやることリスト」のプリントを引っ張り出してみた。「はじめにやることリスト」は六項目だ。 ①airUコミュニティにログインしてみる ②airUコミュニティの「芸術教養学科の中庭」に参加する ③学習ガイドの履修計画の立て方を見て、自分の履修計画を立てる ④今日のガイダンスで一緒になった学友にフレンド申請をする ⑤ガイダンスをしていた教員にフレンド申

          春。右も左も (三)

          (三) 「あっ、はじめまして。よろしくお願いします」 「よろしくお願いします。じゃ、年長の私からにしましょうか。」 マダムの方から話し始めてくれて、少しほっとした。柔らかいけどさっぱりした声で気持ちいい。 「ソトゾノマキと言います。ソトゾノは神宮外苑の外苑です。東京都の武蔵野市から来ました。子どもも独立したので、ずっとしたかったアートの勉強をしようと思って入学しました。三年次編入学です。よろしくお願いします。」 「え、東京から来はったんですか?」とつい言ってしまった。

          春。右も左も (二)

          (二)  私の家は滋賀県の某所。光る湖面を見たりスマホを見たりしながら電車とバスを乗り継いで、やって来ました、京都芸術大学。  午前中には通学部の入学式があったようで、私くらいの年齢の子たちもまだ門前の歩道に何人もいた。入学式は講堂であるらしい。キャンパスは山と一体化した感じで、講堂まではずっと階段を登るようだった。通学部の子は足腰鍛えられそうだ。  通りから煉瓦張りの大階段に向き直って見上げると、階段の上にはギリシャの神殿のような感じでコンクリートの柱が並んでいて、そ

          北白川ユイさんにインタビュー!

          今日は、この小説の主人公・北白川ユイさんにインタビューしてみました。 ユイさんのことを是非知ってくださいね! ●こんにちは、よろしくお願いします。 「あ、はいよろしくお願いします。」 ●主人公,よろしくお願いしますね。 「えー緊張します。」 ●ええと、後で登場する一乗寺くんは一乗寺に住んでるらしいですけど、北白川さんはやっぱり北白川なんですか? 「違います。滋賀県です。でも大学には比較的来やすいので、図書館とか時々使います。」 ●まず志望動機からお願いします。北白川さ

          北白川ユイさんにインタビュー!

          春。右も左も (一)

          (一)  いつもより早く目が覚めた。  まだ薄暗いはずなのに、カーテンを開けると乱暴な感じで光が部屋に入ってきた。マンションの中庭の桜が満開になっていたのだった。昨日はまだ五分咲きくらいだったのに。早い。きれいなんだけど、なんだか落ち着かない。  早く目が覚めたのは,今日が一応特別な日だから。京都芸術大学の入学式なのだ。入学式は午後からなので、時間的には余裕なのだけれど、どうもそわそわしてしまう。  もう一度窓の外を見る。桜ってこんなだっけ? とも思う。桜が咲くたびにそう