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夏。 まずは一科目 (一)

(一)

次の日の朝、さっそくairUにログインしてみた。
自分の名前の下には「現在:0単位」と表示されている。よしっ、昨日教えてもらった「やることリスト」のとおり、芸術教養入門からはじめよう。

カリキュラム一覧に入って科目をみる。昨日、ノムラ先生から聞いていた話をなんとなく思いだした。うわぁ、たくさん…。
昨日のガイダンスのときにももらってみて一覧が、ひとりでみるとさらに多く感じた。

ガイダンスに出席してなかったら、途方に暮れていただろうなぁと思いつつ、学科専門、学部共通、総合教育科目とならんでいて、画面をスクロールしながらながめる。

学科の科目はどれも「芸術教養」がついている。これが学科で学べる科目かぁと思いつつ、科目名だけだとよく分からない。
学部共通の科目には、芸術史講義がある。これがミヤ先生が話しをしていた科目か。気になる科目をクリックしていく。
知的財産権研究? なんだか難しそう…。
大学の科目って、研究とか講義とかばかりなんだな。また頭がぼわぼわしてくる。
ダメだダメだ。

ユイは気を取り直して、ページの一番上に戻り、芸術教養入門をクリックした。先生がたは「シラバスをよく読んで」と何度も話をしていた。そのことを思い出して、ながめてみる。

担当の先生は、昨日フレンド申請をした先生ばかりだ。
ふむふむ。科目の概要は分かった。…と思う。
ちょっと不安だけど、まずはやってみよう。「学ぶ自分」を作ろう!!
ユイはシラバスの一番下にあった「課題・教材を確認する」をクリックした。

シラバスと違って、そこには動画が並んでいる。
あ、ハヤカワ先生だ。導入動画をクリックする。「みなさん、ごきげんよう」と昨日聞いたハヤカワ先生の挨拶。なんだか安心する。
この授業でどんなことを学ぶのかを説明してくれる。一つの動画が6分でYouTubeみたい。

「よし、今日はこの芸術教養入門の動画を全部みてみよう」と思い、ユイは動画視聴を進めた。「第1章 大学、芸術大学とは何か」はちょっと難しい。
あれ? 第2章が無いけど平気なのかな。よく分からないけど、先に進む。

「第3章 学生生活を充実したものにするために」では、最初の導入動画で登場したハヤカワ先生が話をしている。ケータイで授業を聴くのは塾でもあったけど、一つの動画が短いから、眺めているとどんどん進んでいく。あ、シモムラ先生だ。ノムラ先生もいる。
ミヤ先生は今年から着任したって自己紹介していたから、動画に出てこないのかな。

色々と不思議に思うこともあったけど、あっという間に10章まで見終わり、時計をみると12時30分。気づくとお昼になっていた。

部屋を出てお昼を食べに階段を降りる。「大学の勉強どう?」お母さんがきいてきたので、「おもしろいよ。昨日の入学式でも思ったけど、先生がたがカラフルなんだよね。スーツ着てないし。オープンキャンパスで大学をいくつかみてきたけど、芸術大学ってちがうだね」。

他愛もない会話をしつつ昼食をとり終えたあと、ユイはノートを開いて、改めて芸術教養入門を開いた。
「もう一回みて、気になったことをメモしていこう」

(続く)

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