家内が言った。
「父さん、最近、腕時計をしてないね」
「あぁ、電池が切れたんだよ」
「あっそっ!どうりでね・・電池入れ換えて貰えばいいのにぃ」
「でもスマホがあるからなぁ、別に腕時計がなくったって不自由しないしぃ」
「そうだよねぇ、そういやアタシだって長らく腕時計してないわ」
「腕時計って結構重いしなぁ・・要らないかもな」
「昔はさぁ・・重宝がられたよねぇ、高校に上がって腕時計を買ってもらった時なんか超嬉しかったけどなぁ」
「そうだよな、高校生になったら、腕時計と万年筆・・それと革靴❗️、それで大人の仲間入りをしたような気分になったよなぁ・・万年筆なんか入学祝いで親戚の叔父さんに貰ったのを思い出すよ」
「万年筆なんてキョウビ使ってる人なんているのぉ❓️」
「今は小説家だってパソコンだろ❓️」
・・・・・・・
そうなのだ。腕時計や万年筆は大人への登竜門だったのだ。
当時、腕時計は〈SEIKO〉と〈CITIZEN〉、万年筆は〈セーラー〉と〈パイロット〉が、其々の2大ブランドだったように思う。〈スイスのモンブラン〉や〈英国のパーカー〉などの洋物万年筆は、超高級品として別格だった。
そう言えば、中学生だった当時、セーラー服に革靴、腕にはキラリと光る腕時計をした高校生のお姉さんが物凄く大人に見えて、大いに憧れたのを思い出す・・・