見出し画像

白いカラス(番外編) ー箸休めー


「週イチ」ペースで、『白いカラス』シリーズを書いてきましたが、ここでちょっと箸休め

なにしろ、長いわからないつまらないの3拍子揃ったシリーズですから、読者に振り向いてもらえなくて当然。

なるべく一つの学問分野(discipline)に偏らない学際的(interdisciplinary)アプローチにしようと思ったのが、徒(あだ)になったようです。結果として、毎回、冗長な記事となってしまいました。

そこは老害じゃなくて老獪(ろうかい)なオイラですから、転んでもただでは起きませんよ(笑)。

過去8回の要約を付けましたので、今まで敬遠していた方も、気軽に読みに行ってやってください。


    ◇      ◇       ◇      ◇


https://note.com/gashin_syoutan/n/nc6ca0fec497a?magazine_key=m15762e7bed52


シリーズを始めるきっかけは、えんちゃんの「改憲したり軍事費を増やすと、周辺国がどう思うか? 首相が積極的改憲派でなくてよかった」という記事に触発されて。

それに対して、オイラは提案しました。

最初から、憲法を全肯定するのでも、全否定するのでもなく、論理的に考え、議論することで、手直しされた憲法9条 = シェイプアップされた憲法9条にできたら、国民が安心して暮らせる日本になるのではないでしょうかってね。

    ◇      ◇       ◇      ◇

https://note.com/gashin_syoutan/n/nf8aed6608641?magazine_key=m15762e7bed52


情報の確かさを持たないトートロジー(循環論法、同語反復)なんて、ルール違反です。

「こうこうこうだから、悪い」と言うべきところを、妥協を前提にではなく、相手をやり込める目的で、ただ「悪いから、悪い」と繰り返されたら、相手は「もう勘弁してよ」って、なっちゃいますよね(笑)。

ハンス・ケルゼンの主張は「妥協を念頭に置きながら議論して決定に至るべき」と、「民主主義の本質は、多数決の尊重少数派の保護」であり、決して多数決の否定ではありませんので、そこんとこよろしく(笑)。

    ◇      ◇       ◇      ◇

https://note.com/gashin_syoutan/n/ncd758899527f?magazine_key=m15762e7bed52

表現の仕方を変えることによって印象を変えることをフレーミング効果(文脈効果)と言います。これは、情報の受け手に「文脈に固着してしまった結果、合理的な判断ができなくなる」固着性ヒューリスティックを惹起させるテクニック。

洗脳によって脳に回路ができてしまうと、その後、何度、正しい情報を与えられても、考えを訂正できなくなってしまいます。

だから、オイラたちは巧妙なトリックにひっかからない目・耳、そして脳を持たなければなりません。それが情報リテラシーってやつです。

    ◇      ◇       ◇      ◇

https://note.com/gashin_syoutan/n/n05429e449d38?magazine_key=m15762e7bed52


この世は複雑であり、「侵襲性もなく、リスクがゼロの状態」など、どこにも存在しません。ところが、マスコミはゼロ・リスクが可能であるかのように書きたてます。

中国の経済力と軍事力によって我が国を取り巻く状況が変化しているのに憲法9条安全保障関連法案の改正に頑なに反対する人と、ゼロ・リスク症候群は無関係ではありません。

科学的に議論すべき問題を思い出しやすさ感情の問題へすり替えてしまうマスコミと一緒になって改憲に伴う小さなリスクを列挙すれば、憲法改正議論を骨抜きにできちゃいますが、その時の受益者は日本人ではありませんからね(笑)。

    ◇      ◇       ◇      ◇

https://note.com/gashin_syoutan/n/nc7fad60b0dd5?magazine_key=m15762e7bed52


構成主義が注目されるようになったのは、冷戦終結期の1990年前後。
「軍事力の多寡だけが国家の安全や脅威を決定している」わけではないのだから、交渉対話といった非軍事手段で安全保障をと主張。

70年以上も憲法9条は変わらないのに、中国・ロシア・北朝鮮との信頼関係が醸成されない現実を、あなたはどう受け止める?

交渉対話が不足しているから?

悪いのは日本の方なのでしょうか?

構成主義と心中するのか、改憲するのかの判断が求められています。


    ◇      ◇       ◇      ◇

https://note.com/gashin_syoutan/n/n45062dde4960?magazine_key=m15762e7bed52


冷戦が終結して以降、日本周辺における中国の動きが活発化しています。

今回のロシアによるウクライナ侵攻は、
自発的制約の維持、
脅威の態様にかかわらず低姿勢・自己抑制型の防衛構想を変えない
ことが安全を保障しない現実を、我々に突きつけました。

新聞社の調査では、今の憲法を変える必要がある」と答えた人は56%(昨年調査で45%)。今後、日本が防衛力を強化することに「賛成」は64%

つまり、国民の多くは、脅威の態様によって自己変革をめざすべきと考えているのです。

民主主義の本質は、多数決の決定少数派の保護であり、多数決の否定じゃありませんから、憲法改正の権利を国民に放棄させようとしてはいけません。

    ◇      ◇       ◇      ◇

https://note.com/gashin_syoutan/n/n7ad1c739edec?magazine_key=m15762e7bed52


プロパガンダと教育によって、国民の多くは、国防に関する社会的選択を理性的かつ論理的に考えられない恐怖症にされてしまいました。

正しく行動するには、情報を入手するだけでは不充分であり、不確実性を可能な限り減らす=リスク管理=蓋然性の評価・検討が欠かせないのです。

だから、我が国の国民としては、中国が期待している満足度期待効用を知り、蓋然性の高いリスクから優先順位をつけて対処しなければなりません。

「主観も集合すると客観に近づく」からすれば、中国が力で現状変更する蓋然性がきわめて高いのです。

それなのに、例外事象をことさらに取り上げて原則全体の瑕疵としまうと、改憲議論が成り立たなくなり、日本は侵略されても反撃できない国になってしまいます。

憲法9条の改正が目的なのではありません。
あくまでも憲法改正の目的は国防であり、憲法改正は手段でしかないのです!!

    ◇      ◇       ◇      ◇

https://note.com/gashin_syoutan/n/nb4c380baaa63?magazine_key=m15762e7bed52


「憲法9条=平和憲法」や「侵略されても反撃できない国」であることが本当に「正しい決定」なのでしょうか?

正しい決定」と言うためには、
利益を得る人(受益者)が誰か
さらに、受託者は誰か?
が明らかにされなければなりません。

「いかなる紛争に対しても正しい解決を導き出すことができる」という「適切な(正統な)法実定法規範」など存在しません。

パクスアメリカーナとは、超大国アメリカ合衆国の覇権が形成する「平和」のこと。

アメリカが世界の警察を演じていた理由は、世界の物流・経済で主導権を握るためです。
その一環として、要衝である国と同盟を組むことでシーレーンの安全確保に努めてくれていました。
でも、今後アメリカが、この海域から手を引いたら、日本はどうなるでしょう?

日本にとってこのシーレーンの安全保障が最重要課題だと認識していなければ、改憲議論の目的などわかる訳がありません。

いいですか、シーレーンの安全保障が担保されない限り、未来永劫、日本人は受益者になれないのです。

    ◇      ◇       ◇      ◇


経済大国はやがて軍事大国になる?

東西冷戦が終わった1989年、ゲオ・エコノミクス(地経学)がゲオポリテックス(地政学)に取って代わったと考え、専門家は経済大国日本ドイツが世界を支配すると予想しました。

でも、現実はそうなっていないどころか、事態は一層、悪くなっています。

国連が機能しない現状下で、紛争がなぜ起こるかを知らずに不戦の誓いを立てたところで、そんなものコンスタティブでしかありません(笑)。

https://note.com/gashin_syoutan/n/n19a4a14f3d92


紛争の原因は民族、宗教、資源、領土、イデオロギー、反政府などが複合的に絡み合っているんです。


国内の治安維持と社会秩序を守り、国家の権益を守るなら警察を組織すればいいですよね。
でも、世界には警察に相当する組織がありません。
さらに、パクス・アメリカーナも風前の灯となりました。


経済的基盤を伴わない軍事力の拡張は、多くの場合、国家自体の衰退・崩壊をもたらしますが、経済発展を遂げた中国は今や世界のパワー・バランスを根底から変えられる力を持つに至りました。

そうです、覇権国家が視野に入れられるようになったこと、これが現実です。

ただし、日本もドイツも経済大国になったからといって、中国のように覇権国家を目指したりはしません。それは、覇権国家になることがいかに大変で、愚かしいことかを学んだからです。

このたびのウクライナ危機で、理想主義平和主義が強いとされたドイツが防衛予算の大幅増を決めた事実が示すことは何?

それは抽象論信仰(平和主義理想主義)合理性のない独断的な先入観に過ぎず、場当たり的な正義感覚以外に根拠を持たないことに気づいたってこと。

https://note.com/gashin_syoutan/n/nb4c380baaa63

さらに、軍事力が国力の重要な要素の一つであり、政治的な目的達成、国益の保護のための手段であることを認識したということです。
いいですか、安全保障は、国益のうち経済・福祉といった副次的利益(other interest)よりも優先順位の高い死活的利益(vital interest)なんですよ。

https://note.com/gashin_syoutan/n/nc731b1a5b092

パクス・アメリカーナのおかげで、今までは国益・死活的利益を考えることなく、のほほんとしていられましたが、アメリカの核という後ろ盾を失った時、日本は途方に暮れるしかありません。
もし、このまま軍事力が過少で、他国からの侵略の脅威に晒される国と認定された時、円の為替レートが過小評価され、外国と対等な交渉権を発揮できないことになってしまいますよ。
そうなってしまえば、福祉はもちろん、教育受益者ではいられなくなるのです。


それでは、次回の『白いカラス』でお会いしましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?