がらくた宝物殿

いいことは言わない「場」です。他に行きどころのないおもしろさを集めているつもりです。 …

がらくた宝物殿

いいことは言わない「場」です。他に行きどころのないおもしろさを集めているつもりです。 ご感想等はコメント欄かリンクのフォームへぜひ。丁寧に読ませていただきます。 https://forms.gle/vDod1sgo4YMQpMyc6

マガジン

  • がらくた宝物殿短編脚本部門

  • がらくた宝物殿短編小説実験部門

    がらくた宝物殿で起こされた小説を掲載していきます。

  • 2020年新春怪奇コント祭り「ちょっと人面犬」関連

    2020年1月18日(土)に福岡で行われる演劇?コント?公演「ちょっと人面犬」にまつわるあれこれをまとめたものです。宣伝というよりも、ただの雑記になっている可能性が高いので来る予定のない方もぜひ。

最近の記事

エレベーター

舞台下手の床には、テープが正方形に貼られている。6人は領域内に入れる大きさ。 これは会社内を昇降するエレベーターである。 上手の床には、ふたつの正方形。それを結ぶようにはしご状のテープが2列。 これは階段である。 舞台中央奥の壁には、エレベーターが今いる階数を表示してもよい。 会社ビルの1階。Kはエレベーターを待っている。 階数表示がゆっくりと1に近づいていく。 40……39……そこへ、社員がふたりやってくる。 Kは軽く会釈をする。 となりの班の箕輪と村上。 顔は見知ってい

    • しょうもない演劇宣言(嘘の演劇ステートメント1)

      ※以下は、夜の知らない住宅街で私が拾った雑誌の切れ端に書かれていた演劇論です。演劇論の書かれたページのみが切り離され、ホッチキスで留められた状態で落ちていました。いや、落ちていたというのも実は違って、道の真ん中に不自然で小さな穴があり、そこに埋められていたというのが正確なところです。穴は浅くて、紙も地面の上に飛び出していたので簡単に取り出すことができました。私はふだん、落ちているものを拾うことはないのですが、あの時はなぜか拾ってしまいました。神のお告げのような出会いにもかかわ

      • 【応援コメント4】 がらくた宝物殿『オムバニズム』

        今回も、すてきな方からの応援コメントをご紹介します! 福岡に拠点を置く劇団、万能グローブ ガラパゴスダイナモスの川口大樹さんからのコメント! テキストでも同文を。 私が大学で演劇をはじめて最初にまともに見た演劇がガラパでした。言ってみれば親みたいな劇団ですよね。福岡でコメディをしようとすると、必ずガラパが頭をよぎります。そこを正面突破せずひねくれた方向に育っているがらくた宝物殿。ガラパとはまた違った福岡のコメディ団体として楽しんでもらえるといいな……いや、恐れ多いが!!

        • 【応援コメント3】 がらくた宝物殿『オムバニズム』

          今回も、すてきな方からの応援コメントをご紹介します! 熊本に拠点をおく劇団、不思議少年の大迫旭洋さんからのコメント。 例によってテキストでも同じ文面掲載します。 なんだかがらくた宝物殿がとてもすてきな団体な気がしてきますね。本当にそうか、試しに『オムバニズム』に足を運んでみてください! はじめてがらくた宝物殿を見る方には「はじめて割」もご用意していますよ! さて、今回コメントをくださった大迫さんがいる不思議少年の公演が来年行われるようです! なんとシェイクスピアの『ハム

        マガジン

        • がらくた宝物殿短編脚本部門
          8本
        • がらくた宝物殿短編小説実験部門
          51本
        • 2020年新春怪奇コント祭り「ちょっと人面犬」関連
          16本

        記事

          【応援コメント2】 がらくた宝物殿『オムバニズム』

          がらくた宝物殿『オムバニズム』 ありがたいことに満席近くまでご予約いただいている回も出ています。 すてきな方からの応援コメントをご紹介します! 今回はMr.daydreamerの沢見さわさんからのコメント。既に予約した方もこれからの方も、ぜひ読んで体験の参考にしてみてください! 以下、テキストでも文面掲載します! コメントをくださった沢見さわさんが所属するMr.daydreamerも、我々の翌週に小田原で公演を控えているようです! 宣伝美術がかっこよい!! Mr.da

          【応援コメント2】 がらくた宝物殿『オムバニズム』

          【応援コメント1】 がらくた宝物殿『オムバニズム』

          がらくた宝物殿『オムバニズム』 初日まであと1週間となりました。 都内で行われている公演にひっそりチラシを折り込ませていただいたり、SNS上に時々ティザー動画を公開したりと、告知を行っているところです。 しかし、依然として「がらくた宝物殿は一体なにものでどんなことをしているのか?」「会場にいけばどんな風な楽しみが用意されているのか?」はっきりせず疑いの目を向けざるを得ない方もいらっしゃるのではないでしょうか? なにか、その辺りのうさんくささを払拭できるものはないか……と悩ん

          【応援コメント1】 がらくた宝物殿『オムバニズム』

          「オムバニズム」【特典つき】当日取り置きチケットのご案内

          11月12日まで限定! 席数限定! 【特典つき】当日取り置きチケット 販売します がらくた宝物殿「オムバニズム」のチケットを買うのは大変ですよね 知らない団体の劇を見るために、知らないサイトに会員登録をして前もってお金も払って発券して、というのは大変なことだと思います。 それにもかかわらず、ご予約いただいている方、本当にありがとうございます。「知らない団体の劇を見るために」という部分は解消しようがないのですが、その他のハードルを少しは軽減できるかもしれない策として「当日取り

          「オムバニズム」【特典つき】当日取り置きチケットのご案内

          見えない! 〜着席と起立の間で

          着席と起立の間で、今あなたの背中の向こうのステージを透視している。しかし見えるのはさらに前に立つ人々の背中ばかり、マイクに向かうあの方の姿は肩の草原の隙間からちらりと出たり引っ込んだりするのがかろうじてわかる程度だ。 皆が座っていたならば、客席の傾斜は見晴らしのよいステージを万人に提供してくれただろう。しかし、5列目くらいの男が立ち上がった。するとそのすぐ後ろの人は立たねば何も見えない。そこからは、倒れていくドミノの逆の動きで、順番に人が立ち上がっていく。コンサートで立つこ

          見えない! 〜着席と起立の間で

          ハンバーガー・ショップのスケッチ(注文〜支払い編)

          はじめに今年もお世話になりました。おそらく今年最後に書いたことになる台本をあげます。モンティ・パイソンが好きで、気取った気分の時にはコントのことを「スケッチ」と呼んでしまうのですが、ご覧の通りこのタイトルはおそらく気取った時に付けたのでしょう。本文は比較的夢から覚めた状態で書いているはずです。pdfもつけているので、読みやすい方からご覧ください。 最後に感想フォームもつけています。よかったらそちらもぜひご利用ください。なんでもくださった言葉は丁寧に読んでいます。 PDF版

          ハンバーガー・ショップのスケッチ(注文〜支払い編)

          よい子の願い(Chritmas Time Is Here)

          よい子がプレゼントを望んだとき、望み通りのものを届けるのが私の役目だ。よい子の望みは、他の数多いる凡庸な子たちに比べて強いエネルギーを持つため、遠く離れた私の元にもテレパシーのように伝わる。12月20日がその声が聞こえてくる日で、なにかほしいものがあればよい子はこの日に願いを念じなければならない。地球には時差というものがあるので、その日、私は1日中起きている。老体には簡単なことではない。それでもがんばっているのは、私もかつてよい子で、先代から望みを叶えてもらったためである。よ

          よい子の願い(Chritmas Time Is Here)

          或る街の断章/グッド・バイ

          手を挙げたとたんにタクシーが突っ込んできて、四台がとまった。一台でいいと言うと、誰がいちばん最初にとまったかで争いが起こった。 取っ組み合って漫画のように舞う土埃の合間を縫って這い出た私は、歩道に沿って先へ急いだ。赤信号の下、黄色い機械に埋め込まれた赤いボタンを押す。ずっしり重く、なにか重要なボタンのような錯覚に陥るが、押して数十秒後に信号が赤から青に変わるだけのボタン。数十秒後、街中すべての信号が青になり、無数のクラクションや怒号が響いた。 この街はなにもかもが過剰だ。

          或る街の断章/グッド・バイ

          寒いし不安 な夕

          降車駅が近づく。線路の緩やかなカーブに合わせて床が傾き、バランスが崩れた。網棚に掛けようと慌てて振り下ろした手は空をかすめ、危うく前の座席のスーツの男に突っ込みそうになる。が、すんでのところで後ろに半歩下がることで最悪の悲劇は回避することができた。これが今日起こったことの中で一番よいことかもしれない、というほどのついていない1日。 停車間近まで列車の揺れは収まりそうになかった。本に挟んである、薬局でおくすり手帳を忘れたときに渡されたシールを乗車前のページから今のページに移し

          寒いし不安 な夕

          劇トツ上演「やめます!」台本(コメンタリー付)公開します。

          先日北九州芸術劇場小劇場で行われた「劇トツ×20分 2022」でがらくた宝物殿が上演した「やめます!」という作品の台本を、いらないかもしれませんが公開します。しかも、いらないかもしれませんがコメンタリー付きです。コメンタリーのテキストボックスを追加した関係で、スマホなど小さい画面で表示するとめちゃくちゃ読みづらいと思います。A3に印刷したらちょうどいい感じになります。印刷する人いないと思いますが。 コメンタリーの方は、今回参加したみんなにちょっとずつ書いてもらいました。音と

          劇トツ上演「やめます!」台本(コメンタリー付)公開します。

          2022年6月25日午前1時18分に感想フォームに投稿くださった方へ

          2022年6月25日午前1時18分にがらくた宝物殿の感想フォームに以下の文面を投稿くださった方へ お母様にこわい体験をさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。また、お母様に安心して劇を観に来てもらう機会も奪ってしまい申し訳ありません。 2018年のことですね。当時、私はおもしろいと感じ、かつ必要だと思ってそのような演出をしたのだと思います。もしそのような演出をするのであれば、公演を告知する段階でそのような演出があることは告知するべきだったと思います。また、開場時、座席を

          2022年6月25日午前1時18分に感想フォームに投稿くださった方へ

          やめます

           突然、すべてが嫌になった。そんな気がしたが、実はそれは突然ではなく、私はずっとぼんやりとすべてが嫌で、すべてが嫌だったんだということに、ようやく気がついた、というのが正確かもしれない。いや、正確じゃないかもしれないけれど、そんなことはどうだってよかった。私は、私をやめるのだから。  すべてが嫌になった私は、嫌なことはみんなやめてやろうと決めた。すべてが嫌なのだから、すべてをやめなければならない。手っ取り早い方法は、さくっとこの命を絶ってしまうことだろうが、少し考えてそれは

          小説で人を殴った

           小説で人を殴った。小説の中でってことじゃなくて、とっさに手が出たときにちょうど本を持っていたのだ。薄いけどハードカバーの本だった、ハリー・ポッターの3分の1くらいかな。拳で殴るのと、本で殴るのと、どっちがダメージが大きかったかはわからないし、ダメージが大きかった方がよかったのか、小さかった方がよかったのかもわからない。でも、手が出るくらいムカつくことを言われたのは、確かだ。だって、実際に手は出たのだから。  クラスの世論は「ひどいこと言われて気持ちはわかるけど殴っちゃダメだ

          小説で人を殴った