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?がらくた
2024年5月7日 09:56
隣のクラスの女友達、中野未来(なかの・みく)と話していた田島優吾(たじま・ゆうご)が教室に戻ると、机の引き出しにハートのシールで封のされた手紙が入っていた。ラブレターなど無縁だった彼は、初めての経験に胸を躍らせる。だが、それは嘘の告白で―――当然からかわれた彼は悲しみ、憤って、自分を責めて。これは嘘から始まる恋のお話。この作品はFC2ブログ、小説家になろう、カクヨムに掲載されています。
2024年5月17日 06:04
翌日、宮本さんは学校に登校してこなかった。原因がはっきりしているから、それ自体に俺は驚きはない。それよりも、鹿山が彼女を気にもしていないことに、無性に腹が立った。あいつさえいなければ、今でも彼女と俺の隣に座っていたのに。彼女に好き放題しておいて、何故こいつはのうのうとやってきているのか。理不尽な現実を目の前にした俺の怒りは、頂点に達していた。鹿山へのドス黒い感情が、今にも溢れだしそうだ
2024年5月16日 12:12
翌日未来や公一、佐久間さんから元気を貰った俺は一晩悩んだ末、宮本さんとの問題を解決することにした。なあなあにしていては、これから同じ教室で生活していくのは息苦しい。軋轢を残したままでは、彼女と今までのように話せない。だが一番の問題は、どうすればいいのかさえ手探り状態なことだ。重い足取りで教室に向かうと、肝心の彼女は読書をしている。ガヤガヤと騒がしい教室内で、彼女一人だけ浮いていて、何
2024年5月14日 17:21
俺たちは電車に乗ってテラスモールと呼ばれる、市内では最大規模の商業施設に訪れていた。週末なだけあって道路は渋滞していて、想像以上に混んでいる。これだけ人がいると、デートを予定通りに進められるか不安に駆られたが「歩きでよかったね」と未来がフォローを入れてくれて、少しだけ肩の荷が下りた。内部のテナントは、どこでもあるようなチェーン店ばかりだが、別にそれ自体に何の文句もない。人間は目新し
2024年5月11日 18:09
カラオケ終了後遊び疲れながらも目的の駅に到着すると、仕事帰りのサラリーマンや学生でごった返していた。忙しなく響く足音に耳をすませていると、 几帳面な生き方を強要されている気になって窮屈だった。道の往来で立ち止まっていると、歩行者の邪魔になるので、すぐさま改札口を抜ける。どの町でも見かける、Mの英文字が印象的なハンバーガーチェーン店。コンビニのような大きさの本屋。服屋や雑貨屋などがある
2024年5月10日 10:05
放課後にて終業と共に蜘蛛の子を散らすかの如く、教室から一人、また一人とクラスメイトが去っていく。日が傾いた空は、まるで自分の心を映し出しているように濃い青に染まっている。ただ一つ言えるのは、明確な悪意があったということだけだ。普通なら苛立ちの一つや二つ、覚えるだろう。しかし心に芽生えていたのは、怒りでも憎悪でもなく虚無感だった。鹿山の態度から察するに、宮本さんは初めから俺を騙すつもり
2024年5月9日 09:24
翌日 明正高校1‐Aにて元々集中力が長続きするような人間ではないことは、受験勉強をした時から知っている。しかしその日は特別、勉強が身に入らなかった。そしてそれが、春の陽気のせいではないことも。時折宮本さんに視線を遣っても、授業に集中していて、こちらに見向きもしない。―――まるで自分だけが興味を示しているようで、何だか虚しかった。彼女は美人で引く手あまただろうに、何故俺など選んだのだ。