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短編恋愛小説集「嘘の告白」

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嘘の告白から始まる学園が舞台の短編恋愛小説集。 毎日1話投稿予定。 小説家になろう、カクヨムにて完結済みのため、続きの読みたい方は当該サイトにてご拝読ください。
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#学園

短編恋愛小説集「嘘の告白」 あらすじ ラブレター 共通ルートその1

短編恋愛小説集「嘘の告白」 あらすじ ラブレター 共通ルートその1

隣のクラスの女友達、中野未来(なかの・みく)と話していた田島優吾(たじま・ゆうご)が教室に戻ると、机の引き出しにハートのシールで封のされた手紙が入っていた。
ラブレターなど無縁だった彼は、初めての経験に胸を躍らせる。
だが、それは嘘の告白で―――
当然からかわれた彼は悲しみ、憤って、自分を責めて。
これは嘘から始まる恋のお話。

この作品はFC2ブログ、小説家になろう、カクヨムに掲載されています。

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 第6話 伝えたい思い 宮本早紀編その2

短編恋愛小説集「嘘の告白」 第6話 伝えたい思い 宮本早紀編その2

翌日、宮本さんは学校に登校してこなかった。
原因がはっきりしているから、それ自体に俺は驚きはない。
それよりも、鹿山が彼女を気にもしていないことに、無性に腹が立った。
あいつさえいなければ、今でも彼女と俺の隣に座っていたのに。
彼女に好き放題しておいて、何故こいつはのうのうとやってきているのか。
理不尽な現実を目の前にした俺の怒りは、頂点に達していた。
鹿山へのドス黒い感情が、今にも溢れだしそうだ

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 第5話 切り裂かれた友情  宮本早紀編その1

短編恋愛小説集「嘘の告白」 第5話 切り裂かれた友情  宮本早紀編その1

翌日

未来や公一、佐久間さんから元気を貰った俺は一晩悩んだ末、宮本さんとの問題を解決することにした。
なあなあにしていては、これから同じ教室で生活していくのは息苦しい。
軋轢を残したままでは、彼女と今までのように話せない。
だが一番の問題は、どうすればいいのかさえ手探り状態なことだ。
重い足取りで教室に向かうと、肝心の彼女は読書をしている。
ガヤガヤと騒がしい教室内で、彼女一人だけ浮いていて、何

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 第8話 ダメダメな一日? 中野未来編その4

短編恋愛小説集「嘘の告白」 第8話 ダメダメな一日? 中野未来編その4

俺たちは電車に乗ってテラスモールと呼ばれる、市内では最大規模の商業施設に訪れていた。
週末なだけあって道路は渋滞していて、想像以上に混んでいる。
これだけ人がいると、デートを予定通りに進められるか不安に駆られたが

「歩きでよかったね」

と未来がフォローを入れてくれて、少しだけ肩の荷が下りた。
内部のテナントは、どこでもあるようなチェーン店ばかりだが、別にそれ自体に何の文句もない。
人間は目新し

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 第5話 二人きりの帰り道   中野未来編その1

短編恋愛小説集「嘘の告白」 第5話 二人きりの帰り道   中野未来編その1

カラオケ終了後

遊び疲れながらも目的の駅に到着すると、仕事帰りのサラリーマンや学生でごった返していた。
忙しなく響く足音に耳をすませていると、 几帳面な生き方を強要されている気になって窮屈だった。
道の往来で立ち止まっていると、歩行者の邪魔になるので、すぐさま改札口を抜ける。
どの町でも見かける、Mの英文字が印象的なハンバーガーチェーン店。
コンビニのような大きさの本屋。
服屋や雑貨屋などがある

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 第4話 励まし 共通ルートその4

短編恋愛小説集「嘘の告白」 第4話 励まし 共通ルートその4

放課後にて

終業と共に蜘蛛の子を散らすかの如く、教室から一人、また一人とクラスメイトが去っていく。
日が傾いた空は、まるで自分の心を映し出しているように濃い青に染まっている。
ただ一つ言えるのは、明確な悪意があったということだけだ。
普通なら苛立ちの一つや二つ、覚えるだろう。
しかし心に芽生えていたのは、怒りでも憎悪でもなく虚無感だった。
鹿山の態度から察するに、宮本さんは初めから俺を騙すつもり

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 第3話 嘲り 共通ルートその3

短編恋愛小説集「嘘の告白」 第3話 嘲り 共通ルートその3

翌日 明正高校1‐Aにて

元々集中力が長続きするような人間ではないことは、受験勉強をした時から知っている。
しかしその日は特別、勉強が身に入らなかった。
そしてそれが、春の陽気のせいではないことも。
時折宮本さんに視線を遣っても、授業に集中していて、こちらに見向きもしない。
―――まるで自分だけが興味を示しているようで、何だか虚しかった。
彼女は美人で引く手あまただろうに、何故俺など選んだのだ。

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