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?がらくた
2024年5月7日 09:56
隣のクラスの女友達、中野未来(なかの・みく)と話していた田島優吾(たじま・ゆうご)が教室に戻ると、机の引き出しにハートのシールで封のされた手紙が入っていた。ラブレターなど無縁だった彼は、初めての経験に胸を躍らせる。だが、それは嘘の告白で―――当然からかわれた彼は悲しみ、憤って、自分を責めて。これは嘘から始まる恋のお話。この作品はFC2ブログ、小説家になろう、カクヨムに掲載されています。
2024年5月28日 20:36
「なんか悪いな」「怪我は早めに直さないとダメよ。それにアンタ、誰かついてないと寄り道しそうだからね」「おう、俺より俺に詳しいな」部活の練習中に捻挫をした俺は、帰りのバスの中で揺られていた。地獄に仏でもいうのか、部活の顧問は理解があって、理由さえ言えば休ませてくれる。帰り道が一緒でも、わざわざ鹿山がついてくる必要はない。だが、怪我をした時に限って訳もなく感傷的になるものだ。なので、彼
2024年5月27日 20:10
早紀ちゃんと恋人になった後日の昼休みにて鹿山は相も変わらず、仲間同士で群れあっている。早紀ちゃんが抜けた女子グループの面々は、いつになくブスッとしていたこれから次なる標的を探すのだろうか。軽蔑を込めた眼差しを向けると、鹿山は負けじと睨み返してきた。私たちのすることに、一切口を出すな。そう言い返すかのように。「どうしたの?」「何でもないよ」「綾乃ちゃん、冨山さんと四人でご飯食べ
2024年5月26日 20:31
休み時間にて部活に男友達との交流、それに加えて未来との遊び。忙しい日々を送っていると、徐々にではあるものの、忌まわしい過去は色褪せていった。宮本さんと関わることが俺の中での優先順位では、低くなっていったのだ。未来からすれば、ただ俺と話したいだけかもしれないが、こまめに通話をくれたのが何よりの薬だった。余計なことを考えずに済んだからだ。とはいえ、全くあの日の出来事を思い返さないわけでは
2024年5月24日 20:58
数日後鹿山はクラスで一人、浮いていた。けれど恩を仇で返す人間に、いつまでも親切にするお人好しなど、そうはいない。ただ一人の味方であった宮本さんも、いつからか話しかけなくなっていった。だがしかし敢えて一人を望むかの如く、あいつは振舞っている。誰も信じず、誰の力も借りようとしない一匹狼のように。別にそのような生き様に、後ろ指を指すつもりはない。心ない暴言や偏見、悪意に晒されて、自分だけ
2024年5月20日 12:46
あれから数週間後。再び学校に通えるようになった宮本さんは、徐々に変わっていった。陰気だった過去を全く感じさせないほど、彼女は明るくなっていって、すっかりクラスのみんなと打ち解けた。性格が変われば運命が変わるとはよくいったものだ。俺たちの関係性が変化していくのに、そう時間はかからなかった。以前よりも喋る機会がなくなっていき、ここ数日は会話もしていない。普通なら友達として、成長を喜ぶなりし
2024年5月17日 06:04
翌日、宮本さんは学校に登校してこなかった。原因がはっきりしているから、それ自体に俺は驚きはない。それよりも、鹿山が彼女を気にもしていないことに、無性に腹が立った。あいつさえいなければ、今でも彼女と俺の隣に座っていたのに。彼女に好き放題しておいて、何故こいつはのうのうとやってきているのか。理不尽な現実を目の前にした俺の怒りは、頂点に達していた。鹿山へのドス黒い感情が、今にも溢れだしそうだ
2024年5月15日 19:32
映画館にて鑑賞していたのは、特に恋愛要素のない、老若男女問わず楽しめそうな娯楽映画だった。黄色の身体の珍妙な姿をした盗賊の主人公たちが活躍する話で、彼らが忙しく画面を動き回るのを眺めているだけでも、楽しくなってくる。別にアニメやアクションなどの映画が、嫌いというわけではない。むしろ一人で鑑賞する分には、恋愛ものよりも好みだ。ただ意中の相手と、もっと進んだ関係を築いていきたい。そういっ